人気ルート故にバッチリ整備してあって、大したこと無かったです。というか、簡単でした。
標高差1,280mじゃあ、奥多摩にも負けてますものね。
しかし、こちら。
恐らく日帰りできる日本の山の中では一番の標高差を誇る故、「日本で一番キツいルート」と言われています。「三大急登ハンター」(←いつの間に??)としてはいつか必ずアタックする運命にある山。
ならば若いうちにやっとくが吉。
というわけで、既に若くもないのに行ってきました。もちろん、日帰りで――――。
登山タイム(黒戸尾根ルート/標準CT):登り5時間(/9h30m)---降り3時間45分(/5h40m)
標高差:約2,300m 距離:往復22.5km 出発地:尾白P 条件:一人、日帰り、晴天
※「三ツ頭~大岩山」のルートは現在廃道のようですが…・・・
「乗客からいっつも尋ねられるんだけど、↓この変な形の山、何?」
甲斐駒です。
そんなこともあって前々から目をつけていたのですが、実は初めての南アルプスです。
そのまま道なりに行くとロッジ風の別荘が並ぶ赤松林を抜け、行き止まりが尾白P→
←Pの奥のジャリ林道を行くと、左手にバンガローが見えて尾白キャンプ場を過ぎ…
(この右手の大岩が凄い!)↓
竹宇駒ケ岳神社の鳥居をくぐって進むと、拝殿左奥に吊橋(定員5名)の↓石柱が見えてきます。
この吊橋を渡ると、登山口(H770m)。
5:30、無茶振り1dayアタック、スタート……!
まずは目前の急斜面をジグザグ登ります。
段差も小さいし、石混じりでしっかりしてる。船窪新道や三股ルートで鍛えた脚にはさほど苦になりません。しかし、翌日は台風18号が来ると噂の「嵐の前の晴天日」。湿度が高いのか、蒸暑くて玉汗
尾白川渓谷の散策路と2回分岐しますが、標識があるので迷いません↓
早々にこんな看板も・・・↓
「諸事情により今シーズンの食事提供は終了」の看板もありました。レトルトやカップヌードルは販売しているようですが…
七丈小屋は「予約は当日16時までに現地で」というアナログ方式で、食事提供はオンシーズンのみ、12名以上の団体お断り、ネットでは情報が得られず、問合せ先は市役所という、変わった小屋です。
最近の便利な小屋に慣れた人にはヤな感じでしょうが、アナログ人間には何だか親近感が(笑)
15分ほど登ると左手に曲がって水平道を進むようになり、それが終わると右手へ90度曲がって、またジグザグ。
しばらくするとまた水平道になり、粥餅石への巻き道(廃道)への分岐からまたジグザグ登ると、段々と笹の下草が旺盛になって…登山口からから1時間25分(2h30m)で ←「横手・白須分岐」(H1,525m)。
ここで横手からの登山道とタイトにY字合流。
この先、石祠がチョコチョコ出始めます。
分岐からゆるく登っていくと、石祠のある広場↓に出て……ここが「笹ノ平」かな?
ここからいよいよ急坂「八丁登り」の始まりです。
ちなみにここで休憩していたら、登山口で遭った「メガネのメタボ男子A」(有名山でよく見るタイプ…荷物も大きくて最初からダブルストック)に抜かされますが、もうヒイヒイでなんか心配になるほど。。
「軽装中年男性B」にも休憩時に抜かれましたが、この方とは最後まで抜きつ抜かれつ一緒でした。
←さて、「八丁登り」。
いわゆる「急坂」なのですが、んんん?別にそんなに凄くない感じ。。。
計算だと「標準コースタイムでは1時間で250m、日帰りするなら1時間で400m登る」ですが、結構水平道が多くて全体的に急坂(急斜面直進道)は少ない印象でした。
←下山時に気付いたのですが、この笹ノ平部分、苔むした大岩と笹原でとてもキレイ
本当の急坂になると、ハシゴや鎖で整備されちゃうので、マイナー急坂ルートに比べるととてもラク。燕や烏帽子と同じです。
登山口から黒戸山を越えるまでは、こんな窪地も頻繁に出てきました→
深いところは背丈ほどもありそう。普通こういう道は雨水の通り道になってどんどん崩れそうですが、登山者が少ないからかそんなに荒れてなくて登りやすかったです。
たまに脇の高い処にもルートが出来てます。どっちが歩きやすいかは人にもよりますが、登りは高い処の方がいいかも。でも脇道って、登山時には気付かないんですよね
ゴツゴツした岩が多くなってきたな~と思ったら、
←噂の「刃渡り」開始。
大したことない岩岩on the 痩せ尾根で、100mも続きません。通過するのに技術も無用。鎖は積雪時の為のモノっぽい。
ちょっと登るとすぐにこうなります↓ なあんだ……
ここでトレランナー数名に追いつかれたので、道を譲ります。このルート、トレランナー多いですね。東京に近いから??
