Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

☆北ア・針ノ木岳&蓮華岳(長野県) ~針ノ木大雪渓~

日本三大大雪渓のうち、富山県の「剣岳大雪渓」(2km、H差300m)は一番アクセスが悪く、下界からは見えません。一番人気のある「白馬大雪渓」(3.6km、H差600m)は長野県白馬村から入る簡単なアプローチで、人(中でもツアーや初心者)が多くピーク時は行列。
 
残るはこちら――長野県大町市にあり、アクセスは良いのに知名度が低い為人も少なく、しかし戦国オタには佐々の「さらさ越え」で有名な(ホント?)、「針ノ木大雪渓」です。
 
★★★★★★★★ 針ノ木岳(2,821m)&蓮華岳(2,799m、長野県大町市★★★★★★
登山タイム((針ノ木大雪渓ルート、扇沢針ノ木峠間のみ/標準CT):登り2時間25分(5h)----降り2時間10分(3h)
標高差:約1620m  距離:約22km  出発地:扇沢市営P 条件:一人、テント1泊、土~日、曇天/晴天
 
関電の立山黒部アルペンルートが開通する迄、ここが信州--越中を繋ぐ最短ルートだったんですね。
今では扇沢が基点の、黒部湖を見下ろす爺~-針ノ木周遊ルート、または蓮華を越えて烏帽子方面へ行く縦走ルートとして人気。泊まり登山でここを単純往復って「え?」「勿体ない…」だそうで(笑)
確かに日帰りでも両峰アタックできますが、最近「昼にはテント設営し、涼しい稜線で呑みながら本を読む」というのが気に入ってしまっているもので。下界は寝苦しいですしねー。
 
イメージ 1扇沢の駐車場事情ですが、ちょっとややこしいです。(扇沢までは爺ヶ岳の記事でもご覧下さい)
関電の扇沢駅前P(写真奥の正面)は有料(1,000円/日)で、このガード途中の左手に大町市が運営する市営無料Pの入口があり、お盆時期は6時前に市営無料Pも「県道沿い無料P」(Gの登山口付近)もほぼ満車になります。そのあと関電有料Pが満車になると、トロリーバスを利用する人専用の関電無料P(市営無料Pより手前左手)が開場(ヒドイ…)。それも満車になると、一般車両進入禁止のトロリーバス作業道路に路駐できるようになり(無料みたい=ここもバス利用者のみ?)、それも満車になると、関電無料Pより下の県道昇り線に長蛇の列ができる―――という仕組みで。
その列があまりにも延びると、大町温泉郷近くの籠川臨時駐車場が開場になるようです。道理で「アルペンルート 籠川臨時駐車場 期間」で検索してもひっかからなかったわけだ
イメージ 2
ちなみに、大町温泉郷に停めてバス利用だと片道950円/人と非常に割高。
お盆時期に扇沢Pにすんなり停めたいなら、とにかく早朝に着くしかありません。
 
私は6時前に着くも、無料Pの空きを探してウロウロしているうちに7時近くになってしまい、関電無料Pよりもっと手前の奥まったところに何だか怪しい木立の無料P
を偶然発見し、残っていた最後の1台スペースに何とか駐車。2日間ですから、助かりました。(2014年夏、このPは整備されてわかりやすくなりました)
イメージ 3トロリーバス路線の入口左にある登山口(H1,433m)。
登山道は、ジグザグ昇る作業道路を何度か突っ切ります。道路をそのまま歩いてもOK。
イメージ 4やがて左手奥に、本格的な登山口が→
雪渓の始まり(雪渓尻)まで、ブナの森林帯を緩くアップダウンしながら山を巻いて近づきます。蒸します。
イメージ 5←ダウンの処で、何度か伏流水による綺麗な沢を横切るので、飲み水には困りません。
 
登山口から45分(1h30m)で大沢小屋(H1,674m)↓
イメージ 6貸アイゼンは片道¥500(大沢小屋<-->針ノ木小屋)。
登山道を挟んで反対側にテン場あり。
イメージ 7←小屋入口にある、噂の百瀬慎太郎レリーフ
「このお社は山の神ですか?」
「違うよ。なんだっけなあ……ここの孫が、蓮華の山頂にあるけど」

むむむ……今日は曇天なのでピークハントはどちらか1つだけにしようかと思っていたのですが、この言葉で
針ノ木より上にきました、蓮華。
 
小屋からの登山道も相変わらず緩い左まき、赤石沢の雪渓が見えています。
やがて岩を左巻くと……初めて大雪渓が見えました↓
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2km程、H差は600m強のよう。山肌にはキスゲコバイケイソウなどの高山植物が咲き乱れ、雪渓の下部は水量の多い川となり、どんどん短くなっていきます。でも今年は、8月にしてはよく残っている方なんだそうな。
クレパスが発生し雪渓が歩けなくなると、谷の左岸を通る夏道に誘導されます。
 
