Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

北ア・餓鬼岳(長野県) ~白沢ルート~

9月に入ってまた暑くなりましたが、台風一過の晴天は見事なもの。秋ですねえ…
さあ、私(寒がり)の登山シーズンもあと僅かです。
ここは一つ、森林限界を超える日帰り山の中で、松本市民から見ても超ド級なマイナー山へと!!
 
★★★★★★★★★★★★★★★餓鬼岳(2647m、長野県大町市)★★★★★★★★★★★★★★★★
登山タイム(/標準コースタイム):登り5時間(6h30m)---降り3時間20分(4h)
標高差:約1,655m (+約200m)  距離:約15km  出発地:白沢砂防堤  条件:一人、日帰り、晴天、土曜日
  
大町市ですし、松本からはほとんど見えません。
 
この白沢ルートは去年、寒さからくる体調不良により撤退した山ですが、前の記事にも書いた通りルートの前半1/3くらいが白沢渓流沿い。黒部峡谷(上級ルート)程じゃなくとも、しつこくアップダウンを繰り返すイヤな構成。
ルートはずっと日陰ですが、最初はずっと低地を登ったり降ったりするので、真夏は蒸し暑そう。
「餓鬼岳小屋の主人が頑張って整備」していても、元々が狭く厳しい道で段差も高く、かつ主人だけじゃ行き届かないのか笹茂り、かなり悪路チック。白沢の美しさには目を見張りますが、標高も低いしメインルートから離れているしで、今まであまり人気の無かった山なんですねー。
 
そのマイナー度を逆手にとったのか、最近は「北アルプスで最も静かで自然が保たれている山」なんて紹介されて、近年の山ブーム(早く去れ)も追い風になって、登山者が増えたそうです。

白馬への快走路県51号を「ラ・カスタ」の辺りで立体左折して、アルプス公園の西端から1台分ギリの表面アスファルト舗装路を2km。モトクロス場を通り過ぎ、更に奥へ行くと右手に「山の神」を見て、やがて仮設トイレとベンチがある登山口↓に着きます。イメージ 1
Pはここに3台分位と、手前の両脇に4~5台分ずつ。
H約1,000m。登山口近くはタクシーが転回するので、邪魔な駐車は慎みましょう。
 
気温も程々。予報と予想も16時くらいまでは大体晴れ
――いい感じです。登山、スタート!!
 
登山口を入ると暫くは轍道。7分程でこんなとこ↓に着き、ここから降って森へ入ります。
イメージ 10
最初の小さい沢を越えて↓10分も行けば、水量豊富な本沢の水音が…
イメージ 20
 
このあたりは去年の記事でも見てください。
 
とにかく沢が綺麗。
イメージ 28全景の見えない紅葉の滝(H1,150m。見えないから標識のみ)→
を過ぎて何回か沢を渡り、一枚岩盤の滝の上(ここ、好きだ…)↓
イメージ 29
 この後すぐ、魚止めの滝↓が見えてきます。
イメージ 30

イメージ 31滝を見ながら急登をあがると、登山口から1時間15分(1h30m)で「魚止めの滝標識」→
H1,300m――。
 
……あれ?
全然タイム縮められてない…

去年の撤退時はもっとダメダメタイムでしたが……万全の体調で挑んでも、標準コースタイムの8割?? しかも―――
まだ300mしか登れてないの?!
 
今までの実績(笑)から、今日は休憩入れて8時間妄想で、朝の7時出発にしています。(早朝過ぎると寒いので…)
なのにこれじゃあ……まずい。
イメージ 2道はやがてまた降り、登り……
左手に次々と顕れる清楚な滝を眺めながら、
←豪快な滝の横を登って…
1時間30分(2h)で「最終水場」。H1,500m(低…)。
ここにちょっとしたベンチあり、広めです。
イメージ 3
この先はやっと、登坂尽くし。うわ、ザレるザレる
「整備されていない合戦尾根」、そんな感じ。&笹藪。
イメージ 4
岩だらけだったり、木の根だらけだったり…
イメージ 5
どれも結構急です。
イメージ 6
 岩が美しかったので…↓
イメージ 7
 「イメージ 8これよりガラ場となります」↓
……いや、これ、イメージ 9「崩壊現場」じゃ…

短いけど、東沢乗越から降りる道以上の悪路でした。
Σはっ…帰りにこれ、降るの……??
イメージ 11
ここだけ珍しく視界が開け、下界がチョロっと↑
そして登山口から3時間(4h30m)で、↓「大凪山」。H2,079m。
イメージ 12
たかが1,000m登るのに、3時間もかかるなんて……
イメージ 13
本当の山頂はもうちょっと先らしく、標識周辺は3人位しか腰掛けられないので、団体さんはもう少し進んで広い尾根横で休憩を。
 
ここで一緒になったシニア方(土曜なのに若者は居ない…)と雑談したのですが、
「もうアップダウンはしないでほしいわよねー」「そろそろ眺望が開けるかしらねー」

……ああ…地図をご覧にならないで登っておられるんですね…。このルート、眺望がドカンと開けるのは山頂直前の小屋からですし、大凪「山」なんですからそりゃもう降りますよここから……

