Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

北ア・風吹大池と風吹天狗原(長野県小谷村) ~土沢ルート~

毎年激混み「海の日3連休」
しかし今年は暦の都合で「関東甲信越の梅雨明け前」に設定されてしまい、果たして山は混んでいるのか空いているのか判断尽きかねるカレンダリングに・・・・・・。
どちらにしても天気悪そうだし、引越し準備でそれどころじゃないので予定していなかったのですが、17日の夜にふと天気予報を見ると「18日以降ずっと晴れ」(=梅雨明け?)なんて予報が出ているじゃありませんか。
 
月後半は引っ越し間近で余裕無いだろうから、今週登っておかないとね♪と理由をつけて、真夏(7~8月)じゃないと寒くてちょっと・・・な北アの最北「白馬エリア」の地図をチェック。
ありました、信州側でまだ、登ったことのない山が。
★★★★★★★★ 風吹岳 (1,888m、長野県小谷村)★★★★★★★★
登山タイム(土沢ルート/標準CT):登り2時間(/3h)---降り1時間20分(/2h30m)
標高差:約800m  距離:往復10km+周遊1.8km  出発地:土沢P  条件:一人、日帰り(3連休最終日)、曇天
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この山、山ではなくその下にある「風吹大池」が有名で、地図によっては「秘境」と表現され、静けさに憧れるシニアや乙女には人気の場所らしいです。
よって山地図にもウォッチズにも周遊ルートしか載っておらず、柱体の標識を見誤ると山頂や「神ノ田園」には辿り着けません。ぜひトコトコ登山の記事の地図をチェックしてから行ってください。小谷村のサイトもオススメです。
 
朝6時、松本を出て白馬エリアまでは、裏道を使ってアクセス。八方から先は裏道が無いのでR148に入り、姫川沿いを北上します。
長いトンネルを抜けると右手に北小谷駅、そして大きな橋を渡ると、左手に道の駅「小谷」が。
橋の手前のR148沿いには「風吹荘→」という青看が見えますが、この道の駅「小谷」のPの更に北側の道に左折して入り、T字路で右折した方が早いです。
このT字路右折から道ナリに行くと来馬温泉・風吹荘で、その前を過ぎて村落の狭い道を通り抜けると、Y字路?に一本柱の「風吹岳→」という看板が。(この→が草に隠れて見えないところがトリッキー)
 
ここを右折すると、コンクリ舗装路の道4kmとなり、最初は急斜面に張り付く村落の生活道路をゴンゴン登り。森林帯に入ると、やがて大きい看板が↓
「登山口まで車で20分」→ イメージ 2
多分、この写真左手を真っ直ぐ行くと、「北野登山口」↑。ここを右折して、いよいよ未舗装路(ジャリダート)5.5kmに入ります。
 
ワダチは噂ほど酷くはなく、Wのクーペでも通れましたが、ジャリの中に尖った石が見え隠れするのでちょっとドキドキ。
うんでも、問題無い。八ヶ岳(唐沢鉱泉や夏沢鉱泉)へ行く時の道よりマシなくらい。ファーストorセカンドギアで、つづら道をグイグイ登ります。
道は途中で一旦降って谷に降り、橋を渡るとまた登り始め……行き止まりが「土沢P」(H約1,095m)。↓↓あれ??誰も居ない。。。(停めてあるのはWの車)
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いくら梅雨明け前といっても、3連休なのに…
人気と聞いていたけれど、そういえば前述のトコトコ記事もヒットした山ログも、全部秋でした。9割樹林帯ですからね… 「紅葉シーズンが人気」だった模様。
でも、秋だと湿原が茶色いし、花はこの季節の方が多いのになあ……
 
気を取り直して8:45、登山スタート!
登山口↓↓ 「大池まで2時間」は多分、「小屋主人タイム」。 
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そしてあの看板↑には、コンパス長野県警メール登山届けのQRコードが↑↑ その下には英語、ハングル、中国語、台湾語の説明&QRコード!!
(土沢の英語がTsunzawaになってる・・・そうか、地元発音はそうなのか・・・)
7月から長野県では「登山安全条例」が施行され、指定山域での登山届が義務化されたので、それで設置した看板のようですね。罰則はありませんが、ぜひ登山届を出していない人には保険金が下りないようにして戴きたいものです
最初は木立の中の広い緩斜面を登り→イメージ 6
蒸しますね~。
登山道には、山荘までを11分割した標が設置してあります。たまに手書き。写真の1/11を過ぎると噂の「痩せ尾根」↓↓が始まります。↓↓
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これがまた、急流2本に挟まれた見事な屹立地形。両側から勢いのある沢音が聞こえ、自分の足元の土地だけが立派に切り立っているのです。
スゴイ。ステキ
しかしご覧の通りかなり草木が生い茂っていて、「痩せ尾根の良さ」は写真では全然わかりません。(ロープの両側は断崖チックなのに・・・)
 
