Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

☆北ア縦走・白馬大池~不帰の嶮(長野県) ~栂池平/八方尾根~

何故「白馬三山~唐松岳」ではないのか……と申しますと、2日目から天気が非常に悪化し、三山でも唐松岳でも何も見えなかったから。そして元々ここを通過するのを最大の目的として行ったから……
 
                                                                                          
そう、メインは「岩好きにはたまらない北アの嶮」、麗しの不帰(かえらず)エリアです
                                                                                                        
★★★★★★★★ 白馬大池不帰の嶮(長野県小谷村~白馬村★★★★★★★★
登山タイム(ルート/標準CT):登り(栂池平/3h20m)---縦走7時間46分(11h50m)---降り2時間(八方尾根/3h20)
標高差:UP2,040m/DWN2,285m  距離:約7.4km+縦走15.5km+5.1km=TTL28km
出発地:栂池自然園  条件:一人、テン泊装備、土~2泊、晴天/暴風雨/曇天
 
今回は八方第3Pに車を停め、日帰り知人にP/Uしてもらい、白馬大池まではグループ登山。(よって登りの実質タイムは省略) 予報は曇天/晴天/晴天だったのに………今年の夏も、天気予報はガタガタでした。というか、夏の山はこういうもの。
 
栂池のゴンドラ前Pは冬期無料ですが、夏季は¥300/日。
最近スキー客も減りましたし、山ブームで夏の方が実入りがいいのでしょうか、強気です。
ゴンドラ中間駅のPは無料ですが、ピーク期に中間駅から乗るのは至難の業。
 
Pから登山出発点まで、まずは栂池パノラマウェイで麓の「栂池高原」からゴンドラに乗り、20分で「栂の森」へ。そこから林間を少し歩き、「栂大門」からロープウェイに乗って6分で「自然園」へ。片道¥1,720。
始発(ピーク期でも6:30、遅い)に合わせて行ったのですが、どちらも行列……。

因みに「栂」(つが)というのはシラビソのこと。
北アの高山帯によく生えていて、この時期黒紫色の松ぼっくりが樹上にチョコンと座っているので判別しやすい。
 
ロープウェイを降りて真っ直ぐ進むと栂池自然園の入口があり、手前の土産や飲食店を通り過ぎて右手に行くと、登山口。久々の登山者カウンターあり。
登山、開始!
 
イメージ 1栂池ルートは結構段差のある岩道で、緩急激しい印象。初心者にも人気ルートの為、登山道は行列です。

←登山口から(1h20m)で「天狗原」(H2,180m)。
木道が少し設置されている湿原。到着後数分でいきなり晴れてきて、↓白馬乗鞍岳がクッキリ。
イメージ 2
一瞬、不帰も見えていたようです。
ここで後ろを振り返ると岩の上に小さいお社が…! 木道歩きもしたかったのですが、時間も無いのでまたの機会に…
イメージ 4
緩い「天狗原」を過ぎると、大岩道の登り。
やがて雪渓の左脇の岩を登り、上部で
←雪渓(というか、雪田?)を横切ります。
 
雪渓の後、暫く登ると緩やかな森林限界丘陵に出て…
「天狗原」から(1h20m)で「白馬乗鞍岳」(H2,436.7m)↓
イメージ 5
近くに大きなケルンもあり、記念撮影で大賑わい。
イメージ 6
そこから北西へ降ると白馬大池が見えるはずが、
←相変わらずガスガスで…
と思ったら突如ガスが晴れた!
 

白馬乗鞍岳」から(40m)で「白馬大池」(H2,379m)。↓
 
イメージ 7イメージ 8

おお、小蓮華クッキリ↑                             赤い屋根は白馬大池山荘
イメージ 9←白馬岳方面へ少し歩いていった場所から撮った、山荘とテン場。途中には「白馬方面への14時以降の入山はご遠慮下さい」という看板が…
 
ここのテン泊用トイレは屋外戸建ての洋式ボットン。水(融水と雨水)が豊富なようで、手洗い・炊事場に蛇口あり(給水無料)↓
イメージ 3
 
到着後すぐにテント設営をし、皆でランチして日帰りチームとお別れした後は、池の傍でビール呑みながら読書。付近はコバイケイソウチングルマハクサンイチゲが盛り。池は透明度が高く、サンショウウオが居るそう。
 
