Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

☆北ア・七倉岳(長野県) ~船窪新道~

今年のお盆は天候不順でした。
連続晴予報が間近で雨に変わり、当日を迎えてみると「天晴れじゃん…」。
しかし昼を過ぎると恐ろしい程の雷撃雨。久しぶりに音と光がほぼ同時な雷ショーを味わってしまいました。
まして山の上は…… うわ、直撃死ですか…
 
会社は望んでもいない10連休だったので、16~17の中日に山へ1泊避暑にでも…と思っていましたが、おかげで唯一の「安定した晴」見込みは最終日曜日のみ。
急遽地図で「森林限界を超える日帰り山」を探し、行ってきました。
 
★★★★★★★★★★★★★★★七倉岳(2,509m、長野県大町市)★★★★★★★★★★★★★★★★
登山タイム(標準コースタイム/船窪新道):登り3時間20分(6h)---降り2時間35分(4h) ※船窪小屋まで
標高差:約1,450m  距離:約9km  出発地:七倉山荘  条件:一人、日帰り、晴天、日曜

東京電力高瀬ダムの手前、七倉ダムから始まる登山道です。
しかし、この船窪新道の看板目的地は「ランプの宿」として有名な船窪小屋。よく雑誌やテレビでも取り上げられ
ているそうで、出会ったシニアは「テレビで見てね。この小屋に泊まりたくて来たのよ」と口を揃えて仰います。
七倉岳はその奥にあり、「針の木~烏帽子岳」の途中に通過するポイントとしてしか認識されていない模様。つまり山名はいつも通りかなりマイナー。船窪新道にいたっては「急坂すぎて引き返してきてしまう人も居る」くらいキツいので、小屋以外あまり人気は無いようです。
 
が、実際登ってみたら――
 
イメージ 1←七倉山荘手前の無料P(H1,059m)
ここに停めて高瀬ダムへ向かう山ノ神トンネルの方へ行くと、左に七倉山荘↓が見え、正面に登山補導所↓
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この黄ポストに登山届を投函↓
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登山道入口の標識が見当たらないので、↓ゲートのおじ様に尋ねると「トンネルの右手だよ」。
ゲートを通って橋↓を渡ると…
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右手が渓流で左手に七倉ダム湖↓。綺麗ですね~。
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↓このトンネルをちょっと入ります。
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うう…トンネル嫌い… 入ってすぐのとこに看板↓ホッ
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ここから沢沿いを緩く登ると、3~4分で登山口↓
沢の水音は豪快ですが、静かです。。。
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コースタイム10hですが懲りずに、しかし運動不足の為「滞在9時間」の設定をし…   登山開始!!
 
なんと、いきなり急斜のジグザグ急登↓
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岩混じり木の根が段々段々…急登急登急登……
んん~っイイですね、この辛さ! (1/10、2/10)
団体さんは、休憩する場所が無いので大変かな…
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登り始めて約35分、金属製の渡しを渡ると、最初の尾根先↓に出ます。
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ここから先は比較的緩やかで、シャクナゲ多め。東電用山道との分岐路(広い!)がちょくちょく出てきますが(3/10、各所に標識が設置してあるので迷いません。
 そして登山口から1時間(2h)で……
        ↓「唐沢のぞき」(H約1,520m)。
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狭くて岩があるだけなので休憩には向いていないし、下を覗いてもほぼ眺望ナシ。 とっとと通過します。
 
それにしてもコースタイム5割とは……これだけ縮められたということはここ、結構な急坂なんですね…
後日出会った縦走ベテラン男性いわく
ブナ立(北ア三大急坂)よりこっちの方がキツイよ
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いえ、そんなことより特筆すべきは、登山道の木の根の張り具合やフカフカ堆積度や美しき岩度です。
それはもう、ラピュタ級なんですよ~
←こんな風に(まっすぐ進んで登る)。
「唐沢のぞき」から少々降ると、「木の根と岩の急坂、その後に緩やか尾根」の繰り返し。
ハシゴが出始めます↓
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尾根には広い箇所もたくさん出てくるので、「急坂が行く手に見えてきたら、手前で休憩」がベスト。設置されているハシゴや木の根の補強は、一部腐っているので要注意。(実際踏み落ちてちょっと怪我しました
 
↓なんてステキな…(とにかく登る…)
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「唐沢のぞき」から1時間20分で八合目↓(6/10)
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ここからが「鼻突八丁」の始まりです。
こんな感じで↓
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 このあたりのハシゴは新しいですね。
 お、三連続↓
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上から見ると…↓
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急坂だけど整備されているし、ところどころに小さな休憩スペースもあり、まあまあです。
でも常念一の沢の「胸突八丁」よりは確かにキツい。
何しろ鼻ですから、鼻(笑)
 
