Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

能・『猩々乱』(しょうじょうみだれ)――鎌倉能楽堂

場所はお初の鎌倉能舞台! →http://www.nohbutai.com/
鎌倉在住の観世流の方が運営する舞台で、長谷駅にあります。

『猩々』は今まで日程が合わず、観ていなかった演目。
今回の説明で初めて知ったのですが、『猩々』は舞台終いに用いる事がほとんどだそうで、
だから晩秋~年末の上演が多いんですね。それで毎年『三輪』と当たってしまい、当然
私は『三輪』をとっていたため、観られなかったんです(笑)

しかし関東に居る間に観ておきたかったし、何よりこの鎌倉能舞台さんは人気の「乱」バー
ジョンの上に「双之舞」という小書がついて、なんと二匹(匹でいいのか??)の猩々が舞う!
という豪華仕立て……
これは観にいかねば損というものです!!
OZ様を誘って、いそいそと行ってきました@

「猩々」というのは中国の精霊で、設定舞台は中国の揚子江あたり。
日本のお祭りでは疫病を祓う精鬼としても扱われ、山車にも乗っているし、ナマハゲのように
子供を追い回したりします;;(実はオラウータンの和名で、民族学的には山猿や海猿のバケ
モノ扱いですが、能楽上は「酒の精」ということで。)
酒好きな為、「猩々」という専用面は当然ニヤっと赤ら顔。(その為、猩々カラーは赤★

この演目は「汲めども汲めども尽きぬ酒壺」というところから「祝言の舞」とされた為、今や元
のストーリー部分(前半)はブッチ切られて、本来は後半である舞の部分だけを行うようになり
ました。故に、上演時間は短い小品で、謡は多くありません。舞と囃子メインです。
(囃し方が裃つけていたけど、これも祝言だから??)

この鎌倉能舞台さんは、普及に力を入れていて、舞台の前後に説明と質疑応答を入れて
下さいます。そこで
「猩々が舞うのは水の上なので、足裁きは猩々限定の水の上を跳ねるような形になります」
二人静のように本体と影、ではないので、二人の動きは若干違い、途中で入れ替わります」
「猩々に使われるものは、全て猩々専用。面も袴も帯も扇も、他の演目には使いません」
と仰るので観てみたら…

フサフサの赤頭にニヤリと赤い猩々面、赤系の総模様の装束に、赤い青海波の大口袴で、
つま先立ちでトテトテと舞っては呑み、舞っては呑み。
次第に千鳥足。またトテトテ、トテトテ……
しかも、お揃い衣装の二匹が行ったり来たり(笑)

気に入りました、猩々。かわいいっ!(*^.^*)

ところで、この能舞台
小さいとは聞いていましたが、ほんっと~に小さかったです(--;)
天井(平たい…)も低けりゃ、橋掛かりも短い。地謡は6人しかいなかった。
後見さんも壁ギリギリ。
多分これ、四方3間ないですね…?
この空間で、よく「双之舞」を演るなあ;;(実際、ぶつかってた…)

そして舞台が客席と同じ高さで、しかも50cmも離れていない;;
脇正面の2列目だったので、装束や面が間近で見られてとても「おお~@」でしたが、その分
演者の息遣いや肩で息せく姿、汗だくの顔などもあまりにも見え過ぎて、ちょっと…;;

座席配置はまだ検討中ということなので、その内あの狭さ詰め過ぎさも何とかなるんでしょうか。
できれば「全席自由」じゃなくて、金額高くても「広め指定席」を作ってほしいです。

もちろん、音の反響も悪いです。私、まだ野外能を鑑賞したことが無いので、こんなに割れて
響かない能は初めてでした(^^;)

でも、主宰側は楽しく観れる設定を考えていらっしゃるな、と感じる舞台です。
特に初心者の方には、馴染みやすいのではないでしょうか。
観光ついでに能鑑賞。優雅じゃないですか!
鎌倉能舞台、オススメします@