Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

南ア・鳳凰三山とアサヨ峰(山梨県) ~ドンドコ沢/中道~

信州に移住してそろそろ10年目。
1~2泊で縦走できる北アのステキ処は大体行きつくして、「3泊無いとムリ」な山ばかりが目標となってきました。なのに今年は、有休取れる週末前後が毎回、台風やら暴風雨で。。。。
やっと晴予報と重なって「3泊行かれる!」となったのは10月中旬と、またしても「北アじゃ寒くて死んじゃうな~」な時期に。そう、南アの出番  です!
 
★★★★ 地蔵岳~アサヨ峰~観音&薬師岳 山梨県北杜市韮崎市★★★★
登山タイム(ルート/標準CT):
 登り:4時間15分(ドンドコ沢/5h30m)---
 縦走:3時間30分(鳳凰小屋-->早川尾根小屋/4h30m)、2時間15分(早川尾根小屋<-->アサヨ峰往復/5h)、
          3時間10分(早川尾根小屋-->鳳凰小屋/4h30m)、1時間35分(鳳凰小屋-->薬師岳/2h10m)
     降り:2時間45分(中道/3h55m)
標高差:
 登り(鳳凰小屋まで)UP約1,300m、縦走部分トータルUP約2,490m/DOWN約2,100m、下山DOWN約1,690m
距   離:鳳凰三山周遊部分約24km + 鳳凰小屋<-->アサヨ峰往復約18km
出発地:青木鉱泉  条件:一人、土曜~テント3泊(オールセルフキャリー) 、曇/雨/雪/やや晴
 
こういう事情でもないと中々他県へ行かない信州人、これが人生三度目の南ア。
イメージ 7
あ、「御座石鉱泉ルート」じゃなくて「燕頭山コース」というんですね・・・↑
 
今回の登山口は前回の登山口「御座石鉱泉」から車で林道を10分ほど行った処なので、同じ「小武川林道」を通っていこうかと思っていましたが、調べたら「ゴア沢の新しい林道がほぼ全舗装で楽」らしく。
「ゴア沢の林道」とは、R20の交差点「桐沢橋東詰」で西へ曲がって釜無川を渡り、道成りに桐沢へ西進するとやがてゴア沢に沿う、「韮崎市清哲町青木の林道」のようです。
 
土曜の朝、須玉ICで降りて北周りで釜無川を渡り、R20の「円野郵便局前」で右折して県道12へ。
この県道を南下してきたら「原山神社」で右折――と言いますが(誰が?)、「コレが原山神社だ!」とわかるのは鳥居の扁額しかなく、なのに曲がる地点は鳥居よりも手前です……
この路沿いではこの神社以外に道路からすぐ見える神社はありませんから、とにかく左手に神社らしき杜と建物が見えたら、鳥居より手前を右折で!
イメージ 4
右折すると結構狭い路で登り坂。しばらく行くと未舗装路になりますが、600m位で再び舗装路に。
確かにその後も全部舗装路でした。
 
が、土や枯葉が堆積して舗装路に見えなかったり、ヘアピンカーブの出口でアスファルトが陥没していたり…
そして灰色の大きい枯葉が落ちているのも、落石も、同じに見える…
大変にトリッキー
 
「甘利山」の青看が2回出てくるけれど、両方とも「甘利山」ではない方へ。
途中見晴らしのよい急斜面をヘアピン2回でジグザグ昇る部分があり、八ヶ岳の眺望が最高↑(下山後に撮った)  展望台のような退避場所あり。
 

イメージ 1

広くて平坦な樹林帯のT字路「←青木鉱泉」「御座石鉱泉→」で、左へ。
 
この先は幅が狭いけれど、舗装状態は良好
 
右折して橋を渡るところに「薬師岳登山道」の標識が→
 
4日後はこの左手の道をくだって、ここに戻ってくるわけですな。
あーもう、ここに車停めたい。
 
橋を渡ってから左手へ曲がると未舗装となり、そこを300mほど昇ると青木鉱泉P(H1,090m)↓

イメージ 2

この道沿いPと行止り正面Pは宿泊者と送迎バスや路線バス(山梨中央交通,OW\1700)専用なので、手前を左折して小川を渡ったところのPへ停車↓
イメージ 3

 

