奈良の春日明神参詣に来た僧が猿沢池にかかると、とある里女が供養を願いに顕われる。
その女は昔、帝に寵愛を受けた釆女の亡霊だった……―――。
前半で春日神社と藤原氏の縁起を説き、後半では伝承と仏教賛歌。
でも主題は天皇に仕えた様々な豪族の娘・釆女、という、かなりな大作です。
その為あんまり上演されないのですが、『翁』を観に行ったら同時上演でした。
ラッキー☆
観世流・銕仙会の、「美奈保之伝」という小書付きです。
おお、小鼓は源ちゃんではありませんか!
この演目、かなり橋掛かりを使います。
後シテは登場してから暫くは橋掛かりで謡い、正面で舞ってまた橋掛かりに戻り、
正面で舞って退場間際にまた橋掛かりでちょっと舞い……
じっくり見るなら、脇正面席の方がいいかも;;
後シテの装束は青い長絹に金の水鳥、水色の大口袴。
被く衣は浅水色です。
水のイメージなんですね。荒川静香みたいな、いい色合いです(笑)
最近の装束は、何でもかんでも朱色主体で飽きました。
いくら紅入りといってもさあ…
この後シテだとまず紅無しですし、入水モノらしくどこかに青が入るようですが、
流派(つか、気分?)によっては紫だったりちょっと浅葱色なだけだったり。
ここまで見事に「水う!」な色目は、潔くて大変好きです。
舞自体は大人しい「序之舞」。
同じ「水の上を舞う」のでも、猩々みたいなお茶目はありません。
あくまで、優雅に。
綺麗な曲でした。
で、この「美奈保之伝」(=水帆の伝?と思ったのですが、喜多流だと「小波之伝」なのでこれは
水穂の意ですね)という小書きがついたものは…
「前半の春日神社縁起を省略し、後半の安積山の釆女の説話もカットして、
猿沢池の釆女にクロースアップし水の演出を全面に押し出した、優れた演出である」
……こらあっ#
神社関連演目を追って○十年の私めに、なにをしやりますか~っ;;
まあ、小書きつかない本バージョンだと、異常に長い(2時間位だ)からな…
流派毎で且つ小書き別けもした「演目総覧」が、切に欲しいこの頃です……(--;)
やっぱ本探そ…