Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

北ア・天狗山荘~不帰~唐松(長野県)~鑓温泉ルート~

お盆、それは「人口過密地帯を避けて生きたい人間は、家で大人しくするべき期間」。
特にこの信州は、帰省人と観光客と登山者とで、一番賑わう時期ですし。

しかし、職場の過供給な9連休は「今年は世間一般の休みとズレてるよ」という同僚の言葉を信じ、8/10から山に入ることにしました。何しろ『JC』の修羅場で冬に7kgも太ってしまい、そのせいでなった酷い皮膚疾患を治すにも「汗をかく」のが一番いいらしく。。。。とにかく、一度縦走に出て色々削ぎ落とさないとならぬ。

そうすると、せっかくの真夏のテン泊。「9月以降はもう寒くて眠れない!」な北の方へ目が向きます。
北といえばそう、日帰りでは中々通り抜けられない素敵エリア、不帰です

そのアタック用の登山路の中で、まだ通ったことのない且つ興味あるルートがありました。
長丁場なうえに標高差1,600m以上と、テン泊装備ではキツそうなのですが……修行と思って、GO!

                やり       かえらずのけん
★★★★ 鑓温泉~不帰嶮~唐松岳 (長野県大町市★★★★★
登山タイム(/標準CT):
登り5時間55分(小日向ルート/7h)--縦走3時間半(天狗背稜/5h15m)--降り1時間45分(八方尾根/3h30m)
標高差:UP1,650m:DOWN40m/縦走UP550m:DOWN550m/DOWN760m
距離:約18km 出発地:猿倉バス停 条件:一人、テント、8/10~2泊、晴曇天

「猿倉」は「白馬大雪渓」の入口として有名で、Pは朝5時には満車になるという噂。Pは行き交い困難な林道を随分と行った先にあるので「行ってみたら満車でした」はイヤだし(※)、どちらにしても今回の下山は八方尾根なので、車は八方に停めて猿倉まではバス利用。
※路駐は不可能。一応、満車になると小日向の湯の前に「猿倉P満車」の表示が立ちます。

八方Pは6箇所あって、どこも無料。
猿倉行きのバスは第5Pにも停まるのですが、帰りはゴンドラで降りてくるのでバスセンターの前にある第2P(第一郷の湯Pと共用で入口近くは郷の湯専用)がベスト。一番ゴンドラに近い第3P(第二郷の湯の南東)でも良いのですが、バスセンターまでは徒歩2分です。
※「第一郷の湯」はH26にリニューアルし、「八方の湯」に改称した模様。

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朝6:30、空車あと2台という第2Pに何とか滑り込み、北向かいのバスセンターから「猿倉行き」のバスに乗ります。券売機でチケット購入。片道¥930、約30分。乗客は4名でした。

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この猿倉行きのバス、ハイシーズン(GW,夏,秋の休日)以外は日中の3便しか運行しないのですが、第3Pではタクシーの運ちゃんが相乗りメンツ(¥1,000/人)を探していたのでオフシーズンでも何とか縦走できそうです。

猿倉Pよりちょっと上にバス停があり(H1,230m)
その真上に猿倉荘

この階段を昇ると→、すぐ左手目の前に登山相談所設置(ハイシーズンのみ?)。針ノ木と違って貸しアイゼンはなく、チャチな4本爪が¥1,000で販売。
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←外の食堂メニューはカレーとかカキ氷とか、まるで海の家……
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トイレは別の建物にあり、登山前の人たちで混雑しています。Pの様子を見たかったけれど、だいぶ下ですね…まあいいか。

朝8時、縦走登山スタート!

早速、情緒的な警告文が……→

まずは山荘左手の山道を登ると、やがて猿倉Pから大雪渓へ延びる林道に合流↓
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←あの「中部山岳国立公園」の碑の後に「←鑓温泉」の黄標があり、ここで左折。
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うん、誰も来ません。みんな大雪渓の方へ行ってしまいました。まあ、予想通り。
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↓最初は岩交じりの道を緩やかに…
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この小日向・鑓温泉ルート、「序盤が緩く、中盤アップダウンで、後半がオール急斜面」というヤクザな構成。
なのに序盤で既に重くて死にそう… 今年初のテン泊だから、ビールは1Lだけにしたのに。

道沿いの豊富な高山植物が救いです。
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←タマガワホトトギス

キヌガサソウやイチゲは終わっていたけれど、
アジサイはまだまだフレッシュ↓
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オオウバユリ↓ 迫力ある大きさで結構怖い…
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ミヤマキンポウゲも盛りでした。