夜、テントを出ると星が綺麗に……というか、気味悪いほどギラギラ瞬いて、南の空には流星群が。
だからまさか翌日があんな天気になるとは、想像もしていなかったのです……
 
イメージ 10翌朝。

恐らく4時頃でしょうか、風が強くなってきました。
しばらくすると激しい雨。
あの……今日は快晴のはずじゃあ…
予報大ハズレですね。今日明日はもう、予測できません」。小屋の人も笑うしかないという感じ。
←こんなものしか撮れなかった…
 
雨が降ったら栂池に引き返してさっさと帰ろうと思っていましたが、ここで帰ったら次にいつ来られる?不帰!
車だって八方に停めてあるし、雨だからって歩けないわけじゃないし、明日は晴れるかもしれないし……!
 
6時。
雨足が少々弱まった隙にテントを畳み、出発です。
 
小蓮華あたりから雨が激しくなり、富山側から強風が襲ってきました。な…なんて凄い暴風雨……っっ
 
「っていうか、これは嵐ですね…っ!!
登山者同士、投げやりな会話を投げあい、擦れ違い。
 
そして、ビギナーを含んだ団体(20名以上…)多数が往く手を阻みます……
おかげで登山道は大渋滞!
こういう時、遅い人は無理に頑張らず、途中で脇に避けて休憩してほしいんですけどね~。
登山レベルが低い人はそのタイミングも計れないから、そこは同行するベテランが配慮すべきなんですが……狭い稜線に悪天候が重なって、擦れ違いに注意するので精一杯という感じでした。トホホ…
 
イメージ 11白馬大池山荘」から2時間20分(3h30m)で「白馬岳」(H2,932.2m)。「白馬岳」から6分(10m)で白馬山荘
ちょっと何か買って休憩しようかと思ったのですが、売店はレストラン風の食堂の中。そこに入るには雨具を全部取り払わなくてはならず、なんか面倒くさい……
ツアーはここから東にある白馬大雪渓を登ってきますから、この山荘がツアー拠点のようになっていて、中は人も多いです。もう、杓子岳へ行っちゃおう…
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ここから先、いきなり誰にも遭わなくなったので、なんか違う世界に入ってしまったのではと少々不安に。ガスで周りが何も見えないくせに、目の前のお花畑がやたら綺麗なのがいかにも危ない感じ。雨はやみましたが、風はどんどん強くなり、息も苦しい……イメージ 20
白馬山荘から(1h15m)で「杓子岳」(H2,812m)……を巻き道でスキップ。こんな強風の中、稜線に出たくない…
 
ここで遭対協の人と擦れ違い、「良し、現世だ」と確認。
 
↑「杓子岳」から(1h)で「鑓ヶ岳」(H2,903m)。風が弱くなってきたので行ってみた。
初めて見た、ウルップソウ
イメージ 21
←ガレ場の後に雪田を横切ると……白馬山荘から2時間30分(3h05m)で天狗山荘(H2,722m)。
 
ここには「11時以降、不帰方面行きはご遠慮ください」の看板がありました。
イメージ 22
トイレは屋内土間(土足で入れる)の洋式ぼっとんですが、綺麗。水場は雪田の融水。
 
テン場は東斜面にあり、晴れていたら下界くらいしか見えそうもありませんが、ガス効果で幻想的→
この後は晴れたりガスったり、降ったりやんだり…

翌朝。
ガスが深いですが、雨は降っていません。
よし……。行ける、行けそう、行きたい、行こう!の四段活用で、南へGO!

「不帰の嶮」は、3年前にその南端をちょっと歩いてから憧れ続けた素敵エリア。
とにかく岩がいい、谷が綺麗、全てが美しい。超好み。
でも、日帰りで通り抜けるには猿倉から相当朝早くに登らないとダメなんじゃないかという標準コースタイムで、
中々トライできなかったのです。せめて八方尾根のゴンドラがもっと早ければ……!
 
イメージ 23←右に「天狗の頭」を見ながらしばらく緩やかな原を歩くと、「天狗の大下り」開始↓
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ここも大きな岩の斜面を通る、楽しい岩場でした。誰も来ないので、ザクザク降りられます。クサリがあるけれど、使わなくても平気なくらい。
普段アップダウンは「せっかく登ったのに降りるなんて…」とガッカリなのですが、こういう斜面なら喜んで!!
まして次の登りは「不帰」ですし…
ここでガスがサ~っと晴れてビックリ。右手に見える谷間いの景色がまた、最高に綺麗!!
 