¥750/日。高いな~。
写真に見える上段は満車なので、下段へ。地図には「P100台」とあるけれど、そんなに停められるかな?
イメージ 5
←宿は正面Pを左へ入って登ったところにあり、建物を右手にまわって奥の作業場のようなところで駐車場を支払います。
領収書代わりの「○/○~○日間」な紙(これ、簡単に偽造できそう…)をもらって車内に提示しなければならないので、戻るのが面倒。
イメージ 6
宿はとても良い造りの木造でイイ感じ。鉱泉というところがアレだけど、もっと歳取ったら湯治に来たい・・・
玄関前はベンチやトイレなどが結構整っていて、無料市営Pの御座石鉱泉より親切感溢れてます。利用者が多いのでしょうかね。
登山届場所に自動販売機が!→
 

イメージ 8

でも、支払う時に何日停めますかー?と聞かれたので「4日間」と答えたら「4日も??!」とメッチャ驚かれました。え、ダメなんですか??
いえ、そんなに長く停める人は珍しいから・・・」
そう、この山域は「東京に一番近いアルプス」故にビギナーさんが多く、健脚なら日帰りで三山巡れてしまうコースタイムの為、大体皆さん1泊2日なんです。
「アサヨ峰まで行こうかと思って~」
「へ~…?」「あ~アサヨねえ~・・・」
わかってます、おかしなルートだということは。
何の変哲もないアサヨ峰にわざわざ行って、甲斐駒も行かずに戻ってくるなんて物好きとしか言い様ない。でも「3泊で」「そんなに寒くないエリアで」「Pに戻ってこられるルート構成」となると、ここしか無かったのです。
 
8時半、登山開始。
←ドンドコ、ドンドコ (なぜ同じ標識を2個も…?
イメージ 9
最初はドンドコ沢左岸のジャリっぽい道を登りますが、法面工事の迂回地点に出ると右岸へ移動↓
イメージ 10
うわあ・・・・・・またしても凄い法面保護を・・・↓↓
イメージ 11
 
晴れてたらこの奥に観音岳が見えるのかな?→
 
この後また左岸に戻ってすぐに沢から離れ、山間部をザクザク登り↓
イメージ 12
これがまた結構な急斜になってきて、谷間をジグザグったりします。 おいい↓(上から後続者を撮影)
イメージ 13
普通「~沢ルート」と言ったら、餓鬼岳の白沢のように「前半は緩く沢沿いをアップダウン」なのですが…… ここはオール高巻き、どこも緩くなあい
イメージ 14
ルートも3分の1が左撒きのトラバースで道幅は狭いし、大した渡渉ではないけれど何回か小さい渓流を横切る(=アップダウン)し、たまに縦横にも狭くて荷物がひっかかり、歩きにくい。テン泊装備には向かないなあ・・・
というか今夏の悪天候の名残か、稜線も中道も倒木が多くて全体的に厳しかったです。
 
各滝も登山道からはよく見えないので、看板地点に荷物を置いて、よく見える処まで往復する仕組み。
 
よく「渓流や沢は、登りが楽しい」と聞きますが、ここは登りも降りも関係ないですねー。
 
←小さい渓流越えがこの区間だけでも3~4回↓
イメージ 15
しかも、今回初めて使う新品70Lザックが大問題。
色優先でメンズにしてしまったので・・・・・・試用の時は大丈夫だったのですが、テン泊装備を入れて背負ったら重みでウェスト部分がスルっと抜けてしまって。
腰で支えられない。。。。青ざめ。
イメージ 16

 

いつもより軽めにしてみたとは言え、腰の支点が無いとこんな荷物とても運びきれません。お尻までさがってきて腰脚を圧迫するので、坐骨神経痛も再発しそう
 
でも、引き返して帰るという選択肢も無い。
 
←青木鉱泉から1時間50分(2h)で「南精進滝」(H1,600m)