この尾根の右手が北俣沢で、左手の沢は南俣沢に注ぎ、やがて車で渡った最後の橋の辺りで合流して土沢川となり、来馬温泉で姫川に注ぐんですね。
「川の争奪」の、まさに真っ最中って感じ……果たしてどちらが勝つのでしょう。数百年後を見てみたい

この部分は植生も綺麗↓
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そのうち硫黄泉臭くなってくると、右手の樹木がなくなり視界が開け↑↑・・・何あれ?!スゴイ、渓流が真っ白(薄いクリーム色)!!

地図を見ると「冷鉱泉」「イオウ臭あり」。素晴らしい・・・・・・
これが噂のヌプルペッですね! 下流の方は、岩壁から滲み出てます!!↓ 
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これで温泉だったら、何が何でも ↓あの湯壺まで降りてましたよ、ワタクシ
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ジおたくには堪りませんね、ここ   4/11、「山を美しく」↑
3/11の後は左手にまわって沢から離れるので水の音が聞こえなくなりますが、小さい沢を何回か渡るので水が汲めるようになります。
 
こんなかわいらしい標識 ↓ も出てくる(裏面には「下山者から見た残りキロ数」が
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6/11を過ぎたら、左手の小さい沢の途中に「冷清水」↑
看板には「飲めます」とあり、コップ設置。ここが最後の「そのまま飲める水場」です。拡大↓
イメージ 16そんなわけでこのルート、時期のせいもありますが、かなり湿潤で足場悪し。
 
・登山口から1/11までは「ドロドロ腐葉土の坂」
・それが終わると3/11まで「沢に挟まれた痩せ尾根」
・尾根を離れると5/11までは「道は広いけど腐葉土交じり岩混じりで足場が狭い樹林帯」
・6/11以降は「木の根や笹が這い出る緩斜面をトラバース」も加わり……
ああもう、靴がドロドロ
 
最後は「狭くて緩い沢そのもの」を歩くようにイメージ 17

むう、水が綺麗。
サンショウウオ、居るといいなあ(両生類大好き!)
 
やがて北野ルートとの合流点↓
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ここで北野ルート方面の左手を見ると、木の階段が延々と上まで続いていました↓
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あちらは降って合流するんですね。
ん? もしかして、北野ルートの方が整備されている…??
 
そこからちょっと登ると、土沢Pから2時間(3h)で「風吹山荘」(H1,780m)
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樹林に囲まれた、こじんまりした空間→イメージ 21
 
上の写真の正面は、↓3張分の板を設置したテン場
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そこに、池の水をポンプアップして引いた水道→イメージ 24
 
「生水では飲めません 100円」とありますが、量が書いていません。1Lかな?
使わなかったのでどういうタイプかわかりませんが、トイレも100円。(↓左の赤い屋根の小屋の裏)
右の建物は、ずいぶん縦長な建物だなあと思ってよく見たら、太陽光発電パネルを載せる為のガワを丸々被せてありました
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もう、ホントにもう…っ(北アの小屋って贅沢……!!><)
特に山荘に用は無いので、↓そのまま真っ直ぐ西へ
イメージ 25 木道って贅沢ですよね~
 
山荘周辺に咲いているのは、カキツバタかな?
アヤメは湿地には咲かないし、カキツバタでなきゃハナショウブか・・・・・・と思ったら、高山植物で湿地にも生える↓ ヒオウギアヤメ、ですって。へええ~
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山荘からすぐ、周遊ルートの分岐点。
 ↓赤屋根の鐘は、山荘の人へ到着を知らせるものか、濃霧の時の誘導用か……
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あの向こう↑のモヤモヤに、池が見えています。
先に風吹岳へ行って天狗原を最後にしたいので、この分岐を右手(北)へ→
イメージ 28 ←このタイプの標識って、結構見難い・・・
 
