標高は高いけれど登山口PがH2.000m近くある為、すっごく簡単で感嘆な山です。
しかし、いつもアクシデントや連れがあって適正タイムを計れず、一件も記事にできていません。。。
しかも私の車では、人気ルートの登山口「美濃戸」(H1,720m)まで行かれず(林道のワダチが深くてお腹こすっちゃうから…)。八ヶ岳主稜はテン場がないので、最高峰「赤岳」周辺に行く機会が中々ない。
やっぱり八ヶ岳記事を載せるならトップは赤岳にしたいし、そろそろ行かないとなあ……
そこへ、関東の友人から「清里へ行くんだけど、夜会えない?」というメールがきました。
地図を見ると……ありますあります、「清里~赤岳」の日帰り可能なルートが幾つも!
登山タイム(/標準CT):登り3時間25分(県境尾根ルート/5h)---降り2時間55分(真教寺尾根/3h30m)
標高差:約1,250m 距離:約10km 出発地:大門沢林道入口 条件:一人、7/30(平日)日帰り、晴天
登山口は八ヶ岳山麓スーパートレイルでいうと、8番の辺り。
友人と甲斐大泉で軽く呑んだ翌朝5時、北上して「美しの森」へ。「天女山入口」交差点で県11に入り、八ヶ岳牧場を過ぎ、「美しの森」交差点左折してサンメドウズ清里スキー場の東側の道を登ると、左手に大駐車場(無料)が見えます。それを無視してさらに登るとアスファルト舗装の終わる地点にゲレンデへ入るゲートがあり、その手前が「大門沢林道入口」(H1,670m)→
↑左端がゲート ロータリーの石↑ マイカー↑
写真のロータリー奥が「林道入口」↑↑↑
←こういう看板が頻繁に設置されています。
「県境尾根・赤岳→」
地図には「下の駐車場が満車時のみ解放」となっていますが、どうやらこれはゲート向こうのリフト乗り場手前にあるP(20台くらい)のことのようで、ゲート手前は小さいロータリーになっているだけでPなどありません。オフィシャルなサイトに「林道終点は約10台停められる」と書いてあるのは「ゲート手前に路駐」のことな模様……
ハイシーズンは路駐もすごいことになるそうですが、この日は夏休みといえど平日なので、他には車ナシ。
美濃戸は今頃満車でしょうに……東側から登る甲斐がありますね
今年初の八ヶ岳、登山開始!
最初は沢の右岸を緩く登り→
真夏の東側ルートなのに、木立の中なので涼しい…
←上部の伏流水になってしまった枯れ沢状態のところで左岸へ渡渉。橋じゃなくて、普通に道路です…
前半は全体的に緩く、このように時々舗装部分が顕れます。未舗装部分もジャリではなく、岩混じりでしっかりしていて歩きやすい♪
やがて治山の砂防堤(国土地理院のMAPによると8個も!)のすぐ横を、何度も超えていくように。
こんな赤鉄の立派なのとか↓
普通のコンクリのとか↓
む、地図には無い↓↓分岐点が……
「←真教寺尾根」!!
オフィシャルサイトでは「県境尾根で登ったら下山は真教寺尾根にすると変化が楽しめる」とあったものの、手元の地図では両ルートが結ばれるのはPよりかなり下で。国土地理院の地図に載ってる細い中継ルートの分岐点は現場では見当たらず、どうしようかな~と悩んでいたのですが……ありましたね!
この先は藪かもしれませんが、ここまで堂々と看板があるのですから、繋がっているはずです! やったあ☆
この後、道はどんどん狭くなり、しかしたまにアスファルト舗装。うわ、もう山頂が見える
↓キレット? ↓赤岳
登山を何年やっていても、こう初っ端から見せられると
「この高低差、本当に徒歩で行くのジブン?!」(=バカじゃないの?!)と思いますよねー。
しかしこの後はガスってしまい、下山までず~っと晴れませんでした。山頂が見えたのは7時まで。早起きはやっぱり、お得です。
ゲートから30分(1h)で登山口(H1,850m)↓
ここでこんな丸看板が出現↓
「2 県境尾根コース 10-2」
何を10としたうちの「2」なんだろう……??
この登山口からいよいよ、大好きな急★坂です
←立って真正面を撮るとこんな感じ。
あまりジグザクしません。
いい、いいよこの急さ!!↓
でも15分くらいで小さな尾根に出てしまい、普通の登りに。ち……っ
後半最後の急坂は鎖場になってしまうし、楽しい急坂はここだけでした。
しかしこのルート、時期も良いのか花が多く、標高があがると優占する花の種類が変わり、何種類も楽しめます。キノコも多い
←最初の方はホタルブクロ(釣鐘草)
小さい尾根に出るとこれ↓(チダケサシ??)