半天然アスレチックみたいでとても宜しい↓
テンションあがります。
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右手に七倉ダム湖が少しずつ見えてきた↓(7/10)
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こうなるとハシゴも減り、潅木や低木層に変化してきて「そろそろかなっ」と期待してしまうのですが、そうなってからが意外に長い。ここは「まだまだあと1時間!」くらいの心持ちで。
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私にとって、登山は「望んでおこなう苦行」です。
 
日頃「蛇口をひねれば水が出る、スイッチ1つで灯が点る」というダレた現代生活をしていて、中々苦しい目に遭う機会が無いと、人間ダメになりそうなので。
 
とにかく
登山口から2時間
50分で(5h20m)…
 
 
 「天狗の庭」!→
 (H2,300m)
 
森林限界クリア
――!! 
 
爽やかすぎて、
苦行台無し(笑) 
 
眼下は高瀬ダム
 
晴れていれば、右奥に天下の槍。 
イメージ 17ダム右手からは「いつか行くぞ」のブナ立尾根が伸び、その上方には不動岳(手前右)と烏帽子岳(奥)→
ダム左手は、以前登った餓鬼岳。
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 ←下界もこんな風に見通せる…。
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そしてここから先は、ウキウキ高原ハイキング
ちょっと登ると9/10で、H100m程登るとお花畑が始まり、緩やかに移動→
小さな水溜りもあって、何だか子供の頃によく登った(登らされた?)千の倉を思い出します。
 
あーこの花↓、魚鱗草の次に好き。 風車みたい。
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よく見るけど、なんていう花なんだろう??
「風車 高山植物」でググっと…… 
えっ…… これって、チングルマなんだ?!
花が終わるとこうなる? マジで??
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何しろ花にはとんと疎くて…
小さい頃、登山帰りの父に見せられたスライド(その為の映写機が家にあった…)で、チングルマの花だけは覚えたのですが…まさかこれもそうだとは…
ああ、だからチングルマ(稚児車)っていうのか。
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     七倉ダム湖もどんどん丸見えに↑
 
←「天狗の庭」から25分(40m)でこんな岩看板が。
  ウェルカム気質満載。
 
「お庭風」な草原を通り抜けると、「天狗の庭」から30分
(40m)で、青屋根&茶壁の噂の船窪小屋↓ 綺麗。
↓左奥に針の木!
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イメージ 25なんということでしょう。
小屋前のテーブルがビアガーデンと化しています。あああ、温玉入りのラーメンまで食べてる…
しかしここはグっと堪え、先に山頂へ…っ!
 
船窪小屋からハイマツとコケモモの茂るお花庭を更に西へ散歩すると、分岐点。ここを右。
←右が「七倉岳経由の針の木岳」、左が「船窪岳経由の烏帽子岳」やテン場・水場。
 
右側にはずっと蓮華岳が見え―――
小屋から往復15分(20m)で、七倉岳山頂(H2,509m)↓
イメージ 27左手には針の木が…立山が…… 五色が原が……っ  右手には針の木峠の針の木小屋までクッキリ! イメージ 26
 
 ←左が針の木、右が蓮華。
  「蓮華の大くだり」が丸見えです。
 
船窪新道。
 
実際登ってみればその構成は
「急坂/尾根/急坂コンビ→途中にフカフカのステキな樹林帯→森林限界→緩やかお花畑→山頂」と大変に好みでした。
「針の木岳の姿はここから見るのが一番キレイ」
とかいうウリも捨て難く、しかしこの日はガスガスの上にカメラを忘れてしまい……
 
「また行かなくちゃね!」と、翌週のピーカン週末にテント担いでまた行ってしまったのでした。
※写真はその二度目の時のもの。イメージ 28
朝、山頂から小屋に戻る時に撮ったもの。↑青い三段屋根が船窪小屋。 右手奥に槍っ↑
あーもーすごく気に入りました、七倉。
 
小屋も何だか変で(失礼)、登山者が来ると誰かが玄関の鐘を鳴らし、それが合図となって奥からお茶が出て
きます。なので、宿泊者も通過者も小屋前のテーブルで談話ターイム。
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ビールは沢水で冷やしたアサヒドライ缶のみ(500ml
\800/350ml\600)ですが、発電機が煩い小屋にウンザリしていたので、最高に旨いビールが味わえました。
 
←机上のはソーラーシステム? 衛星無線??
トイレは小屋の中のが¥100/回、外のは無料だそう。
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因みにテン場は山頂への分岐点で左へ進み、
10分ほど緩く降り、こんなハシゴを降りるとすぐ→
ハシゴ降りた処から見たテン場↓
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西に面しているから日没ギリまで明るくて、
遅い到着でも余裕で設営できて良さそうですが、見晴らしイマイチ。&「紙はお持ち帰り」の仮設トイレが1つ…
下から1張、1張、4~5張くらいの広さで、登山道を挟んで一番上は仮設トイレの横で2張。全部で4段。
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←下から2段目に設営。 
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ところでここの水場、大層なガケ場だそうで、テレビを見た小屋泊の方から
「凄いのよ、とにかく見てみて!」
    「でも登山靴じゃないと行かれないよ」
         「あ、危ないから夜は行かないでね」。
 
…そこまで言われたら、
見てみたくなるのが人情ってもんですよね?
 