周遊ルートはほぼ木道ナシ→ イメージ 29
 
湿原ではないですが、道は所々グチャ気味。
しかも、池に近づけません…
 
一番池に近寄れる地点からズームで↓
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1/50000地図だと全然わからないのですが、国土地理院ウォッチズで見ると、この周遊ルートは↓このようにほとんどの部分が池から離れていて・・・イメージ 31
東側はロープが張ってあって「立入禁止」。
西側は標高差が約50mあります。

池の水に触れられる白馬大池や八方池とは違って、「遠くから眺める池」なんですね。
むう……つまらん。
イメージ 32←山荘から10分くらいで、風吹岳へ登る分岐点。
 
山頂には何も無いとはわかっていても、時間は有り余っているので300m(H差100)程登ります。
登り始めてすぐの左手の木立の下には、深~い翠色の「小敷池」が。おお、綺麗
これは写真に撮っても何が何だかわからなかったので、現地で見てください。
最後の方は結構急→イメージ 33
↓「風吹山荘」から30分で「風吹岳」(1,888Hm)
イメージ 34←うわ、狭い山頂にムリヤリ東屋(荒廃気味)
東屋の向こう側へ行くと樹林が少し切れていて、ここから妙高や高妻が見えるそうですが、モヤで真っ白。「更に進むと横前倉山へ行く道がある」らしくも、藪々でさっぱりわからず……
10分で下山して分岐点に戻り、更に北へ進んで周遊コースへ

この先も木道はほとんど設置されておらず、しかしヌカルミ、谷沢直登、ドロドロで酷い道。
イメージ 36ミズバショウの巨大な葉がワサワサ発達
とにかく足場が悪い。
なのに、池はほとんど見えない…!!
 
と思ったら、50mくらい登った後に数箇所で樹林が開け、かろうじて池と風吹三山(岩管山・横前倉山・風吹岳。勝手に命名)が見えました。
こっちに岩管山      横前倉山            風吹岳
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モヤもようよう晴れて、やっと見渡せた
横前倉山と風吹岳の間に、なんだかステキな岩が見える。行きたかったなアレ。
横前倉山の下の↓「小敷池」もやっと見え、 山荘もここら辺に↓見えました。
イメージ 38 イメージ 39
このビューポイントから少々降ると、右手に「科鉢池」が↓
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しなはち、いけ・・・? ですかね。
長野県では豊科明科更科のように、科と言えば「シナ」です。シナシナです。だって科野国ですもの!
ん?ということは、「神ノ田園」に行く分岐点を通り過ぎた……?!(←メイン目的の1つだったのに・・・)
 
とにかくこの周遊ルートも、そんな急傾斜は無いのですが、全体的に足場が悪く見通しも悪い。 例えこの池にオオサンショウウオが居たとしても、近づけないから意味が無い。 いいことなんて何も無い
「北ア最大の池」と言っても白馬大池と大差ないし、「樹林に囲まれた神秘的な池」いやいや、それなら大正池でいいんじゃない? なんでこんな処が人気なの??
 
しかしここの良さは、周遊最後にわかりました。↓これです、「風吹天狗原」!!
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イメージ 41 イメージ 42
栂池の「天狗原」は低層湿原ですが、こちらは高層湿原の末期なんですね…… 珍しい~。。。
草原に池塘が点在する希少な風景はモロ好み
素晴らしいっ
 
売りのキスゲは一本も見なかったし、ミズバショウは終わってたし、末期だからか期待していた湿原植物もほとんど無かったですが……

イメージ 43←控えめにワタスゲ(笑)
 
緑美しく、誰も居らず、オール木道で、広いのにちょっと窪地だからか「閉ざされ感」が満々で。
たまに霧が立ちこめると、また一層ステキに。
イメージ 44
むはああぁ~
「神ノ田園」の方が池塘が多いみたいですが、ここも素晴らしいです!
 
