Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

博物館/弥生時代◆銅鐸博物館(滋賀県)

出雲で大量(39個)に銅鐸が発見されるまでは、日本一の銅鐸出土量(24個)を誇っていた琵琶湖東岸の野洲市。 

当時は(というか今も)本やネットでは中々情報が得られなかったので、現地へ行った―――のが丁度10年前のこと。しかし時間が無くて写真もほとんど撮れず心残りだったところ。このGWに京都で用事ができたので、ついでに再訪してみました。

      ↓入口の石造モニュメント     館内の復元銅鐸↓

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野洲市歴史民族博物館****

これ↑が正式名称ですが、道路の青看やガイドマップなどは全部「銅鐸博物館」になっています。そしてネット地図に載っているのは、付属する復元史跡エリアと博物館を全部合わせた名称「弥生の森歴史公園」。

惑わせますね。

更に、まともなHPが無い

そのためタカをくくっていましたが・・・・Wが今まで行った中では一番銅鐸に関して詳しい解説が整っている博物館 です!

         ↓Pからのアプローチ。後ろに見えるのが銅鐸出土場所の大岩山。

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相変わらず見難い敷地内マップと内容説明板 ↓ 解像度の問題だと思ってたけど違う・・・

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おかげで「石舞台」や「方形周溝墓」は、帰宅して写真を拡大してから気付きました。ああっ「銅鐸出土地の碑」は博物館の裏にあったのか…!!

 こっちの地図の方が見やすい ↓

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共同作業所って何・・・?

とりあえず先に博物館へ行きましょう。入館料は大人¥200と格安、野洲市民は無料。

1階入口にはイメージ展示と、「弥生人になってみよう!」な衣装・勾玉貸し出しブースあり↓     ↓ 復元銅鐸もここ。 1階の展示室は2つにわかれている ↓

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<銅鐸に関する展示>

手前の展示室1は、ここの銅鐸の発見次第のビデオから始まり、銅鐸の種類や造り方など「銅鐸全般への理解」を深める展示。

この銅鐸の鋳造復元ビデオが凄いんです。鋳型の造り方から鋳造後の磨きまで、イメージじゃなくてホントに実演製作しちゃってる。しかもこんな土砂の型であんなのが出来るとは・・・5回も使いまわせる耐久性には絶句・・・。ビデオに夢中になってると、鋳型の模型が解説ビデオに合わせて動くのを見逃すので注意。

発見当時の村の記録では、銅鐸が「唐金古器物 からかねこきぶつ 」になっててイイ感じ。世界の鐘や銅鐸の起源にも触れていて、出雲の博物館(荒神谷)より内容が密。うわあ、三遠式と近畿式の見分け方も解説しちゃってるわ・・・(←これはカタログに載ってないので、最近の展示?

出雲の銅鐸は比較的早い時代の「鳴らす銅鐸」なのですが、ここのは弥生後期の大型な「見る銅鐸」。同范モノも出雲とは重なっていないようで、東海との繋がりが強いようです。

 

<銅鐸の実物展示>

奥の展示室2は、この博物館の裏山で見つかった「大岩山銅鐸」の部屋。中央に大きめの銅鐸が集められ、裏側も見られるナイスな展示。

出土は明治14(1881年,14個)と昭和37(1962年,10個)の2回あって、1回目は地元の子供が偶然発見し、2回目は新幹線敷設の工事中に。みな同じ大岩山で見つかっているのですが、出土場所は大きく3箇所にわかれ、銅鐸の製作時代も大きさも結構多様です。

 

一番大きな日本最大の銅鐸(134.7cm高)と二番目に大きくて絵が刻まれている銅鐸は、例の東京のアソコにあるとかで、ここに展示されているのは復元。まあ、どういう経緯でも、日本の国宝級遺物はアソコに取られてしまうものなので、これは良しとしましょう。

