台風一過。
敬老の連休明けから毎日、仕事の合間に見事な秋晴れを見せ付けられて、色々うっかりしていたとしか言い様がありません。
敬老の連休明けから毎日、仕事の合間に見事な秋晴れを見せ付けられて、色々うっかりしていたとしか言い様がありません。
もともと力量を試す為に「ちょっとキツい行程のテン泊縦走をする」つもりでしたが、このルートはまだまだ空想段階だったはず。なのに大快晴とボスの長期出張が見事に重なり、こんなことに。
題して―――
”地上の楽園(?)「五色ヶ原」に、お金ではなく体力を支払って行ってみよう”企画。
★★★★ 蓮華岳(2,798.6m)->北葛岳(2,551m)->七倉岳(2,509m)
「扇沢->七倉岳」部分は小屋泊軽装なら1日で辿り着けるので、元々は2泊で行こうとしていた行程ですが、何分しつこくも坐骨神経痛持ち、車生活で普段運動しません隊。ましてテン泊装備、食糧3日分セルフキャリー。
無茶して馬鹿な結果になると、若者ならバカだねで済みますが、歳も歳なので今回は慎重に、3泊で。
初日は稜線に乗ればいいだけなので、のんびり9時出発。
既に登山記事があるので、駐車場事情や大雪渓はこちらをご覧下さい。
前回の夏登山との相違は以下5点。
前回の夏登山との相違は以下5点。
1) 作業道路に大石ゴロゴロ。
←先日の台風で、土石(砂じゃない)崩れたようです。
←先日の台風で、土石(砂じゃない)崩れたようです。
完全に道が塞がっていました。
2) 大沢小屋は平日閉鎖。
無い……まさかのポータブル。
3)夏道
そのほとんどが「大雪渓を高巻く、時間のかかる道」だと思っていたのですが、嬉しい誤算。
そのほとんどが「大雪渓を高巻く、時間のかかる道」だと思っていたのですが、嬉しい誤算。
←最初は「大雪渓の右岸斜面をトラバースし続ける」という、狭く厳しい道、後半(ノドから上)は高巻いても急登と岩場満載で全然ダウンしない、未だかつてないムチャ振りコースでした。
もともとここって、大雪渓が無かったら登山ルートにしようなんて誰も思わなかったんじゃ……
おかげで標準コースタイムに誤差ナシ。
すっかり崩壊した、ノド部分の雪渓↓
4) 最終水場に、前回は無かった
「最終水場」というPOPが設置。
うん、親切。ここに「小屋には水場がありません」とか「小屋では水\200/L」とか書いてあったら満点でした。前回、それを知らずに汲んでこなかったテン泊の人がチラホラ居たので。
ホント、地図見ないし下調べもしない人って多いです。「山でも9割の人がサバイバル意識ゼロ」という事実にも、最近ようやく気付きました。
5) 小屋ガラ空き(※金曜だから)
遭対協の人も居ない。空いているのでテン場所は自由選択。チーズケーキも無かった。
遭対協の人も居ない。空いているのでテン場所は自由選択。チーズケーキも無かった。
3日目に備えて、とにかく体力温存。 &あまり早く着くとまた呑み過ぎるので、のんびり8時出発。
まずは40分(1h10m)で200名山の蓮華岳(H2,798.6)へ。
前回は逆光でわからなかったのですが、山頂から東の尾根伝いへうっすら道が見えました。(旧道?)
