Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

能・『葛城』(かづらき)

奈良県御所市(葛城市の隣り)にある、修験道葛城山(959m)。
その山に住まう葛城明神に因む演目です☆

なのでどこの神社の話、というわけではないです。
葛城にある主要神社と言えば、金剛山(1159m)山頂の「葛木神社」、山腹の「天高彦神社」、
麓の「葛城一言主神社」や「高鴨神社」と色々ありまして、みな祭神が微妙に違う。
舞台上では「葛城明神とは一言主のことで女体なり」とほざいてますが、一言主神はきっち
り「男神」として記紀に出てくるっつーの!;;
能ワールドは何故そうまで明神を女神にしたがるかね。
見栄えがいいからかな…

ともかく主筋は――
文武天皇の時代に(699年らしい)、役行者が葛城明神に吉野から葛城へ渡る橋掛けを命じた。
しかし葛城明神は自分が醜いのが恥ずかしくて、顔の見えない夜だけ橋掛けをしていた為
大幅に工期に遅れ……それを知った役行者、罰として明神をこらしめて岩戸に閉じ込めたそ
うな。それで葛城明神は「今も苦しい、救ってくれ」と出羽の行者たちに願ったとか。

何かなあ…;;
役行者ってどこまでも何サマな奴…まあ、そのせいもあって伊豆へ流されちゃったようですが、
やられちゃう明神サマも明神サマです。

出だしは出羽国の行者たちが、はるばる葛城山へ勤行に来ます。
おりしも冬、吹雪の中。避寒の行者たちを里女が自らの庵へ誘います。
それが葛城の神でした。

この、前シテの登場の仕方が不思議、姿をださずにまずは声だけで行者たちに話
しかけるんです。今日のシテの方は面下でも声の通る方だったから○ですが、そう
でない方だったら(結構居る…)かなり聞こえづらいですね;;
普通は、橋がかりに現れてから謡い始めるものだと思っていました。
宝生さんの五雲会だったのですが、この演出は他の流派でも同じで『葛城』特有な
のかな?

後半、行者の加持祈祷に救われた葛城明神は、三輪明神と同じく緋袴に白い装束、
常葉(葛?)のついた冠という井出達で舞います。
醜くないじゃん…
髪が他の女シテ役より短かったので、これで「醜」を表現しているのかな??

中々ではございましたが、
上演中に誰かの携帯が何度も鳴るわ、いびきのおっちゃんがそこかしこに居るわ、
演者の知合いらしきジジババ達がいつまでもお喋りをしているわ……―――
ほんとにもう、発表会かここは# でした。