Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

●百万人の山と自然 「安全のための知識と技術」@松本

イメージ 1
 
松本経済新聞のツイートで知って、申し込んでみました。
 
以前出たj ROの講習と被るかもしれないけれど無料だし、夕方開催ならもし当日晴れて登山しても、下山後に行かれるし♪
 
毎年、複数都市で日程や講演者を変えて開催していて、今年は第7回目(7周年)だそう。講演者は大体は山岳ガイドや救助隊関係者のようですが、中には大学教授や山岳ライターも。うわー名古屋会場はカルデラ砂防博物館の人の講演だって
 
 
当日は信州まつもと山岳ガイド協会「やまたみ」がハンドリングしていたようで、どこか(多分、山)で見たことある顔がチラホラ。
 
北アルプス山小屋友好会」なんてものもあるんですね。
味の素協賛。
共催の信濃毎日新聞へ、ハガキで申込。
**************************
 
土曜の18時、会場は市街地のMウィング
初めて中に入りました。パルコのある伊勢町通りに面していて、北側にあるPは¥150/30分。
jROみたいに郊外でやってくれれば駐車場代もかからないんだけど……
ちょうど良いのでパルコのMUJIで日用必要品を買って、60分無料券をゲット。
 
6Fの「大ホール」は学校の講堂のような小さいホールで、聴講者には椅子だけ。
定員の300名も居なかったような気がします。
会場前のホールで受付を済まし、山岳保険や山岳グッズのチラシ配りの人を縫って、入場。
配られる講演資料は特に無く、PPTをステージに映しながらの講演。
 
まずは長野県警の山岳遭難救助隊・櫛引隊長のお話*****************************************
遭難には物理的、気象的、人的な3つの要因があるということから始まり、遭難救助現場のお話盛り沢山。
(「知識」というか「情報」? 「技術」なんてほとんど無かったような……)
 
登山の基本を知らないのか、パーティーで登っているのに途中で故意に別行動する(体調悪いとか整備故障とかの理由で。。。「はぐれ登山」と言うらしい)とか、シャリばてや疲労でうっかり滑落とかならまだしも、真冬の北アアイゼンやピッケルの装備ナシで入るかまし夏靴って……!!?
唖然呆然・・・ のオンパレードが披露されました。
舐めた登山者が多いのは、東京だけじゃなかった。……いやいや、北アの登山者の大半は関東者だ。
 
で、大体こういう奴らは、登山届も出してないんだよねー・・・
 
 「こういう講習会とか講座に参加する方は、遭難しないんですよ」
 
つまり「安全や危機管理の意識・意欲の低い人が遭難している」と。
それって人的要因が一番大きいってことじゃないのでしょうか。
 
日本の山岳救助件数が提示されましたが、「トップは長野県、二位が北海道」は、わかります。
でも、三位に東京が食い込んでくるって、一体………
 
もちろん低山や里山は獣道や作業路が多く、見通しも悪いし整備もされていないから路迷いの可能性が高く、熊も多いので高リスク。更に奥多摩は、標高差も北ア並み。
しかしそれを上回る過信や舐めた登山者(&山菜採り?)の多さが効いた順位ではないかと思います。
因みに「富山県が6位」は笑いました。同じ北アでも、西側は地形も優しいし開発されてるからなあ。。
 
最後に質疑応答。
「遭難時に自分の居場所を知らせるツールは何が良いか」に対しての答えが、冬ならビーコン、通常はヒトココ、基本は携帯のGPSがあるけれどと前置いて「とにかく登山届を出してください」だったのが印象的でした。5回くらい言った。
それほどに、「登山届が提出されてなかったせいで救助が大変だったこと」が多発してるってことですね。
くれぐれも警察に迷惑かける(=税金をムダ遣いさせる)なよ、庶民。
 
 
10分休憩挟んで、次の講演**************************************************************
二人目は「世界の果てまでイッテQ!」のガイドを勤めたという、国際山岳ガイドの角谷氏。
一通り海外の登山紹介から始まります。
久々に聞く本物の関西弁(標準語の文章でも発音がカンペキに関西弁というレベル)に、和む~(笑)
 
テレビを見てる人(※)はほとんど知ってる内容だったでしょうが、テレビ無し生活23年目の私にもわかりやすく簡潔にサクサク紹介されてました。へえ~色々行ってたんだあ…… あ、デナリ(北米)はポーター居ないのね。K2(カシミール)も居ないと聞いたけれど、今はどうなんだろう。
 
