Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

博物施設/アイヌ◆ウポポイ・民族共生象徴空間(北海道白老町)

いつか行きたいと思っている博物館のなかで、一番遠いヤツです。
私の興味がある地域は日本海側に集中していて、時代は縄文~古墳ですから、日本海の交易」を考える
アイヌは外せません。しかし、関東にいるとアイヌ文化に触れる機会は少ないですね~;; 東北でも、チラホラ程度なら何とか。 やはり北海道に行かないと満足できません。 
―――なんて、11年前にブログアップした博物館です。。。
 ◆◇◆◇ 民族共生象徴空間 ウポポイ(北海道白老町) ◆◇◆◇
実際2013年に行ったのですが・・・

なんとその直後、2015年に国立化が決まりました。一旦閉園し、2020年4月にリニューアルオープンするとか・・・ な、何故このタイミングでええええf:id:wistorian:20190926193801p:plain
「一生に一度の北海道」のはず、だった、のに。。。
 
2021年7月に何とか再訪しましたが・・・ 結論から言いましょう。
以前のポロトコタンとはもう全くの別物!―――― というか
ポロトコタンは消えていました!!><(←当たり前)

  この北側↓↓にも何か造りそうな感じ・・・

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          ポロトコタンは入場¥400,この右端35%の敷地面積↑↑でした

←西にあった市営Pは、今は道の駅的施設「ポロトミンタラ」になってる模様

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白老駅に到着すると、あわわ、↓↓駅までリニューアルしてるf:id:wistorian:20190926193801p:plainf:id:wistorian:20190926193801p:plain 

f:id:wistorian:20210711083118j:plain白老駅の改札は駅南側で、ロッカーやタクシープールも南側にあるのですが、ウポポイ用の臨時改札口(休園日は閉鎖)が北側に出来てます。自販機もポストもアイヌ文様でかっこいい  ↓↓イランカラ=いらっしゃい、こんにちは、こんばんは

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更に!白老駅は昔は特急「北斗」が停車しなかったのですが、今は停車します
国立化(税金の力というか利権)、凄えええぇ・・・・・・

この日は雨f:id:wistorian:20190926193623g:plain  前回の「氷点下10℃」とどっちがイイかと問われると微妙です。

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白老駅から東へ1km弱歩くと、↑↑交差点左手に大きな踏切があり、その向こうにもうウポポイの博物館建物が見えてます。デカ・・・ 入口は ↑↑ここではなく、もっと左手の駅寄り(敷地の南西)に一か所だけ。徒歩用と車用の2ルート。

まだ開園前ですが、↓↓このアプローチエントランスからチケット売り場までは入れるようになってました。      博物館の予約状況がここに出てて便利↓↓

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博物館の予約サイトのQRコードもあればカンペキでした。ここから蛇行したアプローチ「いざないの回廊」↓↓(入場待機列のための造り?)をウネウネ行くと、 ↓↓「歓迎広場」に出ます。

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この広場の右手にカフェ「リムセ」、左手にスイーツショップ「ななかまど(←9時前で雨なのに既に開いてて、店頭でチラシ配り。チラシを断りながら心の中で「帰りに寄るから待ってて!!」=早仕舞いすんなよ!?)←平日はアブナイかも・・・
その奥の、左右周径にある半円形建物がエントランス棟で、中央正面がゲート。
左手奥がチケット売り場、手前にアイヌ料理 レストラン「ハルランナ」と、地場産的 フードコート「ヒンナヒンナキッチン」 。 ヒンナヒンナ=美味しい ←ご存じ!
右手はインフォセンターと観光物産的な土産ショップ。
早速インフォ窓口のお姉さんに「ネットで調べてもわからなかったイベント開催場所」や「本日の開催予定」を最終チェック。(←コロナや雨で予定が変わることアリ)

どの施設も営業スタンバイOK!さあ来い!って感じで活気がある・・・さすが国立。
 
開園と同時にラジオ体操が流れ始めましたが・・・んん??これ、アイヌ語だ!!
 
インフォの大ビジョンでは、ゆるキャラ「トゥレッポン」がお兄さんお姉さんたちと体操している動画も流れてる。
よくパンフなどを読むと「ウポポイの公用語アイヌ語です。ええ~?!