「山頂まであと600mも登りませんから、そんなにキツくはないでしょうねー」
と言ったら
「え?!ってことは標高2,700mないってこと?餓鬼岳ってそんなに低いの!?」
…笑顔で沈黙返し。
 
そんな大人な会話をしながらランチ休憩を終え、それぞれ出発。
大凪山から餓鬼岳の近くまでは尾根道で、緩やかにアップダウンします。しかし木の根が横から伸びてるか、沼のようにぬかるんでいるかの部分が多いので、歩きにく……
 
その内餓鬼岳斜面にとりついて、またかなりな急坂になってきます。地図にある百曲がりがここかな…… 
イメージ 14
 
←下界から見ると白い筋となっている部分を、上から。
 ※この後に「百曲がり」の標識が設置されてました(2014)
 
草木の陰にこっそり↓「餓鬼岳小屋まで30分」
イメージ 15
でも相変わらず低層草木に囲まれ、道は岩だらけ根だらけ笹だらけ。眺望ももちろん無し。
イメージ 16
「最後に突然視界が開けるドラマティックな構成」(どこかのキャッチにあった…)って、そんな演出要らないよ…
 
←そしてこんなのも。「餓鬼岳小屋まで10分」
  いや、これ、信じちゃいけないと思う…
イメージ 17
「あと10分なんだ、頑張れそう!!」を狙ってるのかもしれませんが、そんな気遣いも要りませんて……
そんな後ろ向きな突っ込みを繰り返しながら、大凪山から2時間(2h30m)でようやく小屋の裏に!!→
イメージ 18
やっと…
やっとだ……
 
 小屋裏の南の高台(小屋にあたったら左)へ登ると… 
 
やっと森林限界だ…!イメージ 19
 
 
 
 
 
 
 
 
 
燕岳・ケンズリ方面→
この稜線もステキな岩が乱立しているらしい…
 
小屋は思ったより小さくて、増築の努力も涙ぐましい質素な造り。
今日は40名以上泊まるそうで満杯状態、キャッチの「混雑しない山小屋泊を味わえる」は見事に真っ黒な嘘に。まあ、燕岳に比べれば静寂でしょうが…これから登ってくる人達(10人近く追い越した)も泊まれるのか、人ごとながら気になりました。
 
そして小屋にあたった所から右へ5分、登山口から5時間(6h30m)で、餓鬼岳山頂です!!

イメージ 22イメージ 21
 かっ…こいい… ↓
 
←高台から見た山頂。
 
それにしても、休憩入れて6時間近くかかるとは…
 
とにかくお社にご参拝↓
イメージ 23

この下にも小さい社があり、山の神と同様に金物の剣が飾ってあり、見事に修験道にマーキングされてます。
イメージ 24
←唐沢岳方面
餓鬼岳のコブを経て、唐沢岳で行き止まり。
地図では往復5h20m。標識では5h…。
イメージ 25
           唐沢岳から左を見ると、裏銀座
更に左を見ると、再び燕岳方面↓
イメージ 26
緑が深くていい稜線です。
東(左手)から来る雲が山脈(と言うか、日本海から来る強風)に遮られて、これより西(右手)には行かないのがまた何とも……。
 
低いながらも、派手さの無い良い眺望。
これはオススメかも…!

が、とにかく時間押し押しなので、燃料を補給して10分休憩で、GO!
悪路急坂にアップダウンのあの沢沿いじゃ、帰り(降りとは言えない)だってそんなにタイムは縮められないだろうなあ…と思った通り、ああもう、キツキツです。

山頂から1時間10(1h30m)で、「大凪山」。
この標準コースタイムって、餓鬼岳小屋主人のタイムなんじゃ…??
かなり疲労激しく、段差の大きいところで何度もヘタっと座ってしまいました。情けない…
こんな時に、焦って急いだらそれこそ取り返しのつかないミスをやらかします。人間ってそういうもんです。
なのでここは敢えて、ペースダウン。
もうタイムはどうでもいい…17時までに登山口に生還できればOK…!!

ふと耳を澄ますと、下から来る人たちが私の鈴の音を聞いて「今から降りてくる人がいますね。チャレンジャーだなー」なんて笑っています。聞こえてるっつーの。まだ私の遥か後ろに3~4人居るっつーの。
しかも只今14時半。まだ大凪山のメッチャ手前で登ってる、そっちの方がよっぽどチャレンジャーだろうが。
一体どんなムチャ振り若造グループ(経験値の高い人はこんなセリフ吐かない。思っていても)かと、少々ヤっつけるつもりですれ違いスペースを作って待っていたら………――――
なんと、オールシニアを連れたツアーパーティーでした…!!
 
こ…こんな山にもツアーが……? じゃなくて、そのメンバーでこの時間にまだここ…??
今からだと、私のタイムでも小屋到着は18時近くです。信じられない……。しかも…
「20人くらい居ますからお先にどうぞ」 (超急場。ムリ。だから待ってたんだろが。先に登れ。つか、20人??!
 