巷では登山者とのトラブルが多いと聞きますが、北アには少ないし、奥多摩でもマイナールートばかり登っていたので遭遇確率が低く、この日もキツいルートだからか速度はヌルくマナーも良かったので、私にはそんなに悪い印象がありません。
追い越され際には、脹脛の筋肉をチラ見。旨そうな手羽元チックな肉ですなあ… ←セクハラ?!
この後、下山者から「日帰りですか?」「小屋のオヤジから今日は宿泊もテン場も営業しないって言われてるんで伝言です」と声がけが。「日帰りです」と応えてすれ違いましたが…ん?
後方には、どう見ても日帰りできそうもないシニア夫婦や若者グループやメタボ男子や、テン泊装備がいるぞ?? 全員に伝言してくれるかな……
お、連続ハシゴが出てきた →
ハシゴと言っても階段状なので楽々。これは下山時も、手をつかわずに降りられますね。
しかもここのハシゴは最高の造りで、骨組みは鉄骨でしっかりしていて、鉄の上に枕木(木やプラ木)が乗せてあるので安定感バツグンです☆
こんなイイ梯子、見たことない!
この赤いのを登ると、右手の岩下に「刀利天狗」の石碑が出てきて… →
「横手・白須分岐」から1時間5分(2h)で
「刀利天狗」(H2,049m)↓
この刀利天狗は、御嶽山の田の原(王滝ルートのP)に住んでいたヤツらしい。
「駒ケ岳信仰」っつっても、源流はやっぱり御嶽信仰なんでしょうね。
岩の上のスペースに執拗に建てられる石祠や石碑にも、同じ執着を感じます。
多分これ、墓石だし…
石標には「黒砥山 刀利天狗」となっていました。昔はその漢字を使っていた…??
更にまたガガっと登ってから、黒戸山を水平道で右巻いて100m降って…「刀利天狗」から40分(1h20m)で「五合目小屋跡地」(H2,150m)→
H19に取り壊したそうですが、その後に買ったはずの昭文社地図にはまだ載っています。
←更にちょっと降るとまた広場に斎場があって、再び連続ハシゴが始まります。.
←右奥にチラっと
ハシゴ、大好きです。
よく「ハシゴが連続して体力を削がれる」とかルート案内に載っていますが、ハシゴがなかったらもっと削がれるでしょうに。
岩場鎖場も大好きで大得意→
← 一気に標高を稼げます!
なのに何が無茶振りかというと、坐骨神経痛という爆弾をかかえていることでしょうか。
梨状筋という臀部最深の筋肉に複雑に絡まった脚の神経が、何かの拍子に刺激を受ける神経痛なので、完治は不可能。普段はそれ用のストレッチと2月に一回の骨盤矯正で抑えられていますが、いつ再発するかはまるでわかりません。唯一はっきりしている再発要因は「運動不足」。
「デスクワークで車生活」では毎日のように再発予兆があり、毎週の登山は必須です。。。。
← 一旦降って、橋を渡ってまたハシゴ
途中、地図では「屏風岩」となっているのですが、右手を見ると紅葉美しい岩壁が… ↓これのこと?