どれもフレッシュ
←登山口から45分(1h)で「小天狗」(H2,178m)
丸看板は「10-3」。
眺望ナシ、狭い。この先にもう少し広い場所があるので、団体さんはそちらへ。
ここで野辺山コースと合流し、いよいよ県境尾根に突入します。
最初は露頭のあるほぼ平坦な道を楽々と。あ~…晴れてたら山頂が綺麗に見えるのでしょうね、コレ↓
↓代わりに権現岳は、一日中よく見えてました。
この尾根は最初はコレ↓が多かったです
これも初めて見る花↓
みんな小~さい花ですが、数が多いので目立ちます。
やがていい感じの登りが始まり、目の前に大きな岩の集まりが見えたら、その岩を左にまいて大天狗(H2,445m)↓ 小天狗から50分(1h20m)。「10-5」。
眺望ナシ。地図には「大門沢奥壁の眺望」とありますが、木立で見えません。沢から吹き上がってくる風で涼しい~
ここからまたしばらく緩やかに進むと、稜線がもう間近に迫ってきました。
←赤岳展望荘も見える!
しばらく登ると…いよいよ噂の鎖開始!↓
ここは「10-6」でした→
上の写真のところを右巻くと、
←こういう岩斜面の始まり。
まあ、鎖が無くても何とか登れる。
ここで目立ったのはこの花(イブキジャコウソウ)↓
密集しているところはまるで紫の絨毯 伊吹山に多いかららしいけれど、あんな山に今もあるのか??
この花、いつも花内に虫が居るように見えて、この虫が出て行ったら写真を撮ろうと、いつも少し待ってしまいます…↓
あまりの花の多さに、何度も息を止めてマクロモードで撮っていると(静止5秒)、脚に激痛が走りました。
うわっやられた!刺しバエだ!!
今まで全く平気だったのに「蚊に刺されるだけでやたら腫れる体質」になってしまったのも、5年前の初★八ヶ岳で凄いヤツに刺さ(咬み付か)れてからです。しかも大体登山口近くでやられていたのに、まさかこんな標高にまで居るとは!!
他の山域では、こいつらに遭っても刺さ(咬ま)れたことはないので、これは縄文の呪いなのでしょう。
すぐ追い払っても、気付いた時点でかなりキュ~っとやられているので、2~3日後にブワっと腫れます もう、優雅に写真なぞ撮っていられません!!
といいつつ、登ってきた県境尾根↓ 帰りに通る真教寺尾根↓
鎖場はまだまだ続く→
(全箇所、軽装なら鎖を遣わなくても登れます)
分岐点(H2,730m)↓
登る↓
登る↓
どんどん登る↓
そういえば、前半は下草がよく刈ってあったのですが、花が出始める中盤は結構草丈が高いままで、朝露ですっかり濡れました。半パンにスパッツなので問題なかったけど、長ズボンの人は「登山口」から雨具はいた方がいいです。
上方に来ると、やたら細くてフレッシュなアザミの葉が、脚にチクチク痛いし↓
(ヤツタカネアザミ?)
そんなわけで、いよいよ最後の急坂↓
登れ登れ↓
どんどん登れ↓ うふ~楽し――
あれ、こんなところに「10-10」が↓
ここが北峰になるのかな?あ、写真撮るの忘れた。
←その山荘から1分で、赤岳山頂!(H2,899.2m)
ガっスガス。
直下に人気ルートのガレ場が見えると思ったのに。残念。本来の目的はこちら↓ですから、まあいいのですが……
って、山頂で御柱やられてるよ!→
(初ケース!)
あ、そうか!西側は「諏訪」だ……!!?
そしてこの赤嶽神社と背中合わせで東側を向いている「太成宮」(御祭神は「六神三十柱」)は……とりあえずまた今度。
とのんびり参拝していたら、また刺さ(咬ま)れた!!