問題は他の銅鐸。上記の2つ以外は要らないと、残り12個はちゃんと地元の発見者へ払い下げられたのですが―――まあ、転売したんでしょうね。そうじゃなきゃ買いませんよね。当然、散逸していまい・・・・・・後年学者が当時の記録を元に探しに探したら、国内の各所(博物館や大学、寺)やドイツ・米国にまで飛んでいたとかで、ここに展示されている明治出土の銅鐸は全部復元です。つまり、私が辰馬()で見たのは明治出土の実物ってことですね。。。今でも2個は居所不明。 昭和時代までは、銅鐸所有数ナンバー1だった博物館

 

何しろ明治のことですから―――なんて言っていられません。

昭和の出土の時はなんと、発見者の工事人が古物商に持ち込み。偶然警察が気付いて転売は免れ、無事、滋賀県所蔵となりました。

しかし工事関係者に聞き取りをしたら、実はもっと前に山頂近くで1個発見していて、なのに同じく届出ていなくて。(これが24個中、唯一の流水紋!)

それも取り戻せたから良かったですが、今は世界に誉めそやされる「日本人のモラル」も、元々はそんなもんなんですよ。

というわけで、この昭和出土の10個(重要文化財)は実物。県内で出土した県所蔵の銅鐸も実物です

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展示物の写真撮影は禁止ですが、展示内容が全て掲載されているカタログはカラーで¥1000とお値打ち(但し、今回の再訪時には売切れ完売・・・なのに撮影禁止は酷い)。出土した銅鐸のカタログはこれまたオールカラーで¥400と、大変お安く見やすい。

 おお、三上神社と兵主神社遷座ウン年の記念冊子まで発行してるぞ。買いだ!

 常設展示カタログ↓      出土物カタログ↓      体験教室メニュー↓ 

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 ↑ 表紙はこの色に金の箔押しで「??」状態。凝ったデザインが裏目に・・・

博物館としてもまあまあ良いのではないでしょうか。

ただ、各所にある解説音声や解説ビデオが全部センサーで勝手に開始し、その音がかなり大きいので、この狭い展示室ではとても耳障り。読みたい解説板の内容が頭に入ってこない・・・ ボタン式にして、音量さげてくれないかなこれ・・・

 本来は「市の博物館」なため、廊下には他の遺跡の出土物が並べられ、2階の企画展示室にはズイキ神輿など野洲の祭りの民俗展示や天保一揆の資料、永原御殿の復元模型があります。

 

<弥生の森>

銅鐸を満喫したら外へ出て、弥生の森歴史公園を散策します。

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体験教室の建物↑      復元古代住居と高床倉庫↑      スイレン池↑

他にも大賀ハスや赤米の水田がありました。敷地はそんなに広くはないですが、入り組んだ園路に桜やツツジが植えられてよく整備されています。「すいません、いま何も花が無いんですよ」と作業中の造園スタッフに詫びられましたが、大丈夫。私の目的は花じゃなくて↓↓コレですから!

「山の神」↓この黒鳥居も奇異だけど、結構大きいんです↓これ。凄いインパクト・・・

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  うおおおお・・・うちの庭にも欲しいいいい。  あ、ここにも「つっかえ棒信仰」↑…

 ↓ 復元古墳「宮山二号墳」  ※この後ろのネット↓を覚えていてください

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昭和の銅鐸出土の時の工事で発見された、7世紀初頭の円墳。石棺あり。

「大岩山古墳群(国史跡)に属する最後の築造古墳」だそうですが・・・・↓ 広域地図 

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あれ? 国道8号(R8)の向こう ↑↑↑ に古墳群がある??

そういえばここへ来る時、R8を南(上記の地図で言うと左)からのぼってきて立体交差点を右折したのですが、その交差点の案内看板「銅鐸博物館→」(右)「弥生の森歴史公園→」(右)の下に「←弥生史跡公園」(左)を見ました。

「ええええ??史跡公園と歴史公園は違うの??」と惑いながら右折してきたのですが・・・気になる。

博物館スタッフに聞くと

「ああ、生史跡公園のことじゃないですか?」

すみません老眼で。でもその「桜生」の漢字を正しく認識しても「さくらばさま」とは誰も読めないことでしょう。

というわけで、続きはそちらへ・・・