ここで本日二度目の休憩。木道廃材の上に腰を下ろし、プレミアムモルツ「香るエール」をプシュっと。
ああ…来て良かった……
 
最近新居準備や引越し手続きで原稿も出来ず漫喫も行かれず、ギスギスキリキリしてたので、良い息抜きになりました。
いい汗かけて、景色も良くて、エールも旨い。。。
ホント、最っ高ですね!
イメージ 45←栂池方面へ行ったところの森林帯に入ると、またミズバショウが旺盛に。こっちは13分割。

そこから見た、風吹天狗原と風吹岳↓
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栂池の天狗原まではここから登り3h。山荘で1泊して、白馬大池まで往復してもいいですね。
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↑「風吹天狗原」から山荘へ戻る下り道もずっと木道。
 
但し、またまた文句を言わせてもらえばこのエリア、ベンチが無いです。
登山道では座れる所など皆無(敢えて挙げるとすれば7/11より上の倒木くらい)。
周遊コースにもベンチどころか、ちょっとしたスペースすら見事に無い。(「ほら、ここで小敷池を見なさいよ」な張り出し部くらいしか…)
 
天狗原に入ったらやっと一箇所、倒れた看板によれば「展望台」という場所に板が置いてあったのでそこで休憩したのですが、そこも3~4人しか座れない。
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あとは池の南端(池に最も近寄れる処?)にこんなベンチが一個と↑、山荘の前に同じベンチが2個あるだけで・・・
 
今回は登山中3人に出会ったのですが、ストックを手に持ってる人は山荘主人に「ここから先は使わないで!」と大声で注意されてたし、なんだかあまり歓迎されてはいない雰囲気です
群落をなしていたこの葉っぱの緑が綺麗イメージ 49
小さい花もところどころに↓
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実際、歓迎してはいないんでしょうな。
湿原や高原の池なんて、人が多く来ればどんどん荒れれて汚くなるものだし。ここはどう見ても、そんなまとまった人数を受け入れられる体制は整ってない。
なのにここに憧れるのは、大体がストック愛用者(弱体者や高齢者)で登山道耕し隊で。
 
山にとって環境的メリットのある人間など一人も居ません。人間なんてもう、居るだけでデメリット。ストック愛用者はその中でも「環境的デメリットMAX」、と言っても過言ではありませんからねえ
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さて、ステキな湿原を後にして、また↑グチャグチャ登山道をガツガツ降り、1時間20分(2h30m)で下山。
 
ゆっくりダートロードを戻ったら、道の駅「小谷」深山の湯へ!
 
下駄箱が異常に少ないのですが、脱衣所まあまあ、洗い場多め、浴槽は「熱湯」(ねっとう、ではない)、「寝湯」「ぬる湯」と露天風呂があり、全て掛け流し(これ、重要)。しかも信州では(というか全国的にも)珍しい、炭酸水素塩泉
¥620(レストランで飲食すると、半額返金☆)
 
実は小谷村、IターンUターンにかなり力を入れていて、補償やサポートが手厚いです。観光客にも色々と親切で、行政や観光課がホントよく頑張ってる。。。
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杜氏も居るし、温泉は多いし、「塩の道」(千国街道)もあるし、クマやカモシカの毛皮もお安く売ってるし、渓谷が綺麗で山菜木の実は取り放題―――と、夢のよう。

気候的にはほぼ北陸で雪深い村だけど、仕事さえ見つかればここに住みたかったな~と思うほど。
白馬村ならリゾートホテルの求人がわんさかあるのですが、不規則な時間勤務は健康に響くので、余程お金に困らない限りもうホテル業に戻る気は無く……)
 
山抜きの観光だけでも、オススメしますよ、小谷
 
   参考:他の登山ルート   
 
<北野ルート>
土沢の南側にあり、こちらは登山口Pまで舗装道路。
その舗装道路は山地図では「公式には車の進入禁止」となっていて、Pマークはありますがゲートマークもあり、「行ってみて閉まっていたらヤだなあ」と思って今回は土沢にしました。登山道はウォッチズには載っていませんが、山荘主人はこのルートで通っている、とか。。。
Pは土沢より台数多め。登山距離は土沢より500m短いけれど、アップダウンあるので標高差は大差なし、前半はチョイ湿潤。どちらが良いかは人によりそう。
 
<栂池ルート>
風吹は栂池の天狗原からアクセスするこのルートが推奨されていますが、土沢にも北野にも公共交通機関は無いので、また栂池に戻らないといけません。栂池ロープウェイの時間も限定的ですし。。。風吹大池だけが目的なら、やはり東側から直接アプローチするのが良いと思います。
 
蓮華温泉ルート> 
登山口へ行く道路はオール舗装で簡単ですが、新潟県民ならともかく、信州から行くにはかなり大回り。
但し「JR平岩駅」まで行く公共バス(糸魚川バス:片道¥1,210:7月中旬~8月中旬1日4便:それ以降~10月中旬は週末のみ1日2便)が通っているので、栂池から通り抜けるには最適