Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

能楽・『翁』(おきな)・新春見比べ大会☆

年末から頑張った甲斐あって、今年は3流派オール正面席がとれました!
(チケット発売時期に原稿やってなかったからね::)

ここで軽くご説明を…

前回説明した通り、「能にあって能にあらず」の『翁』。
祝言祝舞として、舞台初めや記念公演の初めに演じられます。
能で「翁付」となっていたら、その演目の前に『翁』が演じられ、間髪入れずにメイン
が始まります。元々中世はこの順番で始まって、五番まで演じられていたようです。
能の間に狂言が入りますから、一日がかりですね;;

『翁』はそれ故、普通の能とはだいぶ違います。最大の特徴は、
 ①筋書き(ストーリー性)は一切ない
 ②舞台上で面の取り外しをする
 ③その専用面は切り顎(上部と顎が分かれていて、紐で繋いである面)である
 ④前半はシテ方、後半は狂言方が舞う
 ⑤小鼓3挺。地謡は囃し方の後ろに座る。
という点でしょうか。流派によって、多少は異なります。

演者は「翁」、面と鈴の入った箱を持つ「面箱(持ち)」(狂言方)、露払いをする「千歳」、
最後に舞う「三番叟」(狂言方)です。

舞台始まり、「面箱」筆頭に、「翁」「千歳」「三番叟」、おぞろおぞろと橋掛かりに登場し、
ゆっくりゆっくり進みます。
通常は右手の切り戸からお出になられる地謡も、この時ばかりは橋掛かりから。
装束は「翁」以外、全員素袍の上下。囃し方も地謡も、です。
で、打つ時は両肩脱ぐんですね、囃し方。ステキ@

そして、小鼓が3挺!
これはすごいですよ、他には無いですよ。太鼓無し、前半は大鼓も無しです。
指揮者(一応、真ん中の頭取が主)無しで小鼓3人の息がどれだけ揃うか…―!
囃し方ファンの私は、『翁』ではこれを一番重要視しております(←異常)。

さてさて、「翁」の呪文のような謡い出しの後、「千歳」が露払いに舞います。
ダイナミック。若い人じゃないとキッツイよね。
おおっと、この間に「翁」が(観客の方を向いて)面をつけてますよ~。

「千歳」が舞い終わると「翁」が謡い始め、舞います。
「翁」の舞いはゆっくり優美な「天地人の舞」。
面は白式尉。陰陽思想が根底にあるという蜀江文様の狩衣に、八藤丸文の紫の指貫。
なんでこれなのかなあ……浅葱色だし、あまり似つかわしいとは思えないんだけど…

舞い終わると「翁」、「千歳」と一緒にご退場。

ささ、いよいよ「三番叟」です。
大体は、濃紫系の地に目出度い文様(鶴亀松竹)の入った、素袍上下をお召しです。
しかし、残念ながら狂言方なので、足袋はモチロン黄色(黄檗色?)
ああ、もう、気になる…っ

まずは直面で若々しく元気に「揉之段」を舞います。
田植えなどの農業を表しているといわれる足運び、すんごい跳躍を見せる三回跳び。
活性化を促すような、勢いのある舞です。

これが終わると、「三番叟」は黒式尉の面を(観客に背を向けて)つけます。
「面箱」と問答をし、「面箱」から鈴を受け取り、「鈴の段」を舞うのです。
こちらは「揉之段」に比べれば若干大人しめですが、内容はやはり鈴で種まきのような
仕草をする、豊饒繁殖の祝意的な舞いです。

こう見ると、「三番叟」が一番出番長いんですね。
「三番叟」はどこも、活色のいい「よく食って健康体!」な壮年男性が演じてますな。
そりゃ、ガリ痩せ「三番叟」やメチャ太「三番叟」、若すぎる「三番叟」なんてヤダし…

ともかくこうして、各舞台の新年が始まるのでした~(^^)/

この後は通常、初番の脇能物が続けて演じられるのですが、最近は狂言だったり
すぐ休憩が入ったりします。
『翁』、結構長いです。