そのうち尾根筋を出て斜面をトラバースするようになると、景色が開けてきます↓ 晴れていたら白馬岳が見え始めるようですが…ガスった
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やがて沢の音が聞こえてきて、花はどんどん多くなってきますミズバショウ(末期)も旺盛に↓
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地図には載っていないのですが、この沢を越える地点はルート中で一番水量豊富な水場。
手拭いを濡らして顔を洗います。うわー生き返る。。。
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沢を越えたら広いお花畑斜面をジグザグ登り。
この斜面に多かった、シモツケソウとギボウシ

やがて地塘というか緩やかな湿地帯(ここから白馬三山がドカン!と見える・・・らしい)に出て、キスゲゼンテイカ)もちらほら↓
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なんかこのルート、花の種類豊富ですね~
最近頑張って花の名前を覚えようとしているから余計に目に付くのかもしれませんが、時期も良かったようです。
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小さい湿地にはワタスゲが密生していて、擦れ違うツアーのおばさま達が「尾瀬もどき、尾瀬もどき!」と連呼してはしゃいでいました(笑)

そんなこんなで、「猿倉荘」から1時間45分(2h30m)で「小日向(おびなた)のコル」(H1,824m)→
この写真の奥の、神秘的というか人造的な小沼↓
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さあ、ここから辛い部分が始まります。

次のポイントまでは「杓子~鑓の斜面を左巻きにアップダウンを繰り返し、2時間かけても標高は全く稼げない」という涙の区間 まずは50m以上降り↓
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この区間、綺麗なんですよ、植物が旺盛で、緑が美しくて…… 晴れてたら小日向のコル直後から、稜線も真正面に見えるし鑓温泉小屋も左手(の遠く)に見えるはずだし・・・↓
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でも、斜面をこまかくアップダウン、いつになったら次のポイントなんだろうと思うほど、しつこく巻き巻き……ホント無駄!って思ってしまう
そして地図にある水場(せせらぎ?)を過ぎると…
ぎゃあ!雪渓だ!!↓ (杓子沢)
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地図には「残雪期は雪渓のトラバースに注意」とあるだけで雪渓マークが無いので、「残雪期じゃなければ雪渓は無いんだな」と推測していたのですが……騙された。

しかもここが「杓子沢」ってことは、いまようやく「中盤の半分」。つまり、距離的には半分過ぎてますが、標高的には半分にはまだまだ達していないってことです。
この事実、もう信じらんない……

ふと左手を見ると、遠くに次のポイント(鑓温泉小屋)が見えました。ここから1km先で、ここより200m高いところです。あはは…もう笑うしかない、行くしかない。
これが登山のイイところ。

他のスポーツだったら「やだ」「ツラい」と思ったらすぐ止めて終わらせてしまえますが、登山は最低でも「戻る」という運動が伴い、負けず嫌い登り好きは「戻る(降りる)くらいなら登る!」になるので、一度出発したら確実にきっちり運動可能。
自分がナマケ者と自覚している私が、何か運動をしないと体質的に死んじゃうと思った時、迷うことなく登山を選んだ理由はここにあります
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そんなこんなで、鑓沢にも雪渓が残っていて、結局3回は雪渓越えをしたでしょうか…どの雪渓もかなり緩み始めているので、大きく下ってからトラバースという、無駄な動きを強いられます。ううう…

←雪渓途中で下を撮った写真。
  誘導のベンガラが、下へ下へと…

雪渓の無い急斜のガレ沢も数箇所↓
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写真で見ると「どうやって通ったんだこんなとこ??」と思いますが、実際は難なく通れます→

鑓沢(多分)の雪渓↓
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最後の雪渓を越え↓、 向こう側へ行き…
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↓次の雪渓の左岸を登っていると、硫黄泉の匂い。
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ふと左手を見るとお湯が岩盤を滑り落ち、雪渓に落ち込んでますますガス靄が発生。
うわあ、本当にすっごい湧出量なんだあ……

テン場が見えてきた↓ 手前に↓湯の流れが…
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「小日向のコル」から1時間35分(2h)で
鑓温泉小屋(H1,982m)↓
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す…

←すごい湯量!!(湯の川!)

しかもスペシャル硫黄系で…っ
なのに湯は碧く透明で……っっ!!(何コレ!)
当然掛け流しで!!!