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さて、岩に腰掛けて、アイゼン装着。
持っている本気アイゼン(12本爪)では何か恥ずかしいので、急遽6本爪の軽アイゼンを購入。それでも何度かズルズルと滑りました。三大雪渓のうち一番急です。
そして実は雪渓歩き、登山道の一部として横切ったことはあっても下から登り詰めるというのは初体験。人が少ないのであまり「道」が出来ていない為、ついつい真っ直ぐ登っちゃうせいもあり……ズルズル……
 
そして吹き降りる風が雪をなめて冷たい!……のと、本来の生暖かい風と腐臭(雪渓の上に積もっている小枝や落葉の??)が混じって顔を撫でていくので、爽やかなんだか気持ち悪いんだか………

下を見るとこんな感じ↓
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直登は好きですが、やっぱり6月の、まだ綺麗な雪渓を登りたいものです。
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←もう何箇所か穴が。

マヤクボ沢との分岐あたりで、右岸の夏道へ。ここは雪渓内も、こんな色とりどりの「鯉幟り」↓が誘導します。
(普通は赤い幟や赤い粉)
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後ろを振り返ると、Gがうっすら見えてきました↓
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この後も何度か沢を横切ります。
小屋の水は有料なので、左岸へ移る前にペットボトルを満タンに。右手には雪渓の先端も見えて、春ならここまで真っ直ぐ来られるんだろうなと想像が。
 
左岸に移って、最後の登り↓ ここが一番キツいかも。
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脆い斜面を、ジグザグジグザグ黙々登ると……大沢小屋から2時間40分(3h30m)で↓針ノ木峠(H2,536m)イメージ 15
  
針ノ木小屋では軽アイゼンがレンタルと同時に一足\3,000で販売されていました。他にも生ビール、チーズケーキにハーゲンダッツ…北アの小屋は、本当に色々やってます。
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ここのテン場は受付時に場所が決められる指定制。
段々畑部分もありますが、それぞれの区画内は結構平らで快適。

しかし、1~10はトイレに近いのでちょっと臭いが……
私は段々畑部分の15番だったのですが(左の写真の上方、緑のテント。コバイケイソウ咲き乱れ。今年は当たり年なんだそう)、誰かが利用すると仄かに臭いました……
 
それもそのはず、この屋外1戸建ての無料トイレ(和式)、垂れ流しなんです!  ひええ~

小屋の人は「地下浸透」と表現していましたが、便器の下は大岩で、地面見えてますよ…
小屋の有料トイレは土間式洋式のバイオトイレで¥100。とても綺麗。
エコロジストならこちらを利用したいものです。(通過者やテン泊者は小屋の南側のドアから土足で入れます)
 
イメージ 17テント張った後にどちらかのピークアタックをするつもりだったのですが、どちらの山頂も曇っていたので明朝に延期。まだ14時ですが、ビール開始!

今回からテントの下に、防災用の薄い断熱シートを設置。あ~やっと寒くなくなった……
ウレタンのついた厚手のシートは、ボコボコ解消にはなるけど完全断熱にはなってなかったみたいです。
これなら9月に入ってもテン泊できそう……
 
テントから見える風景→
左が北葛で、正面は七倉でしょうか。船窪小屋は認識できません。ここからは、針ノ木山頂も蓮華も見えず…
イメージ 18←翌朝。あれ?七倉の右奥に槍が見える……。
ふと東を見ると……晴れています!
まずは  お社  花の名山&300名山の蓮華岳へ。
 
登ってすぐ撮った、蓮華の陰に入っている小屋周辺↓イメージ 19
正面の針ノ木岳は雲雲ですねー
 
蓮華は緩やかに長くて山頂が中々見えないのですが、久々の軽装(ウェストポーチ)の為、身軽です。
(礫斜面に出ると強風で寒くなるので防寒着必須)
 
よく見えませんが、全面にコマクサが↓
イメージ 22うわー。天然でこれだけの群落って珍しいのでは??
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さすが花の名山。撮影しようと立ち入って踏み潰す人が多いんでしょうね、こんな石が沢山ありました→
 
何のためのズーム、何のための高機能ですか…
あ、スマートフォンで撮ろうとしてる?
現代人は「諦める」ということを知らないから困ります。
 
私の安物カメラ(\5,000)でさえ、これだけ撮れるのに↓
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そしてようやくお目見えです、「大沢小屋のお社のお孫様」。石標はなんと、「若一王子神社奥宮」→
里宮は「いつか行く」にリストオンしているのですが、街中にあるものだからついつい後回し。期せずして先に奥宮へ参るとは…これは早めに里宮へ行かねば!
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そこからすぐ、針ノ木峠から40分(1h10m)で
蓮華岳山頂(H2,798.6m)。

お社の方を振り返ると、針ノ木岳は依然モクモク↓
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北には人を誘うような尾根が伸び(登山道無し)、南に「蓮華の大降り」(↓遠くに槍)
イメージ 28今度来る時は、ぜひあそこを縦走したい……
 
山頂から30分(50m)で針ノ木峠へ帰還。
針ノ木岳方面は相変わらず雲ってますが……時間も体力もあるしせっかくです、西へGO!
 
