Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

☆北ア縦走・爺~鹿嶋槍~五竜(長野県) ~柏原新道/遠見尾根~

冬は記事にするほどでもない積雪低山歩きを地道にこなし、春からは登ったことのある山ばかりで訓練している今日この頃(だから新記事が無い)―――。
 
信州にIターンして満4年。
一度は全部手放したグッズも、カモシカで靴、テント、リュックと買って、だいぶ揃いました。
毎日「坐骨神経痛予防」のストレッチに励み、前常念で鍛えて準備万端。
いよいよ「16年振りのテン泊縦走をしようじゃないか!」な夏が、やって参りました
 
最初のターゲットは、岩好きにはたまらないルートを含む、ここです。
 
★★★★★爺ヶ岳(2,700m)~鹿嶋槍ヶ岳(2,889m)~五竜岳(2,814m)★★★★★
登山タイム(/標準CT):登り4時間30分(柏原新道/4h50m)---縦走(11h15)---降り3時間(遠見尾根/4h05m)
標高差:約2,230m 距離:約22km+A 出発地:扇沢西P 条件:一人、テン泊装備、土~2泊、晴天/晴天/曇天
 
イメージ 1扇沢西Pには一昨年は無かった
←こんな黄色看板が…
 
登山者の非常識な路駐で、黒部の観光バスが通れず困ったらしい。最近のマイカー登山者は、ホンっとにマナー悪いよ……
扇沢のP事情はこちら
 
柏原新道はテン泊装備で登るにはうってつけ、鹿嶋槍までは全く簡単平凡な初心者向け縦走路。
危険箇所もスペシャル急坂もなく、立山連峰のド眺望がウリの「小屋推薦・北アデビュールート」です。(何だそれは……)
 
しかし鹿嶋槍から先、五竜までは北アの真骨頂。
危険で際どい岩岩急坂、八峰キレット、「ハシゴ」「クサリ」が地図上で乱舞する、ドキドキワクワクな中級者向き稜線なのです――――! ああ、もう、ゾクゾク……っ

というわけで、爺ヶ岳の柏原新道は以前の記事でもご覧下さい。
登ったのは7/20、谷を横切る地点二箇所に残雪あり。アイゼンは不要なものの、要注意。
 
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爺ヶ岳中峰出発は12:30。
そこから見た鹿嶋槍→
 
うわ、山荘までの距離、結構ある…

かつてない重いリュックが最高の修行アイテムと化していて、一歩一歩がキツいです。さすがテン泊縦走は、ここが違う。だからいい。
 
いやでも、柏原新道でなければリタイアしてたなこれ……
 
 
大谷原から登る赤岩尾根ルートとの合流地点「冷乗越」↓
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読みは「つべたのっこし」。方言です。
ここら辺の人は氷を触ったら「つめたい」ではなく「つべたっ」と言います。
ああ…冷池山荘の手前は登りか……しかも、テン場は山荘の更に上だ……。
 
↓何だかよくわからないモニュメント、拡大。
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爺ヶ岳中峰から、1時間40分(1h10m)で「冷池(つめたいけ)山荘」(H2,420m)↓
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初めての標準コースタイムオーバー。普段運動していない人間に、やっぱり22kgは無茶でした
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山荘は重厚木造のステキな設計。最近リニューアルしたっぽい。屋内のバイオトイレ\100は臭いもほとんどなく、快適
水やお湯は、100ml単位で販売しています。
 
←テン場はガレっぽく、全体的に斜地。平たい場所はほとんど無し。
トイレも無いので山荘まで往復15分。でも、仮設なんか設置されるよりはマシ。
 
それに立山&剣が真正面なこの景色は優れモノ!
 
↓テン場下から見た爺ヶ岳と冷池山荘
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イメージ 8翌朝。
 
テン場の方はほとんどが「鹿嶋槍ピストンして今日下山」のようで、4時頃出発。神経痛持ちの私は朝食を摂ってから、のんびり6時出発。
昨晩ストレッチやマッサージを念入りにしたおかげか何とか普通に登れていますが、もし坐骨神経痛が発症したら一歩も歩けませんからねー
 
暫くは所どころ雪田を横切りお花畑を緩く通り、やがて本気登り開始。左から布引山、南峰、北峰→
 

今日も奇跡の快晴… 
    種池山荘↓  ↓槍ヶ岳  ↓蓮華岳               ↓針ノ木岳
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イメージ 10←山荘から50分(1h20m)で布引山(H2,683m)。
  次の目標、南峰がやっと間近に。
 
南峰から降りてくる方は軽装のピストン組ばかり。
でも、4kg(酒と食糧)は軽くなったはずの荷物が心までもを軽くします。富士山までクッキリ見える快晴さも足取りに拍車をかけて、高山植物も今が盛り。写真を撮りながら休憩をし、ジグザグ道をウキウキ登ります。
 

布引山から45分(50m)で鹿嶋槍南峰(H2,889.1m)。
この景色、すご…     ↓剣岳
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イメージ 12さすが100名山。
朝8時だというのに人で賑わっておりました。
しかし、ピストン組はみなここから引き返してしまいます(折角の双耳峰なのに)。何故なら北峰より南峰の方が高く、この先は岩場満載の中級者コースになるから。
そう、いよいよ、待望の岩劇場!
 