「あ、最後に足ツっちゃった人が離れて居ますので (え!それでも行くの??!)
………そうか、あの人たちが予約したから小屋が満杯なんだ…
じゃなくて。
 
そ……そろそろ、雨降るよ――っ?!
 
ツアー引率者は山屋だろうし、当然厳しい時間だということは承知のはず。それを参加者に悟られないように、私の発言を許さない勢いで喋っていました。ああそうか、私を笑い種にしていたのは、牽制か。若いのう……
こういう場合、低経験値者(ビギナーではない)の不安を煽る行為が一番のタブー。故に「いってらっしゃーい」と笑顔ですれ違いました。山の私は、結構イイ人です。
まあ、ツアーに丸投げて頼って甘える参加者がそもそも  愚か いけませんしね。
トムラウシの教訓は全く活かされていない模様。
 
なんて人のことを心配している場合ではなくなりました。自分もマジでツりそう。
「笑っている」なんてレベルではなくなってきました。
登りならまだまだイケる(好きだから)。足は動く、降りもできる。けど………―――もうダメだ!ツる!!
イメージ 27
 
「大凪山」から1時間(1h30m)で「最終水場」。
ここで靴を脱いで両足マッサージ!! (><)
な…情けない…
 
ついでに糖分補給。
←本日の甘味。バターどら焼き。
春~夏の甘い頂き物は、全て山で消費されます。
 
15分近く休憩しましたが、私が追い越してきた人たちが全然来ない… 大丈夫かなあ…
 
 
「最終水場から」15分(20m)で「魚止めの滝標識」。
 
この後2人追い越し、脇目も振らず前進。ああ、ツライ。こんなツライ登山は、幼少期から今まで一度もなかった…はず。いや、山の記憶って、帰ってくれば全て美化されているんですよね。思えば前常念ルートだって、尾根出合まではいつも悪態つきながら登っています。それが下山すると、あのような賛美な記事に――。
 
「最終水場」から1時間20分(1h20m)で、「登山口」。
ジャスト17時。
 
  休憩含めた滞在時間はなんと、10時間……―――
 
標準コースタイム10h30mのルートで、滞在10時間とは…こんな体たらくは初めてです……!
車に着いた途端に「やってられへんわ―――っ」と叫んで帽子を叩きつけたのも初めてです…
 
とにかく何がイヤって。
距離の半分以上が「高度を稼げない道」な為に、標高差1,000m以上を悪路チック(一部ホントに悪路)急坂で帳尻合わせるところ。&低地でのアップダウン。
 
今後ここに来るとしたら、魚止めの滝までの「渓流を楽しむ秋のお気楽散策」ですね…
本当に白沢、綺麗です。           注)スニーカーでは歩けない道、要・登山靴。バランス感覚の悪い人危険。
 
とにかく求ム、標準コースタイム改定!




<2014年追記>
甲斐駒アタックが成功したので、これなら餓鬼岳もいけるんじゃないかとうっかり思いついてしまって、かなりイヤだったのですが再挑戦してみました。
イメージ 32
この3年間、何度か最終水場まで紅葉や避暑トレッキングしましたが、今年からこんな標識を設置→

これ、最終水場までを6分割して距離を示しているのかと思ったら、「6つある水場のうち○番目」みたいです。6つ以上あると思うけど…

ガラ場の開始場所も↓これに変わってました。
イメージ 33

ガラ場は植物が旺盛でだいぶシッカリしてきた感じ。笹の除草作業後で、落葉も進んでいたので上部の道は歩きやすかったです。

そういう季節の違いもあるし、新しいハシゴが出来て登りやすくなった処もあれば、腐り始めて危ない処もあり……

で、結果ですが。

往路4時間10分(6h50m)、復路3時間15分(4h10m)でした。
(あれ?標準CT、ちょっと改訂した???)

復路のタイムが3年前とほぼ同じですが、何とか標準CTの7割を切れて一安心
疲労度も3年前に比べれば全く軽く、少しは進歩したようです。でも、他の山なら6割切るんだけどなあ……
今回、タイムを大幅に縮められたのは、やはり「登山口~最終水場間」。「アップダウンが苦手な人間には危険なルート」という見解に間違いは無いでしょう(苦笑)

但しストレッチ休憩をかなりとったので、滞在は9時間半。
そして甲斐駒と比べれば、疲労度は格段に上でした…… 一体全体……

気を取り直して。

快晴だったので、前回と違って白馬から槍まで見渡せました。
      ↓東餓鬼岳      (肉眼ではハッキリ見えたのに…)うっすら↓    ↓剣ズリ
イメージ 34
 ↑餓鬼岳小屋(布団干してます)

三俣蓮華 鷲羽↓岳 水晶岳       野口五郎岳           ↓三ツ岳
イメージ 35

               烏帽子岳                立山↓  剣岳↓ 針ノ木  蓮華
イメージ 36