ハシゴのおかげで、「五合目小屋跡地」から35分(1h10m)で「七丈第一小屋」(H2,350m)↓
手前にベンチあり↓
う~ん、ここに掲示されても… ↓
でもまあ、明らかに明日台風が来るのに、泊まり予定で来る人の方が不思議です。
小屋前の左手には水道があって水が流れっぱ→
通過者は\100。どうやらモーターで下から汲み上げているようですね。
こんな狭い稜線に水場を用意してくれる小屋管理者に感謝☆
奥左手にトイレ↓と、行き止まりに第二小屋↓
↑料金箱 水質成分表まである…↑
この第二小屋↓の右手を登ってしばらく行くと、テン場です。
すごい…まっ平だ…↓↓ これは快適そう~
もう少し登るとまたテン場があり、やはり平。どうやってならしたんだろう??
色々ありそうですが、ス晴らしいですよ、ここの管理者!! しかし小屋前には
「小屋は市が経営しているものではありません。小屋の管理者は市職員ではありません。」
ああ…なんかトラブったんですね……?
テン場から鳳凰三山が見え始めます→
ド晴天も良いですが、こういう「雲海の上にポッカリ出る高山オンリー」な景色もまたステキ。
さらにジグザグ進むと石祠の乗る大岩を巻いて、ザレ気味の斜面のハイマツ帯となってきました。
山頂が見えてきましたよ~ ↓
「七丈小屋」から35分(1h)で「八合目御来迎場」(H2,680m) ↓
折れた石鳥居が良い演出をしていますが、バックを彩る甲斐駒(というか岩!)がまた圧巻。
こんなに間近で見ても、麓から見るのと同じ印象を与える形ですねえ。どこから見ても、甲斐駒は甲斐駒ってとこですかね。
ルートも「岩と戯れる度」が強くなってきました。しかしこうなってきたらもうこっちのもの。岩場は大得意なので、更にタイムを縮めますよ!
八合目からも見えた、岩の上の鉄剣2本↓
う…っしかし神経痛が…(笑)
↓休憩に良さそうな大岩が乱立する広場。
わき目もふらず山頂を目指す登山者が、山頂目前でいきなり念入りなストレッチをしている私を訝しそうに見ていきます。ああ、恥ずかしい…
そんな時にふと左手を見ると……
↓↓「駒ケ岳本社」発見!!
山頂より手前にあったんですね……
実はこれが私の本来の目的。山頂なんてどうでもいいんです。何故って……
←これですよ、これ!!
右奥に見えるは仙丈ケ岳。
手前には大国主の神像もあります。
時間をかけて参拝し、爽やかな気分で進むと、左手からザレザレ登山道と合流→
ここから人が一気に増えます。
その合流点からすぐ、「八合目御来迎場」から50分(1h30m)で甲斐駒(H2,967m)↓
写真には映っていませんが、すんごい人だかりでした…… そして何これ↓??
何でも南アルプスバスが「北沢峠」(H2,030m)までバスを運行していて、そこから4時間くらいで例のザレ場を登って山頂へ来られるんですって。
ロープウェイとか新道とかバスとか………
は…っなんて邪道!