私、この時まで、「日常生活をアイヌ語で通せる人」はもう居ないと思いこんでいました。最後によんだアイヌに関する記事は、アイヌ語新聞が廃刊になったとかだったので・・・・・・ポロトコタンでもアイヌ語そんなに溢れて無かったし。

でも実際はこんなに、普通に使える言語だったんですねえ。。。
なもんだからウポポイ案内板は基本アイヌ語、スタッフのネームカードもアイヌ名(ポンレ)でした。うわ、アミューズメントパークみたい。

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さて、入場は前日までのネット予約制で、もうネットで購入してあったので、そのままゲートへ行ってQRコードを提示してスルっと入ります。うう、便利・・・
こういうネット予約や電子決済が浸透した点では、コロナ様様です本ト。
  ※しかし再入場には、ゲートで紙の再入場券を貰わなければならない・・・

ゲートを通過すると、案内人らしき人が積極的に語りかけてきて、ウポポイでの過ごし方をアドバイスし始めます。よっしゃ!と相談。

ウウェランカラは雨で中止ですよね? 時間が半端に空くんですけど・・・」
「中止です~。でしたら博物館はどうですか?予約制ですが今なら空いているので、
  こちらで予約致しますよ」
「いえ、博物館は11時に予約しているんです。今日の予定は ↓↓こう」

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当初は平日に来る予定でしたが、コロナのせいか週末しかやらないプログラムがあるし平日は回数自体が少ないしで、急遽日曜日に変更しました。それでも予定を組むのに一苦労、無駄な空き時間なんて許せません。。。

でもここまでガツガツしてる人は、この日は居なかったみたいです。
ガイド、しばらく考えてから、流暢に案内し始めました。

「でしたら、博物館のショップはいかがでしょう。予約無しで何度でも入れます。
  指定席券は、今日の人出なら30分前に取りに行けばじゅうぶんです」
たかがショップでもじっくり観るような粘着者だと見込んだな?
その通りです。さすが国立。
 
博物館ショップ  博物館内詳細については別頁で。
博物館へ入ると「どうぞどうぞ」と誘導されましたが、「いえ、ショップ見たいので」と言うと、「こちらです~」と奥へ案内してくれます。 安かった鹿角f:id:wistorian:20190926193502g:plain↓↓

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このショップ↑↑ の左奥にも入口があったので、ショップだけに行くならこっちから入った方が・・・と、その奥を見ると・・・んんん?!図書室がある!?
ちょちょちょっと~~なんでこのライブラリ、博物館サイト(←出発前に見る暇なかった)にしか載ってないの?! ああっ時間配分が~f:id:wistorian:20190926193801p:plainf:id:wistorian:20190926193801p:plain
 
夢中で本を漁っていたら、あっと言う間に「指定席券の配布時間」に・・・
ホールの「指定席券」は「1時間前に配布開始」、その他の体験モノは「15分前に受付開始」で、各館が結構離れている(直線ではそうでもないけど道が真っすぐじゃない)ので、タイムロスが本当に多かったです。
コロナのおかげで来園者少ないからいいけど、通常ならこれも全部ネット予約制にしてくれないと1日じゃ全部まわれないし、修学旅行とでも重なったらアウトだなあf:id:wistorian:20190926193706g:plain

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急いで返本して雨の中 ↑↑ 250m早歩きしてホールへ行くと、最前列のド真ん中席をくれました。30分前で大丈夫と言われても配布開始と同時に行って良かったf:id:wistorian:20190926193638g:plain

もらってすぐまた図書室に戻ろうとすると――
「丁度5分後に始まるアニメに入れますよ?観て行きませんか?指定券どうぞ!?」
「ええ・・・はい! ←アニメは「時間があれば行くリスト」に入っていた
 
とにかく「来園者が効率よくたくさん体験して過ごせるように」とスタッフが教育されているようで、アドバイスや誘導が凄い。。。ちょっと迷ってる感を出していると即・勧誘されます。手持ち無沙汰にしてても誰にも声すらかけられなかったポロトコタンとは大違い。
アイヌの植物観察ツアーなんてのもあるんですね。あーもう、時間足りないf:id:wistorian:20190926193801p:plain
期待外れなら15時台の列車で函館へ移動しようと思っていましたが、結局館と館の間を雨の中走り回っても足りなくて、17時台の列車に変更(えきねっと感謝!!)