  次の目標、北峰↓→  左奥は五竜岳
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←まずは「吊尾根」という、何を撮っても絵になる素晴らしき痩せ尾根。 もう、岩岩。↓振り返ると、南峰
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南峰から15分(25m)の北峰(H2,842m)は、五竜から白馬まで見渡せてこれまた景色最高!…なのに、登山ルートから外れた往復コースなせいか、誰も居ない。
 
 
よしっ ここで1時間ラーンチ
 ←左の方に能登湾が…   五竜岳
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             北峰山頂から見た南峰↓    こっちに剣岳も→
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本来、冷池山荘から五竜岳の先の五竜山荘までは、軽装なら余裕で突っ切れる距離。
でも五竜山荘は何故か「夕食はカレー」だそうで(毎日?!)
何かヤだなと……
 
それに、このステキな岩縦走路を駆け抜けるなんて、何だか勿体ないですよね!
 
というわけで本日は気ままに道草し、のんびり進んでキレット小屋泊の予定。
 
 

うわ、北峰直下にキレット
小屋↓が見える
イメージ 16凄い立地。テン場が無いのも頷ける…。
北峰の後は、右の写真の通り岩岩の大降り。
この日は日曜だからか人も少なく、天気最高、岩最高。
ああ……来て良かった……
 
そして目当ての日本三大キレットの一つ「八峰キレット」は、それはもう超!好みで素敵ーング!@(*>∀<*)@だったのですが、写真に撮るとなんだかワケのわからないものに……↓
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八峰キレットの良さを知るには、実際行ってみるしかありません
 
キレット中央から東側↓を撮ってみる……
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このキレット入口で、(誰か落ちてやしないだろうな…と)山荘から見回りに来ていた遭対協のお兄さんと、バッタリ鉢合わせ。
 
擦れ違い困難なので、自然と立ち話。
 

「すっごいイイですねここ!
  キレットって、こういう切り通しみたいなのを言うんですね?!」
「そうですね、富山では”窓”って言うんですけどね。ほら、剣岳の”三の窓”とか。それが信州に入ると切戸と
  書いて、キレットになるんです。」
「…………え…?」
 
キレットって、英語かなにかの国際的な山岳用語じゃないんですか…?
 
                                   キレッ  ト
「違いますよー。日本語です」      つまり… 切戸ってこと…?
 
イメージ 19カールやケルンみたいな「登山国共通の専門用語」だと思っていたのに、まさか信州のベタな方言だとは
今日はショックで眠れないかも。
 
←北峰から1時間45分(2h)でキレット小屋(H2,482m)。
ここも造りが良く、トイレは小屋に連結された高床別棟にあり、土間床。屋外からも土足で入れ、全て和式ぼっとんですが、広くて臭いもそんなに酷くない。
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この小屋、お決まりの憎きスーパドライは勿論、なんとエビスビールも売っていて素晴らしいのです。
そして小屋限定、モンベル製「八峰キレット防水袋(中)\800」と「八峰切戸バンダナ\600」(漢字/笑)→
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いや本とに良かったですよ、キレット
 
←そして2階の寝床から見える景色。
 
 

そしてそして、「小屋前でビール」な景色!!↓
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なんかもう、ここに住みたいんですけど…
 
しかし、昼前に到着。
前述の通り、キレット小屋は通過点。「すごく混む」「満杯」という日はほとんど無いそうで、そうでなくとも泊まり客なんてまだ誰も来ませんし、スタッフはお昼休み中。テン泊装備の韓国青年(日本語喋れんし読めん…よくそれでまあ…)も「ここはテン場ないですからねー」(英語)と、さっさと通り過ぎて行きました。

本を持ってくるのを忘れ、小屋には長編マンガばかりで恐ろしくて手をつけられず(『日本沈没』?!)、
時間を潰すにも酒だけでは限度が…
うう……暇―――。
あまりにも暇なので戻って北峰まで往復し、キレットを三度堪能。うん、やっと満足。
※小屋-->北峰の標準CTは2h30mとなってますが、これ多過ぎです。この時は軽装で往復2時間、翌年逆方向で縦走した時は、テン泊装備で1時間でした。岩が得意かどうかが大きく左右するようです。
 