                       テン場の標識→
 
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イメージ 44朝です。テン場の方々が早朝出発してから外へ。
                遠くにお槍さまがモーニン↑
 
標識に従ってテン場から降ると、崩落谷に出ます。
←右手は凄いことに。ガケ~
 
と思いながら進むと、右手にこんな標識が↓
イメージ 46「←水場へ」って……  ん? まさか…??
 
標に従ってお花壁(結構キレイ)↓の間を降ると…
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↓ロープが…(使わなくても何とか降れますが…)
                 ああ、やっぱり。。。。
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 さっき上から見た谷の、
   正に直下中央↓が水場でした
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これは両手がふさがっていると戻れません…
 
テン場でもコレですから、小屋からここまで水を汲みにくるなんて結構な労働です。でも、昔は日本の平地でもコレくらい普通だったんですよね(←大誇張)。
こういう不便を味わうと、下界の暮らしはとても優雅に感じられ、少々の不便は何とも思わなくなれます。
でも何故か、忍耐は一向に身につきません。
 
さあ、見るものは見たし、傷も膿んできたし(携帯キットで消毒したのに…)、名残惜しいですが下山しましょう。

往路に「降りは大変だな…」と思った岩&木の根はそうでもなく、小屋で出会った縦走男性と一緒に(いえ、ご一緒する約束はなかったのですが、お若いだけあってテン泊装備でもスピードが速い方だったので抜かす必要もなく、結局最後まで後ろを着いていってしまい)、シャクシャクと降り。わー…、人の後について降りると、なんてラクなんでしょう!
スピードの合う人と登山したことが無いので気付きませんでした。。。Y口さん、ありがとうございました。
 
で、小屋から2時間半(4h)で帰還――。
小屋で1時間も呑んだくれたにも関わらず、滞在時間は8時間で終了。いやあ、イイ山でした。
 
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翌週の下山時に登山口手前で出会った、お久しぶりの

相変わらずモサっとしててかわええ……
私と目が合った後も、登山道の木の葉をワシワシ食べ続けていました。(どいてよ…
 
さっそく報告
 
イノシシも2頭、
急斜面を横切っていきました。
 
 
 
 



<下山後のお風呂は葛温泉へ>
七倉から戻ってトンネルを抜けると旅館3軒(高瀬館(広い)¥700、かじか(キレイ)¥800、仙人閣(評判悪い)¥800)で日帰り入浴が出来ます。源泉温度が高いので少々キケン。
しかし、もしピーク時期でなければ、Pにある七倉山荘がオススメです。
イメージ 37なんと2012年8月リニュ-アル。¥600と前より少々高くはなりましたが、メッチャ綺麗。モチ掛け流し。
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宣伝してね★と言われたし、誰も居ないので(土曜のお昼なのに……)撮りまくり。
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洗い場は4箇所、脱衣所も3畳くらいと小さめ。
入る前に「混んでますか?」って訊くといいかも。
トイレも浴室も完全バリアフリーです↓
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露天の眺望はあまりありませんが…
 
ヘッドスパかと思うほど勢いのあるシャワー(全員が使うと普通になる)、キレイな休憩室、入浴後のソフトクリームやスイカや蕎麦などのお楽しみがちゃんとある点……(高瀬館は自販機以外、何も無かったんですよおぉ…
 
総合的に素晴らしいデス!
 
山も小屋も温泉も良い七倉。今度は烏帽子から周ってこよっと…


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<2014年>
この山、大変気に入ったので年に2回は登っているのですが、去年は見なかった指標が設置されてました。
おそらく「登山口~船窪小屋」を10分割したもの。
記事に(2/10)のように入れてみましたので、目安にしてください。

休憩場所としてオススメなのは、3/10の手前の急坂終了地点のベンチ(これも去年は無かった…)、4/10の倒木、5/10~6/10の自称「七鞍の森」が広くて快適。


<2016年秋>
ハシゴや補助段をかなり増設していますね。
4/10と「天狗の庭」にも簡易ベンチらしきものが。
そこかしこに材木が積まれているので、来年は更に期待できそうです。