テン場にある足湯↓
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この写真の右手上(草で隠れている辺り)に露天風呂があり、テン場から丸見え。

水も豊富なようで、補給無料でなんと水洗トイレ(簡易)!外の食堂は猿倉山荘と同じくかき氷やビールやらの出店状態でした。。。
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そういや登山者には誰にも遭わなかったのに、大量の下山者と擦れ違いました。ツアーもたっくさん。
どうやら「猿倉基点!大雪渓を登って鑓温泉へ降る、雪渓と温泉満喫コース!!」が普通みたいです…
まあ、こんなにイイ温泉があったら当然の構成ですよね。それどころか「小日向ルートで来て、この温泉に入って帰る」というのもアリ、全然アリです!
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それだけ価値のあるお湯でした

※囲い風呂(女性専用)と露天風呂の2つあり、丸見えの露天風呂は混浴(水着OK、20~21時だけ女性専用)。どちらも清掃時以外24時間入浴可→
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おかげで何度も「今日はもう鑓温泉に泊まってもいいんじゃない?」とくじけそうになったのですが、足湯に浸かりながら1時間休憩したら何とか回復。
時は13:00。
稜線目指し、今から登山を始めるんだくらいの心持ちで、標高800m(←まさに一山…)、登ります!

←さようなら、魅惑の鑓温泉……

小屋からはやっと連続急斜面となり、標高をガンガン稼げます。沢を2~3回渡るので(地図には「水場」表記ナシ)、水にも困らない
    山荘に水を供給しているパイプ…?
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岩頭の部分は鎖できちんとフォローしてあり、子供でも通れていました↓
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そうして1時間くらい頑張ると、いきなり緩やかな広場に出ます↓
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また湿地帯かな?と思ったら…

うわ~……
斜面一面、お花畑です……↓
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地図に載っているクルマユリハクサンフウロはもちろん、7月なら多分、一面のチングルマ。しかもこれが、標高200m分、ず~っと続いています。
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ここが「大出原」(おおでっぱら)なんですね。
白馬大雪渓の目玉である「お花畑」は見たことないけれど、このお花畑もじゅうぶん凄い!

コオニユリとよく間違えてましたが、葉が互生なのがコオニで一箇所で放射しているのがクルマだそう。
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疲労はピークに達していましたが、これは爽快。
←たまに花畑南側の低木樹林に入ったり花畑側道に出たりしながら、休憩がてら写真を撮りながら、黙々とジグザグジグザグしていると……
花畑のトップに着き、稜線↓が見えた!!
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この雪田が花畑の水源なのですな…→

うう、長かった…
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しかし目の前の稜線への直登ルートはないので、北にトラバースしながら急斜面を詰めていきます。
←ここが地図にある「ガレ道」でしょうか。

なんだかコマクサが生えてそうな礫斜面だな~と思っていたら、上の方にありました、コマクサ大群落(地図には載ってない)↓
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稜線との合流点(鑓温泉分岐点、H2,745m)
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稜線へ出たら、2~3回軽くアップダウンします。
前回はガスガスで何も見えなかったのですが、この合流点から天狗山荘までの西側斜面は、ウルップソウ(残骸)の大群落でした。
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天狗山荘のテン場にあった、
まだフレッシュなウルップソウ
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そして16:15、
「鑓温泉」から2時間40分(3h20m)で、
天狗山荘(H2,730m)に到着――!!
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良かった、無事に着いて…
テン場はまだまだ空いていて、平らなところに陣取れました。トイレ込¥1,000/泊、水無料。
そういえば、翌日の唐松のテン場も満杯にはなりませんでした。同僚の言葉は本当だった……

この後の部分は、前の記事でも見てください。
前の記事の時と違って、晴れ渡っていたので写真をちょっと…
翌朝のテン場から見た白馬鑓ヶ岳↓  ここから白馬岳まで、山肌白いんですよね~
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 そろそろ天狗の大下り~↓                          立山と    剣岳
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   不帰嶮、全景↓(いずれ、個別の記事にでもしようかな…)
      Ⅰ峰     Ⅱ峰北            (奥)唐松岳↓ Ⅱ峰南(手前)   Ⅲ峰↓
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         唐松岳頂上山荘(城砦?!)↓     下へ続く道↓の途中にテン場…(トイレ込¥900/泊)
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テン場途中から見た唐松岳                              ↓そして不帰
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<2016年9月の記録> 
運よく「台風の晴れ間」に、鑓温泉まで往復してきました ここ、予想通りの展望コースです!

「小日向のコル」手前の湿地帯から見た白馬三山↓
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「小日向のコル」直後の 「白馬鑓ヶ岳」と           「杓子岳」↓
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テン場からも「小日向のコル」以降のルートが丸見え↓       ↓この丸いのが「小日向山」
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 足湯↑       ↑ここで酒盛りも可能   ※テントは¥1,000(トイレ込、入浴は+¥500)

「大出原」から見た「白馬鑓ヶ岳」↓   左手には赤茶けた天狗の切っ先も見えました。
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