「甲斐駒」と言えば黒戸尾根、黒戸尾根を通ってこそ「甲斐駒」!デスよネっ?(←偏見)
←山頂にも祠があったので参拝し、景色が良いので写真を取りまくり、なんだか北斜面に雷鳥も居たようですが……
喫煙野郎と黄色い大声で喋る中年女性(多分本人は山ガール気取り…)にとても堪えられず、5分でサヨナラ~。
ああ、南アルプスの良さはその「アクセスの悪さ」だったのに……
七丈小屋休業で困っていた1泊予定の人たちは北沢峠への下山に舵を切り替えたようで……そういう意味では選択肢が多い方が良いのですが、マナーの悪い人は大体簡単なルートから山頂ににじり寄ってくるので、どうも気に入りません。
そんなわけで、往路に目をつけていた大岩まで戻って、のんびりランチ&ストレッチ。
鳳凰三山↓ 富士山↓
木曽駒↓ うっすら御嶽山↓
宝剣岳も槍も、肉眼で認識できました…
頃は12:00、風がないので丁度良い暖かさ、しかも静かで最高
おっと、「メタボ男子A」が登って来ました。登山開始からヘロヘロで、てっきりリタイアかと思ったのに……偉い! 追い抜いてきたシニア数名にはこの後も遭わなかったので、全員引き返した模様です。
山頂から35分(50m)で「八合目御来迎場」。
すっかりガスってしまったので、サクサク降りて「八合目御来迎場」から25分(40m)で「七丈小屋」。
←ここのトイレ洋式バイオで¥200と高め、しかし造りがとても良いし清潔なので、納得の値段です。
通常、日帰り登山中は一度もトイレしないのですが、神経痛になったら下山でも大体標準コースタイムの倍はかかるので、ここでトイレタイム&重厚なストレッチ。
坐骨神経痛抑制の為のストレッチは少々奇妙なので、見ている人から「脚どうかしたんですか?」と聞かれます。微妙な症状(実際は元気でペースも速い)なので、説明するのは難しい……
「今はどうもしていなんですけど、これからタイヘンなことになる予感なので、予防中です」。
一応、ヘッドランプとストックと防寒シートは持ってきた。雨避けできそうな岩の隙間も、往路にチェック済。食糧はまだまだ十分ある。
さあ、下山だ!
←こんな処も実は右の岩に足場的な窪みがつけられていて、簡単に昇り降り可能。
連続ハシゴで垂直なのは1~2箇所なので、手を使わずにゴンゴン降れます。「七丈小屋」から30分(40m)で、再び「五合目小屋跡地」→
写真右手を更に100mほど登ります。嫌いな降り下山時にチョット登るのは嬉しいものですね。本当はず~っと登っていたいのですが……
「五合目小屋跡地」から30分(50m)で「刀利天狗」。
下山時は例の「軽装中年男性B」と「体調の悪いトレランナーC」と私(軽装中年女性D/笑)の3人で、抜きつ抜かれつを繰り返しました。因みに正常なトレランタイムは「登り3時間、下山2時間」だそう。
C氏に「トレランに転向したら?」と誘われ?ましたが、とんでもない。私にとって山は神域であって、修行場ではあるけれど訓練場ではないですもの。それ以前にもう、そんな瞬発力が無い…
この後、小屋休業を知った人のものであろう荷の一部やテン泊装備のリュックまるごとが放置されていました。道理で「トレランのような格好をしたトレランナーじゃない人」が多いと思った。これから下山してくるつもりなんでしょうが、擦れ違った時間からして確実に日没後だな…
まあ、他人の心配してる場合じゃありません。
ストレッチ、ストレッチ。
「刀利天狗」から55分(1h10m)でようやく「横手・白須分岐」。
↑おや、往路には無かった注意書きが。
ネットでもちょっとかじれば、色々なイザコザも無くなりそうな気がするんですけどね……
ここまでくれば、もう神経痛は出ないと確信。
倒木に座って余裕のコーヒータイムをしていたら、またB氏に抜かされました(笑)
でも、ここからが長いんですよね。
窪地とジグザグを、延々延々……まだ~??
そんなこんなで「横手・白須分岐」から1時間5分
(1h30m)、登山口へ帰還!
コースタイム15h10mを、実質8時間45分、
滞在11時間30分で修了――!!
早速、竹宇駒ケ岳神社へ御礼参り→
朝は余裕なかったし暗かったので、念入りに参拝&撮影です。
不思議なことに、脚の疲れ、体全体の疲労度は大したことがなく……トイレのおかげで登山中に食糧も水分もたっぷり補給できたので、飢えも乾きもありません。何だか温泉に入らなくても平気な感じだったので、そのまま高速に乗って松本へ帰ってしまいました。
翌日(今日)も6時くらいに目が覚めてしまい……体の軋みも痛みもない…… なんだか変な感じ。
本当に2,300mも登ったのかな??? それとも2日後とかにクるんでしょうか(笑)
なんだか「大した事なかった感」が強く、素直に大酒できません。
ルート自体は良かったし、山も神社もPも文句なしですが、キツさはズバリ期待ハズレでした。