山頂にまでヤツが居るなんて、八ヶ岳ってホント酷い―――っっっ
山頂から見た赤岳頂上山荘↓
山頂は盛り上がったゴツゴツ岩なので、適当な岩の窪みに座ってランチ。常時10人くらいは居ましたかねえ。みんな、主陵か文三郎尾根から来てるようです。
たま~にガスが晴れて直下のガレ場の方(北西)もひらけたのですが、急斜面過ぎて行者小屋辺りしか見えませんでした。
これは阿弥陀岳の方(南西)↓
今から登ろうという人が居る↑↑↑
振り返ると山頂↓と、 赤岳頂上山荘↓
この部分が一番いい(=私好みの)区間だったな~…… 岩の急傾斜で、岩もしっかりしていて
「竜頭峰」?↓ 標識ナシ
更にゴンゴン降りると…
キレット方面の素敵な登山道↓
そこからチョイくだったら、分岐点↓
これまで「真教寺」の文字が全く出てこなかったので不安になりますが、(普通の人なら)悪天候でもなければ見落とすような分岐ではないのでガンガン進んで大丈夫。
この分岐点の岩壁上部に「昭和34年10月19日に吹雪で遭難した」という慰霊石版があるのですが、漢詩が刻んであってインテリチック。
←さあ、くだりますよ~!! ↓↓↓↓
こちらの尾根の鎖場も「なくても登れる」レベルですが、モロくてザレ気味なので下山は大変。まして実は一週間前に右足首を捻挫してしまい、(登りに比べたら)恐る恐るの下山なのに、そんな急斜が1時間も!
景色はいいです。 キレット拡大↓
降ってきたルートを振り向き仰いで撮ってみた↓
あれ?こっちにも丸看板ありますね… →
長いモロボロ岩場降りが終わっても、急斜は続きます。ふと横を見ると、
←下草がとても綺麗なダケカンバ林の斜面。
急斜が終わり緩やか~な尾根道に入ると、ダラダラアップダウンして扇山を越え………
もう山頂があんなに高いところに↓
山頂から1時間50分(2h10m)で牛首山(H2,280.3m)↓
←通ったルート中、唯一ベンチのあるポイント。「10-5」。ここでようやく下界が見えた↓
ここからまたキュ~っと降ります。
このルート、急坂箇所はザレというか、小さい小石が多くて。良い足場になりそうな窪みには必ずといっていいほど小石があるので、歩き辛いです…
やがて大岩が目立つようになって↓
また花↓も多数・・・
これ、わかります?↓
登山道を堺にクッキリと、右(南)手が草で左(北)手が笹なんです。おもしろ~
さすが「縄文の女神テリトリー」。
八ヶ岳(通称「ヤッツー」)ったら本当に菌類、コケ、シダ、被子の植生、(考えたくもないけど)昆虫、根の張り方、地質、どれもめっちゃ、ドラマティックレイン。
そして最後は、肩丈くらいの笹薮↓ ぎゃ~
朝露ミッシリの時間に通ったらビショ濡れだ。
それとも、お盆前にはここも除草してくれるのかな
しかも路面は狭く岩混じりで、これは厳しい……
牛首山から35分(45m)で賽ノ河原(H1,906m)↓
この柱跡は何…??→→→→
昔は小屋とかあったのかな…ムダに広い…
牛首山の方↓
←この写真の右手に…
↓「大門沢→」標識、発見!!
地図には載っていませんが、標識は新しく、獣道以上の存在感。よし、行ける!
ここからまた笹斜面をゆらゆら下りていきますが、牛首山斜面と違って岩はなく、除草後らしく草丈も普通。そして、枯れた笹葉が適度に積もっていて滑りにくい。良い道です。
くだりきると砂防堤が見え、朝通った分岐点へ↓
やった、元ルートに戻れた!
あとはもう、歩きやすい林道を緩やか~にくだるだけ。
「賽の河原」から30分(50m?)で林道入口Pへ帰還―――
いきなり決めた登山でしたが、思いの外に良い日帰りコースでした。
滞在は8時間20分。
出遭った人間は山頂を除くと、往路1人、復路4人。
真教寺尾根は下りにすると山頂付近(牛首以降の急坂岩場)が大変で、登りの方が楽しいかも。県境尾根は山頂付近がボロ土の急斜面といえども鉄ハシゴや鎖が設置されているし、阿弥陀岳手前に比べたら登り易く、難所といわれる最大傾斜のところは岩盤なのでしっかりしてます。
総合的に見ると、真教寺尾根の方が色々大変なような気が……
それも鹿嶋槍~五竜や不帰の瞼に比べたら、共に「若干中級コース」な感じ。
虫に咬まれるのも好きではないし、やっぱりヤッツーは、コケやキノコの美しい5~6月や、冷え冷えで霜の美しい晩秋に登るのがオススメです。