アニメの次はまた図書室に戻り、30分後にはまた体験交流ホールへ!
く・・・・・忙しい・・・っっf:id:wistorian:20190926193801p:plain
 
伝統芸能上演@体験交流ホール
演目は「ク リセ」(弓の踊り)、「ウポポ」(座り唄)、ムックリ演奏、イヨマンテ。以前はポロチセで観せていたものですが、建物同様、内容も当然レベルアップしてます。観客は8割の入り、人気です。
一番前の席は車椅子組用かな? シーティングは柵より上から↓↓ 本当に近い!

f:id:wistorian:20210711095417j:plainこのホール ↑↑、小さいけれど造りが素晴らしいです。
奥のガラス一面は可動式の壁でふさいで暗くなるようになっていて、その壁と手前の床と両脇の凹凸全てに投影して、アニメは立体的に表現。芸能上演は背後に風景を映し、臨場感高めに演出されていました。音響も凄くイイ。

博物館のシアターは時間が無くて見られなかったけれど、あっちも凄そう。
こういう設備的な点でも「国立の力」(最新性、効率・省力も)を見せつけられます。
 
トンコリ演奏@体験学習館
ホールからは120m、会場は学習館の研修室的な部屋(会議机がスクール配列)。
トンコリは五弦の縦型の琴。和琴やギターのように弦を押さえず、指先だけで弾くので
シンプルで可愛らしい音色。
そしてまた、ムックリ演奏。他国の口琴も「ついで演奏」がありましたが、どうもこの、ビヨーンビヨーンという音が何度聞いても昔シンセサイザーで作った電子音くさくて・・・・・・ これを「笛」でなく「琴」に分類?するのもフシギ。
  ムックリ豆知識:北海道にマダケやアオダケは生息しておらず、昔はネマガリタケ製だった

因みに博物館展示物の古文書によれば、アイヌ楽器は他にもあったようですが、再現しているのはこの2種類だけみたい。

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ここで予定時間になったので、博物館へGO!(詳しくは別頁で)
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アイヌ語学習プログラム@シノッチセ
次は300m北のチセ(家)エリアへ、走れ!(雨があああ~f:id:wistorian:20190926192927g:plain
幸いチセ系はどこも満員にならず、かと言って閑散ともしていない、ちょうど良い人数で実施してました。は~コロナ様様・・・ 

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チセ群↑↑、綺麗に建て直しましたねえ。
何でも以前のような伝統的方法で再現したチセには「消防法上?客は入れられない」ので、手前2軒は立入禁止(ポロトコタンでは普通に入ってたけど・・・)↓↓  熊檻と穀物庫↓↓

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さすが、国立は厳しい。で、↑↑客の入れる奥のこのシノッチセ・ポロチセ・ポンチセの3軒は、カヤを葺いてはいるけれど基礎は現代木造建築だそう。よく見ると、カヤスゲに挟まれているのは普通のブ厚い壁 ↓↓ 窓もペアガラスだ!

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このプログラムでは、アイヌ語の正しい発音ルールや、小さい「プ」の発音を練習。
終了後は全員にアイヌシールをくれたので、キャリーケースに貼ってみたf:id:wistorian:20190926193638g:plain ↑↑(タチカクマゲラ 目つき鋭いから鷹か鷲に見える・・・
 
トンコリ体験@体験学習館
アイヌ語学習の次で5分重なってて、断念・・・アイヌ語学習は途中退場可でもトンコリ体験が途中入場不可な上に、500m離れてるんだものf:id:wistorian:20190926193801p:plain
 
暮らしと文化解説@ポロチセ
まずは、チセの造りやルールの解説
入って中央に囲炉裏↓↓、奥の壁は「神窓」と宝物置き場、が原則。 炉の周囲にゴザ、壁際にベンチが設置されていて、↓↓ 観客は好きなところに座ります。

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その後は、子守歌の実演。ここで「シンタ」登場!!↑↑
わ~・・・雷のカムイの話に出てくる、噂の「揺り籠」です。想像と全然違った。これ、現代でも子育て家庭にあったら便利そう・・・・・・
  因みに「レロン レロン シンタ」はフィリピン語の歌。←気になって調べた
最後にまたムックリ演奏f:id:wistorian:20190926193801p:plain この後時間が空いたので、再び図書室へ(300m・・・)。
 