※そういえば、当時テレビを観ていた知人から番組の説明と共に「いもとあやこのやってることってやっぱ
  り凄い事なの?」って聞かれたことがありました。
  ええ、凄いと思います。まずああいう海外連続アタックは、金が無いと成立しません。それだけの額
  を引き出すのも、それだけの額の企画に抜擢されるのも、タレントとして十分凄いでしょう。
  それから、登頂成功(というか無事に下山)するには、相当の「気力」が必要です。
  「若さを含んだ体力」は、必要度としては3番目くらい。荷物は全部運んでもらえますし、テントの設営も
  登山道の整備もスタッフがやってくれますからね。
  ガイドやトレーナーが居るので、技術も経験も要りません。「素直さ」は必要かも。
  でもこの3つ(資金・気力・若さと健康)を同時に揃えて実行する事は、並大抵のことではないと思います。
 
キリマンジャロ(アフリカ・ケニア)で全盲の人をガイド。
標高にインパクトがあるのにメッチャ単調で簡単な山だし、日本には居ないポーターがわんさか居るからうってつけ。さすがのセレクトです。
 
アコンカグア(南米)での撤退は、素敵だなと思いました。
いまだにテレビの影響が大きいニッポン。
撤退する勇気も大事で素晴らしいことだとテレビで知らせれば、無謀なおバカさんが2~3人は減るかもしれません。成功例ばかり見せるより、番組としても深みが増すでしょう。
制作費用や番組の出来という責任感も一部背負って、何もトラブルが発生していない時点で、それでも安全第一で撤退を判断するって、凄いことなんですよ、実際。
よほど図太い神経ならともかく、並みの人には出来ません。プロならでは、です
 
ところで「白き氷河の果てに」を観た時も思ったけれど、こういう挑戦的な山岳記録だと「チャレンジャーもガイドも凄いが、一番凄いのはカメラクルーだ」と思うのは私だけでしょうか。
山が好きなわけでも行きたいわけでもないのにあんな重い機材をしょって、登頂したとて自分の手柄や名声になるわけでもなんでもない。フツーに仕事で、あんなことしなきゃならないなんて……プロだわ。
 
一通り紹介が終わって、日本の山の話。以前は少数派だったヘルメット着用者が、北アの岩稜ではかなり増えているそうです。北アに「ヘルメット着用推奨エリア」が設定された時に、私もやっと買いました。
これも長野県警の布教…じゃなかった、普及活動のおかげでしょう、と。
 
そして、日本の山は「トレッキング」「本格登山」などに区分けされていないのも問題だというお言葉には「そうだよね!!さすが海外を知る人は違うな」と思いました。
山を区分けして、それで「救助無料」と「救助有料」を明確に差別すれば、色んな問題が解消するのに…
 
登山届も義務化されて1周年、長野県警にはこのまま「登山先進国」を目指し「装備不足や登山届未提出の遭難者には罰金制度」を繰り出して戴きたいものです。
保険会社もぜひ、これに追従してほしい。
 
とにかく後半は四方山話的に色んなことに言及してましたが、全体的に「体力に見合った登山」にひっかかっていらした模様。現実、体力も無いのに「この山に連れて行け!」なんて依頼も来るのでしょうね。
うちの山の会のメンバーは、それに加えて努力(日々の運動やストレッチ)すらしませんよ=3
 
でも角谷ガイドのお話は「体力さえあれば冬のモンブランでのトレランだってOK」「チャレンジも大事」といった趣旨でした。体力というより、身体能力全般ですかね。
トラブルの時も、それが「高いと生還、低けりゃ死亡」と、結果がかなり違ってきますもんね。
 
************************************************************************************
 
あと数年で「中高年」に分類される私は、体力が激落ちしたり固いクラッチのせいで既に怪しい左膝がマジ故障したりすることを見込んで、タイムトライアル登山から体力維持登山へと少しずつシフトしています。
色々文句もありますが(あるのか…)、初級者集団の山の会の引率は良いストッパー。
物理的な衰えを補うのは知識や経験、それ以上に判断力や、諦めることも含めた精神力が肝要です。
 
確か今月末は、信州大のスポーツ医科学の先生(この方もテレビで有名らしいですね?)の無料講演会が松本であるな・・・・
そろそろ登山指導者講習会も受けておこうかな。。。