イメージ 2317:30の夕食はハンバーグ☆→
野菜大盛り、これは嬉しい。
独り者を集めたテーブルだったので、酒を呑みながらの情報交換に花が咲きます。小屋泊はこういうところがいいですね。
イメージ 24翌日、5時朝食。
食事配分が「朝:昼:夜=5:4:1」の私にとっては寂しい量でしたが、昨日の夕飯は人並みに摂ったからまあ、大丈夫かな。プチ空腹状態で5:30出立。
 
←予報通りガスガス。風も強っ。
連続岩場にガスかかって、幻想的。
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後ろを振り返ると、左の信州側は絶壁→
ステキ。もう大スキ。

涼しいので休憩なしでガンガン行けます。初日より10kg減ったから軽いもんです。
50分(1h)で「口ノ沢のコル」(H2,416m)↓
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コルから20分(30m)で北尾根頭(H2,560m)に着き…
イメージ 27
8時頃、日本海から吹く強風のおかげか、富山側(左)がサーっと晴れてきました。→
 
おおおお……なんて痺れる稜線。
 
いつもこうやって、日本海側の強風が雲を信州側に押し戻すんですねえ…… 
 
 
 
↓左側が信州、右が富山。
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この後すぐにまたガスってしまったので、○を頼りに進みます。
 
その先、痩せ尾根やG5、G4と、次々難所が現れ、当に岩岩パラダイス。
 
テン泊装備が引っかかりそうな挟さ、
這いつくばらないと滑落しそうな風の強さ―――
 
この時はもう真っ白で、行く手30mくらいまでしか見えず、写真はほとんど撮れませんでしたが……いやもう、岩だらけでとにかく楽しい!!
 
これで昨日一昨日のような「富士山から能登半島までクッキリ見える快晴」だったらもう、下界には戻れませんよ本と。
 
北尾根頭から1時間30分(2h30m)で、五竜岳山頂(H2,814.1m)。
さすが100名山、見事に真っ白。

そこから大岩尽くしの斜面を駆け下り、35分(40m)で五竜山荘(H2,490m)。
ああ…
楽しい岩尾根が終わってしまった…


 
すごい強風で、止まるとかなり冷えてきます。山荘でお湯を買ってコーヒータイム
ここで明日の天気を確認すると、「今日と同じようなもので、夜は雷雨の可能性が」。
う~ん……天気が回復するなら更に北進して唐松に幕営しようと思っていたけれど(とにかくカレーはイヤ)、
天気悪いならもう降りちゃえ。
 
イメージ 29←小屋を出て白岳に登り、東斜面へ出て遠見尾根に入ると、風が届かず一気に気温が高くなりました。暑…っ
 
雪田の広がる谷あいを右手に、ちょっとザレ気味の急斜面をガンガン降ります。晴れていたら五竜岳と雪渓が目前に見えてステキだろうな…↓
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しかしこの先は、西遠見->大遠見->中遠見->小遠見と、段差の大きい急斜を降っては各ピークを登る、ダラダラしたアップダウン尾根。
巻き道があるのは小遠見だけです。
 
出来ればこの尾根↓は通りたくなかった……
イメージ 31
山荘から50分(1h20m)で大遠見(H2,106m)、大遠見から1時間(1h30m)で小遠見(H2,007m)―――
 
うわーパラパラ降ってきた(>_<)
蒸し暑いのに雨具なんて
 
やっぱり左手に見えるガン降りの八方尾根で帰りたかったなあ……
 



小遠見を巻いて、時々出てくるベンチで栄養補給しながら、降りてくる雨と追いかけっこの末、やっとのことで地蔵の頭」(H1,673m)↓
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長かった……
ここから5分の白馬五竜スキー場のリフト乗り場↓には、高山植物園へ観光に来た綺麗な格好の人たちがわんさかです。
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 リフト乗り場から更に10分ほど降るとゴンドラ「テレキャビン」乗り場に到着し(片道¥860。荷物が10kg超えると+¥200)、縦走終了!
 

久々のテン泊縦走。
後からよく考えてみたら、初めての単独縦走でした。
 
色々あったけれど結果的には何事もなく完走し、これなら計画した他の山々も全部行かれそうです。
 
自分の限界付近も体験できました。
とにかく荷物(というかビール)はもう少し減らして、脹脛を鍛えんと。あと、本必須。
骨盤矯正も必要かな。
 
そんなこんなで。 
次が本命、いよいよ、憧れの不帰へ―――!!