←そして「蓮華の大下り」。
同じく大下りとされる「天狗の大下り」と比べると、あちらはしっかりしたワクワク岩場の400mダウン。
こちらはザレザレ&ジグザグの500mダウン。
一応、後半は鎖とワイヤーが連続する「岩場」になるにはなるのですが、なんかもう、全体的に崩壊気味。
岩と岩の間や岩の上に細かいザレ石があって、滑るわ落とすわ……これは天狗の方が楽ですね。
同じく大下りとされる「天狗の大下り」と比べると、あちらはしっかりしたワクワク岩場の400mダウン。
こちらはザレザレ&ジグザグの500mダウン。
一応、後半は鎖とワイヤーが連続する「岩場」になるにはなるのですが、なんかもう、全体的に崩壊気味。
岩と岩の間や岩の上に細かいザレ石があって、滑るわ落とすわ……これは天狗の方が楽ですね。
蓮華を降りきった後に「北葛岳」を登り、また七倉乗越まで降るのですが、ずっと崩壊気味↓
「七倉岳-->蓮華」と逆方向に進んでも、大変さにあまり違いはなさそうです。
蓮華岳から2時間(2h30m)で北葛岳(H2,551m)。
振り返って「蓮華の大下り」全景↓
ここでチラリと右手を見ると五色ヶ原が目の高さにあり、その手前の尾根を下になぞると、眼下に針ノ木谷が…
明日ホントにあそこを歩くのか。凄いな、自分。
明日ホントにあそこを歩くのか。凄いな、自分。
なんか他人事。
七倉乗越から先はようやく崩壊しなくなって、マトモな岩場に一安心。山頂直前はガツガツ岩登れます。
北葛岳から1時間10分(1h50m)で七倉岳(H2,509m)。
北葛岳から1時間10分(1h50m)で七倉岳(H2,509m)。
※七倉岳と船窪小屋についてはこちらをご覧下さい。
以前と変わったところは、水場周辺の崩壊が進んでますます崖チックになっていたところ。
そのうち水場ごと崩落するんだろうな、これ。
そのうち水場ごと崩落するんだろうな、これ。
<3日目> 七倉テン場--->針ノ木谷-->平の渡し-->五色ヶ原
UP1,040m/DWN1,050m/距離約14km/7時間(CT11h15m)
UP1,040m/DWN1,050m/距離約14km/7時間(CT11h15m)
いよいよ、この周遊のメイン!「針ノ木谷」
七倉岳から五色ヶ原の間に「平の渡し」がある為、「4時間に1本」の渡し船(山間にしては多い)に合わせて行動せざるを得ないコースです。
「平の渡し」-->「五色が原」のCTは4h35m。慎重派ですから、遅くとも10:20発の船には乗りたい。
ええと…「船窪テン場」-->「平の渡し」はCT5h40m?
ええと…「船窪テン場」-->「平の渡し」はCT5h40m?
10:20発の船に乗るとしたら……
うわ、早朝出発だ
うわ、早朝出発だ
←北葛から見た五色ヶ原と針ノ木谷
朝3時。他にもゴソゴソと動き始めている輩多数。
そうだよね。
そうだよね。
五色が原に行くには、やっぱこの時間だよねっ(>_<)
そう自分を奮い立たせ、寒い中テントを畳んで出発。
幸い明月ターム。
月光冴え渡る中、西に削げる崩壊斜面を横目に木の根の張る尾根を、北へ向かってザクザク降り。
月光冴え渡る中、西に削げる崩壊斜面を横目に木の根の張る尾根を、北へ向かってザクザク降り。
テン場から20分(40m)で船窪乗越(H約2,180m)。
周囲にはヘッドランプの強い明かりがチラホラ見えていて「ああ、仲間が沢山居る…」と思ったら、ここから全員烏帽子方面へ行ってしまい、月夜の山でいきなり一人ぼっちに……
おかしい。人気ルートだと思ったのに、針ノ木谷。
乗越から分岐すると船窪岳を巻くように40m程登り。やがて尾根頭に出ると、ゴンゴン降りの開始です。
下に行くほど尾根が狭く急になり(↑それでも大木が土地を争って生えてる…)、これは登りが大変だな~…という感じに。
段々明るくなってきて、
←船窪乗越から35分(1h)で、針ノ木谷と合流~。
対岸から撮影した「船窪岳分岐」↓(H約1,835m)
地図では「合流地点で渡渉」となっているし、向こう岸にこんなの↓があるので思わず渡ってしまうのですが、
渡っても降る道が無い
ここは「谷に合流したら川を渡渉せずにすぐ左」が正解。暫く行くと、「渡渉しろ」というペンキマークが出てきます。
さあ、楽しい谷降りの始まりです
ペンキマークに従って、水量豊富な谷川に頭を出している岩から岩へ飛び移り、トータル10回ほどの川渡り…
これ、すごく楽しいです。大好きです。
こういうのがやりたくて水場のあるアスレチックへ行っていたものですが、さすが天然。
もう、楽しさのレベルが違う!
こういうのがやりたくて水場のあるアスレチックへ行っていたものですが、さすが天然。
もう、楽しさのレベルが違う!
渡渉指示のあるほとんどの場所では簡単に渡れないので、渡れる岩並びを探して上下をチェック。急流なので岩にはコケもヌメリも無く、グリップ良好。
大きな石を動かして足場を作らないと渡れなかった所が一箇所。川の真ん中の岩から先に装備を対岸にブン投げて、少々の助走をつけて飛ばなければ渡れなかった所が一箇所、ありましたが……
船窪小屋の人に「一回は膝まで浸からないと渡渉できませんよ」と脅かされたものの、一回も川に入らず渡れました 学生時代にやっていた幅跳びが、こんなところで役に立とうとは。
船窪小屋の人に「一回は膝まで浸からないと渡渉できませんよ」と脅かされたものの、一回も川に入らず渡れました 学生時代にやっていた幅跳びが、こんなところで役に立とうとは。
そんな岩飛びを1時間ほど楽しむと、
「針ノ木古道復活しました。高巻道です」の看板が↓
それって例の、明治くらいまで街道として使われていたという、有料道路のこと?