イメージ 17

滝の見えるところまでは手ぶらで往復3分。
ステキな岩 南精進ヶ滝→
 
ここで防寒着用のフリースを腰に巻いてウェストを嵩上げし、登山続行。それでも動いているとどんどん落ちてきてしまうので、後ろ手でリュックを持ち上げます。
つ…疲れるっっ
イメージ 19
←道はどんどん狭く険しく、岩混じりに。。。。
 
鳳凰の滝」分岐↓
イメージ 18
この上部にも鳳凰滝への分岐がありますが、体力も気力も無く、この滝はパス。
イメージ 20
「南精進滝」から1時間10分(1h30m)で
←「白糸滝」分岐(H約2,000m)
 
この山域、写真のような古い金属製標識が多く、そのほとんどがこういう風に倒れていたり錆びて読めなかったり・・・・・・
距離も時間も記載がないこんな役立たず、いい加減、撤去した方がいいと思う。
 
「五色の滝まで0:00分」↓ ウソ時間も困る・・・
イメージ 21
白糸の滝↓
イメージ 22
 
この先は険しいというか、一部ザレザレで厳しい。なのに補助段もハシゴも一切無い(><)
 
「白糸滝」から40分(1h)で↓「五色滝」分岐(H約2,180m)
イメージ 23
この左手を奥に進むと「滝壷までくだれます」
 
五色の滝↓ おお~落差一番?ここもイイ岩壁!
イメージ 24
かなり降りますが、荷物が無いので楽々ちん  (でも水しぶきで寒いので滝壷までは行きません)
イメージ 25
登山道も、この滝から先は楽になるはず・・・
 
←この、何故かどうでもいいところに作られた階段状の道の後、「それよりもここにハシゴ設置してくれよ…」な岩張り部分を抜けると、沢沿いに出ます↓
イメージ 26
小屋に続く沢ではなく、結構長く登るのですが、緩やか~でとても楽。水音小さく、靄っていて幻想的。
イメージ 27
←「五色滝」から35分(1h)で「鳳凰小屋」(H2,382m)
 
良かった・・・坐骨神経痛にならずに着いた・・・
(小屋と地蔵岳間については前回の記事をご覧下さい)
 
15時半。
土曜なので結構人が多いですが、テン場はまだまだ余裕アリ。
明日は雨予報。ここのテン場は平坦なせいか一番下は水溜りが出来るので、段々部分に設営します。
 
<2日目>
予報通り、未明から降り始めました。明け方には激しくなって、ただでさえ9月以降は寒くてテントから出られないのに、とても撤収する気になれません。
イメージ 28
「質の良い装備にすれば寒くない」という意見を聞きますが、冷え性には見当違いなアドバイス。ましてテントの撤収は分厚い手袋をはめてやるわけにもいかず、雨じゃカイロも握れず、当然に指がかじかんで動かない。。。
くくう…っ
 
雨足が弱まった頃に何とか撤収し、8時半出発。
アサヨ峰アタックは明日だな~…
 
鳳凰小屋」から砂走り急斜面をザレザレ登り、50分(1h20m)で地蔵岳直下の「賽の河原」(H約2,700m)→
 
「賽の河原」から5分(10m)で「赤抜沢ノ頭」(H2,750m)
この先は未知の稜線↓

イメージ 29

鳳凰三山北岳の間の渓谷側から来る強風にやられるんだろうな~と思っていたら、幸い風はそんなに強くなく、地図には「白砂の稜線」とある花崗岩の景色が続き、霧雨でまたまた幻想的。
崩壊前の岩はちょっと黒ずんでいて、「灰色がかった燕」といった感じ↓
イメージ 30
 
降りきったところでいきなり白砂が終わり、鳳凰三山エリアから別世界へ出ます↓
イメージ 31
この先は「痩せ尾根」――と言っても植生豊かなので危険な感じはナシ。↓逆に茂りすぎてて歩きにくい
イメージ 32
ここで見晴らしが良くなって、前後それぞれ10人くらいの人が見えてきました。大体が4~8人のパーティか、若者二人組。
このルートは人が少ないと思ってたのに、そうか、大衆ルート「広河原」へ降りる道があるんでした。
そういえば昨日のテン場でも「初めてテント張るんです♪」って男子(翌朝は私のとこまで「雨時の撤収方法」を見にきた…)や、ハイテンションで無邪気な若者が何人か居たなあ
イメージ 33
「赤抜沢ノ頭」から40分(40m)で
←「高嶺」(H2,778.8m)  ※読みは「たかね」
 