登山道は小屋からテン場の上を通り、まずは急斜。しばらくすると尾根を右巻きに緩く進み(この部分の景色が綺麗!)、山頂に近づくとまた急斜に。

尾根に登ると、初めて高瀬ダム湖が見えました↓
あれれ?槍もクッキリ……晴れてきた…??
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針ノ木峠から30分(1h)で針ノ木岳山頂(H2,820.6m)↓
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後立山連峰の南端、200名山です。
 
昔は違う名前だったのに、峠が富山--長野を結ぶ要所としてあまりに有名で、近代にはいってから峠と同じ名前にされたんだそうな。
 
針ノ木=ミヤマハンノキらしい。
雪渓の両岸の斜面に斜めに群生していたアレかな?
 
←奥に見えるのが槍、左下に見えるのは高瀬ダム湖。
 
西はまだガスっていたのですが、しばらく待っていると―――晴れた……! 黒部ダム湖です!
                             立山↓                 剣岳
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わ―――あれが噂の(←行ったことない)……
ダム施設も見えるし、とんでもない処にロープウェイ駅も見える……人間って凄いなー
立山登山には必須なんですよね、黒部越え。来年こそ行きたい。
 
イメージ 30北を見ると、Gへ続く後立山連峰の稜線が→
 
Gはもちろん(右に切れてます)、鹿嶋槍、五竜までクッキリ。目の前のスバリ岳の岩岩がまた美しくて……

帰りに振り返ると、
針ノ木とスバリ岳の間↓から剣岳が。
イメージ 31
 
イメージ 32←蓮華もクキっと。
 
この後小屋へ20分(30h)で戻ると、稜線は急速にまたガスに包まれていきました。
素晴らしいタイミングでした。
 
大雪渓は人も少なくイイ感じ、ルートは単純で適度にキツく、峠は快適、名峰を2つ楽しめ、花と槍とダム湖に連峰、見放題……。
針ノ木、一粒で何度も美味しい処ですねー
 
イメージ 33そんなこんなで名残惜しいですが、この日は松本山雅のホームゲーム(KO18:00@アルウィン)。
 
スポーツ観戦にはさほど興味は無いものの、夏のスタジアムで飲むビールが大好きなのと、職場がスタジアムにとても近い上に職場に沢山サポーターが居るのと(弱いのに、J2観客動員数3位…)で、ちょっと行ってみることに。
タイムアップは10時、時計は9:40―――――下山です(>.<) チッ
 
小屋常駐の遭対協のお兄さんは、早朝からずーっと小屋直下の急坂を睨んでいました。滑落者が出ないかどうか、見張ってるんでしょーか……
 
帰りの雪渓はアイゼンがあればラクなもので、サクサクザクザク真っ直ぐ降り。爽快。
12本爪も何人か見ました。

昨日は無かった大きなクレパスが口を開けています。そろそろ夏道かな。
 
マヤクボ沢を見上げると、針ノ木岳が→
 
イメージ 34針ノ木峠から1時間30分(2h)で大沢小屋。
下界はすぐ。
←うわ、作業道路にまでギッシリ駐車。
 
大沢小屋から40分(1h)で登山口へ着き、そこから空車待ちの車列を見ながら、Pに帰還。。。
市営無料Pに空車があるのに……関電と大町市のP誘導員は、まるで連携しないんですね
教えてあげたいけど、この間に市営が満車になっていたら責任とれないしなあ……
 
とにかく登山者は早朝到着!基本です



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イメージ 35
<2014年5月31日登山>
慎太郎祭の前日に登ってみました。

砂防堤から小屋のある峠まで雪渓が見事に繋がっていて、折りしも梅雨入り直前の大快晴。秘蔵の12本爪アイゼンで楽々直登。

←下山時に撮った、翌日の為の斎場と大雪渓
  (夏の「大雪渓がやっと見えた地点」より
  ずっと下)。  15時過ぎで雲一つないド晴天。

この季節の雪渓は真っ白で綺麗……

翌週だと思っていた山開き・慎太郎祭。この祭りが「この後は素人さんでも、登ってオッケーよ」な目印です。
なのでいつもより人が多かったはずなのに、駐車場はガラ空き。

イメージ 36

この峠直前の最大傾斜部分を登っているのは、職場の山仲間たち。みんな山を始めて2年未満の初心者ですが、この為に軽アイゼンを買いました↓

あの果てを越えると、針ノ木小屋(半分埋まってます)のある針ノ木峠

伏流水の沢も雪解け水が豊富。
各ゲレンデが閉鎖した後は、山スキーヤーがウゾウゾ集まる大雪渓、針ノ木。それでも人は少ないし、GWを過ぎてしまえば、雪崩や落石の心配もそんなに無いし。。

とにかくこんな直登はそうそうナイ!

オススメします。