ここからかなり高巻き…というか、川はどんどん下に流れていくのに道は若干上がっていくので、沢音が聞こえなくなるほど谷が離れていきます。
←古道っぽく、ガレ敷き道。
やがてまた降って谷に合流すると、始発の渡し船で渡ってきた人たちと擦れ違い始めました。
良かった。
良かった。
このステキ谷を選んだ人が、他にもちゃんと居た。
合流後は3回ほど渡渉(↓3回目のみロープが)
このロープは「落ちた時、急流に流されないように掴まる為のもの」で遊びがかなり大きく、岩の上でバランス崩した時にこれに頼ると大きく振られて、逆に川にたやすく落ちる……という、罠的仕掛け。実際それで落ちたという人が、3人もいました。
「船窪岳分岐」から1時間45分(3h)で、
「南沢出合」(H約1,575m)↓ 幹に字が……
「沢降り=餓鬼岳の白沢のような超絶アップダウン」(苦手…)を想像していたのですが、案外アップが少なく無理に高巻きさせない素直なルート(その分渡渉/笑)だった為、いつも通り標準コースタイム6割通過で余裕の到着。いやそれどころか、この分だと1時間以上早く着いてしまうことに……?
ここからはゆっくり行きます。
南沢からは緩やかな降りになり、いきなり立派な木橋が出てきて、↓これが最後の渡渉。
この先は川がダム湖に注ぐので岸を歩けない為、
木の階段を登って左岸を大きく高巻きます↓
法面が石垣で補強してあって、杉まで出てきて、何だか「街道」っぽくなってきた↓
途中に避難小屋(東屋)↓ こういうものだったのか…
右手にダム湖が見えてきました↓
そのうち左手にこんな看板が出てくるのですが、「↓平の渡し」が消されていて、右手にあるコンクリの下り階段には「立ち入り禁止」の札。
別の場所に新しい階段作ったのかな?
もう少し進むと予想通り、↓木の階段が。
しかし特に標識は無く、壊れたプラ看板に擦れた文字で「渡しに乗る方は…」と書いてあります。
この看板の言いたいことは…
この「平の渡し」、実は関電が運営する無料船。
何でもダム湖ができると登山道が沈んでしまう為、ダム補償の一つとして、この渡しを登山道の「代替路」に設置したそう。
なので7~10月は定期運航していますが、今や改善・省力は当たり前? 無駄な運航は避けたいのか、渡しを委託されている対岸の平ノ小屋は、乗り場に誰か居るのを目視確認してから船を動かすそう。その為このプラ看板には「渡しを利用する人は、運航予定時間より前に乗り場へ降りて下さい」と書いてあるようです。
何でもダム湖ができると登山道が沈んでしまう為、ダム補償の一つとして、この渡しを登山道の「代替路」に設置したそう。
なので7~10月は定期運航していますが、今や改善・省力は当たり前? 無駄な運航は避けたいのか、渡しを委託されている対岸の平ノ小屋は、乗り場に誰か居るのを目視確認してから船を動かすそう。その為このプラ看板には「渡しを利用する人は、運航予定時間より前に乗り場へ降りて下さい」と書いてあるようです。
つまり、この階段の上で待っていて、時間になってから乗り場へ降りても、船は来ない――ということです。
「南沢出合」から1時間分(1h30m)で
←「平の渡し」(H1,450m)。
1時間20分も早く着いてしまったので、狭い船着き場(崩壊気味)でコーヒーを飲みながら本を読み、時間潰し。
少しずつ人が集まってきて、山話に花が咲きます。
何でも私以外は全員、読売新道を降りてきた人で(針ノ木谷、あんなに楽しいルートなのに人気無い…?)、向こう岸に着いた後は皆さん、湖沿いを歩いて黒部ダムへ行き、登山終了。車は七倉に停めてあるので、乗合タクシーの相談中です。読売新道こそアップダウン激しい沢沿いルートなのに、人気だなあ…
10:20、船が来ました。結構立派。
乗船名簿の記入も求められ、「手漕ぎ船だったらどうしよう…」と想像していた分、何だかマトモでガッカリ。
何人かはキャビンに座れますが、せっかくなので船外で立ち乗り。
スタッフの方は、約10分の運航中、釣りをしていました。ニジマスが釣れるそうで、対岸にも釣り師がたくさん居ます。
人のこと言える立場じゃないけれど、
釣りの為にこんなとこまで来るなんて、
物好きな。
←あ、昔の渡し場…(大崩壊…)