ここで雨がアラレになってきた…
写真も撮れないし寒いしで、休憩もほとんど取らず通り過ぎます。(この区間の画像は全て翌日撮ったもの)
イメージ 34
高嶺からの下山部分は、岩ガラの急斜面→

イメージ 35

相変わらず補助モノは何もナシ 北アと違って、雨時は滑りやすいのでゆっくりと。。。
 
暫く頑張ると揺るやかなハイマツ地帯になって、再びシャクナゲやハイマツが道を遮ってきます。
 
←峠が見えてきた
ここ、晴れてたら景色いいんだろうな~
 
「高嶺」から35分(40m)で「白鳳峠」(H約2,450m)↓
イメージ 36
ここから広河原に下山できるので、当然皆さん下山。誰も居なくなりました。
この先は人があまり通らないからか、更に樹木が張り出してきます。ザックがひっかかる~
イメージ 37
←道が崩壊したらしく通行止めになっていて、左(西)側の樹木間を降り巻き。狭っ。
ここが赤薙沢ノ頭(H2,553m)だったのかな?
 
「白鳳峠」から50分(1h)で「広河原峠」(H2,344m)↓
イメージ 38
予報通り雨がやんできたけれど、もう寒くて重くてお腹すいて…休憩ばかりとってしまう。。
 
やがて道が緩やかになってくると、「広河原峠」から30分(40m)で「早川尾根小屋」(H2,420m)↓
イメージ 39
やっと着いた~
小さい小屋ですが、ここも小屋の左手奥に水場アリ↓
イメージ 40
トイレは↑この手前左手屋外にある連結仮設ポッドで、小屋が既にクローズしていたので不明ですが、ネットによれば「水流による垂流し」らしく・・・・・ テン場との距離約20m。クローズしてて良かった・・・・・・
 
小屋下の平たいテン場↓にテントを張ったら、14時。
イメージ 41
これからアサヨ峰に行こうと思えば行けたのですが、実は「早まったら下山日くらいに来るかな?」と思った生理がまさかの初日登山中に始まってしまい
+ザックの不具合に雨の疲れ、状態は最悪です。
 
明日は南御室テン場に泊まる予定でしたが、鳳凰小屋テン場泊にすればアサヨ往復してからでも余裕で着くし。せっかくのアサヨ峰(位置的に多分もう二度と来ない)、余裕を持って行かれる明日にした方がいいし。
 
若い時ならピストンアタックを強行したでしょうが、強行して恥をかく(しかも死後に)は極力避けたい、という意識の方が勝つようになりました。これを老いと言うなら言うが宜しい。配偶者や扶養者、重職やローンなど「何か」を抱えてしまったら、「保険」ナシに勝負してはいけないのです。さも正論のように。
 
時折覗く日差しに濡れたカバーや雨具を乾かしてテントでのんびりストレッチ。は~極楽・・・・・・
いつもは「ビール4L」背負ってくるところを今回は「ワイン1L」にしたので、酒の満足度も高い
 
夕方、人の声が聞こえるのでテントの中から外を伺ったら、30代くらいの男性が二人来ました。
今から次の小屋へ行くには遅いし、かといってテントを張る気配も無く、どうするのかな~と思っていたら・・・・小屋の窓ガラスに明かりが。どうやら小屋に入って中で泊まったようです。
小屋のクローズ処理に来た…という感じではなさそう。もしかしてクローズしても鍵はかけてなくて、避難小屋みたいに使えるのかな?? 避難小屋なら、緊急事態じゃなければ使っちゃダメ、ですけどね・・・
 
他に人は居らず、風のない静かな夜。月も雲間から見え隠れしています。
明日は晴れ予報!という期待を込めて、就寝。