Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

『ゴールデンカムイ』野田サトル(ヤングジャンプ:集英社)

北海道旅行時は4巻までしか読んでなかったこちら。
「獣を殺して味わいまくるアイヌの少女」(ヒロイン)と「人を殺しまくる日本の武人さんたち」の、北海道ドタバタ探検マンガです。

 

や、もうホントに面白い。
幕末~明治の北海道における独立革命(失敗)を引っ張り、民族差別や北方問題なども織り交ぜる主軸ストーリー自体も面白いのですが、北海道の自然とアイヌ文化を有名無名・事実伝説ゴチャマゼでみっちり紹介する旅ガイド的紹介回も素晴らしいのですが、それより何よりあの、キャラ全員が全体的に人生フザけてるところが、メッチャ凄い。

主要キャラの8割が「精神的に戦争でヤられて頭イっちゃってる脱獄犯や軍人」だからなせいもあるにしたって、主人公側は常に糞(オソマ)ネタだし勃起だしラッコだし、敵も「二瓶ゴハン」とか「欠け友」とか獣姦とか人皮コスプレとか、真正の変態が続々と。。。(さすがにアニメではカットされた話が多いとか/笑)

91話で主人公がアイヌの昔話に対して「登場人物全員変態かよ」って吐いてますが、いやお前らこそ。

 

強くて有能なキャラでもどこか色々ヌケてて(そうでなくてもヒグマやシャチが乱入してきたりで)、命の遣り取り中にとんでもない展開になる。深刻なはずの人生を、こんなに楽しく繰り広げていいんだろうか・・・

そして扉絵はほぼ「おチョクリ」の「おフザけ」、本編にも見え隠れする(いや、全然隠れてない)あのB級魂は、『ネウロ』を軽く凌ぐかも。

もちろん「おフザケ回」(サーカスとかお芝居とか)があってこそのこの面白さですが、「一貫してシリアスなキャラ」はヒロイン父と土方さんだけってf:id:wistorian:20190926193801p:plain

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元々「アイヌの文化」と「山でのサバイバル知識」に興味があったから読み始めましたが、これはある程度の巻数出てから読んだ方がいいなと思って数年放置。
2021年の北海道旅行で「帰宅したら漫喫で読破するぞ!」と思っていたら、ジャンプサイトが期間限定で全話無料解放(太っ腹!)してくれたので、自宅で酒呑みながら一気読み(×3回)。
主要キャラが多くて利害関係が複雑なので、一気読みで正解★

 

もちろん、興味無くたって楽しめます。下ネタ、ゲイネタ、戦争・殺人、猟奇的グロもあるけれどみんなソフトで「エロ」はほとんど無いし、自然に沿ったアイヌの暮らしは教育的知識的に絶対イイので、逆に「小学校高学年以上(特に「動物を食べるなんて酷い!」なんてえワケわからん事をほざく現代っ子のいい子ちゃんブリっ子)に読ませたいマンガ」

北海道の大自然の描写も綺麗で(←デジタルの恩恵?)、「北の動物」(ヒロインが殺して食べる)もあますところなく紹介されてるf:id:wistorian:20190926193526g:plain

 

杉元(主人公のおっさん。やたらと男にモテる)がそのヒロイン(子供だけど逞しくて有能で有用)を一人「さん付け」で呼び、大人と対等に扱っている風なのもイイんですよね。
網走までの旅では何のためらいも無くこの二人で同室・同衾してるし、「いつかお前の故郷に連れてけ」って逆プロポーズかおい。
1巻から続く山暮らしや海での大冒険、アイヌクッキングでの脳みそ生プレイなんてもう、お前ら早く結婚しちゃえよ!って感じ。
デジタル漫画サイトでも「歳の差」タグがついてるし!f:id:wistorian:20190926192927g:plain

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そんな濃くて変なキャラたちが敵味方入り乱れて色んな組合せで動きながらも何故か
どんどん団結し始めて二極化し、ついには樺太中央までのカオスな冬旅。

土方さん側は「ハジけた武士チーム」で、「テロリストたちの個人プレイ」が際立つノープラン方式(機動力と絆が命)。全体的に部活合宿(引率・永倉さん)ムードで微笑ましい。
片や「病んでる軍人チーム」は「鶴見中尉と根暗な手下たち」。キモは人員力&武器力
ですが、綿密なプランは倒れっ放しのストリーム。最終決戦は函館☆です。


2016年マンガ大賞受賞。
現在・27巻(連載中)