そして……「不帰の嶮」全景が見えた―――!↓↓↓↓↓↓↓
イメージ 25
ステキ……早く通りたい……っ
 
ところでこの後に通ったはずの「不帰キレット」ですが……標識、多分無かった。
「八峰キレット」みたいな狭窄切り通しをイメージしていたので、気付かなかった。
多分、あの「天狗の大下り」が終わった後の一番細いところがそうだったんだろうなと思いますが……
つまり正直に言いますと、どれがキレットなのか全くわかりませんでした。
 
イメージ 26というわけで、天狗山荘から1時間10分(2h)で「不帰の嶮」に突入。
まずⅠ峰を越えると、Ⅱ北峰の北壁が出現。
←多分、ここが一番楽しい部分です。
 
雨で少々濡れていて、ちょっと滑りやすい岩質。
そして今までの岩場に比べると鎖も少ないし確かに急ですが、ホールド部分は多くそんなに危険は感じません。元々極力鎖は使わないで登るので難なく登れ、2回ほどテン泊装備がひっかかりましたが、問題無く通過。難易度はそんなに高くないと感じます。
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それでも、ロッククライミングをやらない私にとって「登山」として通れる岩場の中では、ステキ度二位。(一位は妙義山。西穂の大キレットと一の倉はまだ通っていない)  楽し~~~~っっ
 
時々ガスが晴れるので、ところどころで写真を撮りながら……
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 ↑「自分たち遅いので」と先に譲ってくれた方を、上から撮影。岩場の素敵さは人が入るとわかりやすい。
 
←岩場の途中で、Ⅰ峰を撮影。
 
Ⅱ北峰まではこんな感じで連続クサリ↓
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ドキドキワクワク、嬉しくて楽しくて、胸が苦しくなってきた ああ、来て良かった……と言うか何て言うかもう…もう…っつ 好きだ「不帰」……っ!
 
最後は岩頂を巻くように進み、北峰に登るとその先は普通の稜線。あ~あ……終わっちゃった……
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←Ⅱ北峰山頂から撮った、北方面の景色。
奥が天狗、真ん中がⅠ峰。
 
Ⅱ北峰山頂↓ モニュメントのよう…
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……さようなら、愛しのⅡ北峰……↓
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以前ここを通った時も、程よくガスがかっていました。快晴よりも、こういう天気の方が岩が映えますね。
 
Ⅱ南峰から撮ったⅢ峰↓
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Ⅱ~Ⅲ部分は西側の谷の景色が素晴らしいのですが、
この頃はもうガスガスで何も撮れず……
 
とにかく期待通りの素敵さでした、「不帰」
可能ならば今年中に、もう一回通りたい…
 

2015年残雪期(5月)に八方尾根から撮った不帰全景↓     ↓この猫耳がⅡ峰で、これがⅠ峰↓
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  ん?もしかしてⅠ、Ⅱ、Ⅲって、北から順番に数えているんじゃなくて「峰の数」?

この後はもうどうでもいい部分。
「不帰キレット」から1時間30分(3h)で「唐松岳」(H2,696.4m)、そこから10分(15m)で「唐松山荘」(H2,650m)。山荘からは東側へ一気に下りです。下山路については、以前の記事でも見てください。
ちなみにアルペンラインですが…―――
「唐松山荘」から1時間30分(3h)で八方池山荘(H1,930m)。そこからトレッキングコース(ジグザグ石畳路、あまり除草されていない…)を降り、黒菱平へ。前回はここから黒菱Pへ降りましたが、今回は第3Pへ停めたので、ゴンドラのある兎平へ降ります。
 
ゴンドラ乗り場手前には、靴の洗い場を発見(ブラシも設置)。
登山靴についた泥には植物の種子が紛れている可能性がありますから、登山前後にブラシでこそげ落とすのがマナー。ここで洗えるなんてとても便利。
 
ゴンドラはリフトと同じく「料金所は麓駅にしか無いので、後払い」と言われ、下山客が他に居ない中悠々乗車。「こいつ未払い」という印でしょうか、私が乗ったゴンドラの正面に、赤旗が立てられました。
なんか優越感が。
 
ゴンドラを降りるとスタッフが一人付き、外のチケット売り場まで裏道で誘導します。
なるほど、大きい荷物を持った汚い登山者が、綺麗な観光客が溢れる狭い土産物売場や飲食フロアに行かない
自然な形となる、良い仕組みです