口承実演@ポンチセ
お待ちかね、ユカラの実演!
旭川出身の方が、ポイヤウンペの序章を語ってくれました。でも本当にちょっとだけ。
ユカラって本来は一晩二晩かけてやるくらい長いものですもんね。

各家、少しづつ内装が違う↓          レトロなトンコリ↓↓

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こんな感じで、何とか「絶対やる!観る!」は全部こなせました。
当然ランチなんて、キッチンカーで買った「白老牛とポロト豚のハンバーガー」(¥600、旨い!)を1個食べるのがやっと。キッチンカー前の広場の大きな野外テントにはテーブルや椅子も並べられていましたが、雨で風で寒くてとても居られずf:id:wistorian:20190926193801p:plain
↓↓白老駅南西の KINPEN CAFEのキッチンカー。ティー系も揃ってた。

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訊いたら「フードコートで食べてOKですよ」助かった=3 フードコート ↑↑ では串焼き等の早メニューや白老的メニューも色々あったけど、時間無くて珈琲(¥150)だけ購入・・・時間さえあれば レストランアイヌを食べようと思ってたのに f:id:wistorian:20190926193246g:plain  オハウ・・・ユク(鹿肉)とラムでワイン・・・ 「ポロトミンタラ」も物色したかったよ~f:id:wistorian:20190926193035g:plain

雨のせいもあったとは言え、本当にもう、こんな忙しい博物訪問は初めてでした。
立て続けの演目に講座、アトラクション並みの盛り!
噂の「夢の国攻略」って多分、こんな感じ・・・なんでしょうか??

ポロトコタンの記事ではYahoo時代のコメント返しで「修学旅行で行っても楽しくはない」「県外から行く意味はない」「アイヌ好きが行っても満足はできない」と入れましたが――――

ウポポイは意味あります。行ってある程度体験すれば、アイヌの理解につながります。1日で結構満足できます。アイヌ好きなら1泊2日滞在したくなるはずです!(でも近くにホテルは無い←ゲストハウスや貸家ならあるみたい やっぱ車だな~
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この後はチセ手前の体験工房(←外から覗いていたら、スタッフが出てきて誘われたf:id:wistorian:20190926193801p:plain)の刺繍や樹皮編みを一通り見学(←体験やる時間は無い!)

  ↓マキリの細工   衣装コンテストやったみたいで、その結果を実物展示↓↓

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樹皮からよくこんな糸↓↓つくれるよな~・・・    何このポスター・・・↓↓

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最後に「リムセ」でアイヌ語の絵辞書を見つけ、予定通り「ななかまど」のアップルパイf:id:wistorian:20190926193502g:plainを購入し、早足で白老駅へ!(雨があああ~f:id:wistorian:20190926193801p:plainf:id:wistorian:20190926193801p:plain
ふう・・・間に合った・・・  気温20℃なのに、汗だくですよもう・・・

函館行の「北斗」の中でアイヌ本を読みながら、やっとゆっくりコーヒータイムf:id:wistorian:20190926193539g:plain

 アップルパイ¥380↓↓ 大きい! リムセで買った字引きと博物館で買った書籍↓↓

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   この字引、絵がちょっと・・・ 1冊¥770も高い。自費出版??↑↑
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因みに。
巨大な木彫り像のことは聞くの忘れてましたが、北海道犬は元のブリーダーか何かのところに戻り、ヒグマは海外の動物園へ引き取られていったとか。

幸い、あの素晴らしいアイヌ文化垂れ流しコンテンツは、公益財団法人アイヌ民族文化財団のHPが引き継いでくれてたようで、更にパワーアップしています。
ポロトコタンも、何故かこのページだけまだ見られますが、YouTubeに飛びます。

そして帰信して2週間経ったので地元の図書館へ行ったら、絵本コーナーにアイヌ枠が
あってかなりの冊数を保有していました。ライブラリで見た絵本や公開されている絵本
も入ってる。子供に交じってさっそく読みふけり。

全然関係ない県にもコレだけ蔵書があるって、やっぱりアイヌは「日本の文化」である
という認識がスタンダードってこと。イイ歳して人種差別のネタに使っている情弱な人は、いい加減にその昭和な脳内を改めてほしいですね。 まあとりあえず・・・

f:id:wistorian:20190926193502g:plain VIVA!アイヌf:id:wistorian:20190926193502g:plain