Wの記録

Wこと天羽の趣味の記録。主に山と遺跡史跡。信州飲食店情報へはリンクの食べログIDから、サークルサイトはツイッター@Wistoria_Tからアクセスください。     (2019年9月Yahooブログより移転。それ以前の記事は画像がズレて読みにくいですが、とても調整しきれないので。。。)

発掘された日本列島2020

コロナ禍で開催が危ぶまれておりましたが、やってます、速報巡回展

最近、この企画展どころか博物館にも神社巡りにも行ってなかったので、今年は旅行がてら絶対行こうと心に決めておりました。もちろん東京・愛知は除いて。

江戸東京博物館 令和2年6月13日(土)~令和2年8月3日(月):東京都
新潟県立歴史博物館 令和2年8月22日(土)~令和2年9月27日(日):新潟県
福島県立博物館 令和2年10月10日(土)~令和2年11月15日(日):福島県
一宮市博物館 令和2年11月28日(土)~令和2年12月27日(日):愛知県
中津市歴史博物館 令和3年1月16日(土)~令和3年2月21日(日):大分県

うう ・・・ 日程的に新潟期間に泊まりがけは無理、大分の時期は別の旅行を予定してる。福島は会津若松か・・・寒いな。

こうやって毎年グダグダ言ってるうちに時が過ぎていくのですな(笑)
 
ところが調べると、新潟展の会場は新潟市ではなく長岡市。 近い!
内陸県民は、どうせ行くならなるべく海沿いに行きたがる生物故・・・・・・
日帰りですが、長岡(初訪問!)、行ってきました。
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< 新潟展示 >

会場の新潟県立歴史博物館は長岡ICからすぐで、車派には便利な立地。
詳しくはこちらへ。

エントランス入ると左手に受付。企画展はネットの100円割引券を使って¥740。
県立だから高めだけど、東京展示に比べればお安いものです。

最終日だからか思ったより人出があり、観る速度が違うのでジグザグに組まれた順路もあまり意味無かったですが、これも東京に比べたら全然マシでしょうねf:id:wistorian:20190926192535g:plain

まずは「特集1」――日本の自然が育んだ多様な地域文化

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展示は時代順なので、しょっぱなはいつも地味~な旧石器時代
ですが、今回は凄かった

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「接合資料」って・・・・・・え? 組み立て・・・た・・・の・・・??? ↑↑↑↑↑↑
バラバラで出土した、あの切片・礫片を、一つ一つ・・・??? ↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓

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いくら大体固まって出土するとは言え、埴輪以上の立体パズル・・・
(しかも黒曜石とサヌカイト!)  す・・・凄い!f:id:wistorian:20190926192535g:plain

 お次はお待ちかね、縄文時代の土器。

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いや、骨製や玉製の垂飾や土偶も岩偶もあるんだけど。やっぱり目を引く縄文土器。(だが「縄文式土器」ではない) ↓↓中でもこの水煙系(※)は ↓ メッチャ好みf:id:wistorian:20190926193723g:plain
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この把手の構造がたまらん・・・ ↑↑     胴体の形も模様もイイ・・・!↑↑ 

八ヶ岳エリアの縄文土器の様式で、「曾利式土器」甲州エリア)の一種。
 尚、名は似ているが「加曾利式土器」の分布は関東エリアで見た目も全然違う。
古墳時代のメインは、これまたいつも通り大型埴輪 ↓

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鷹匠の鷹や鵜飼の鵜は「古代の飼われている動物の印である鈴がついてる」って書いてあるけど、鈴が鳴ったら獲物に気づかれちゃうのでは・・・

ちなみに弥生時代はこんな感じ↓  イイダコ専用タコ壷は一番のヒット↓
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鏡・銅モノ・玉類と今回は目立つ出土品がありましたが、やっぱり縄文・古墳に比べると全体的にキャッチーさ弱いな、弥生・・・

そしてこの古墳時代展示の後に、なぜか再び火炎型土器たち縄文モノが出てきます。
いきなり何でまた??? ↓

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火焔型土器の展示にはよく岡本太郎が引き合いに出されるのだけど、今回も例によってそんな感じで、書物の記載パネルあり。――とここで、火焔型土器の発見が昭和なことを改めて認識しました。
明治に発見されてた銅鐸(弥生時代に比べたらずいぶん遅いのは、縄文遺跡が現在の人間の活動エリア(開発地)とあまり重ならないからでしょうね。
そして火焔ほど把手が芸術してない右の土器は、王冠型土器」って言うそうです↑
へええええ。30年前はそんな言葉無かったような気がするけど・・・・・・  
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縄文の雄、亀ヶ岡遺跡の出土物たち ↑ 漆塗りなのが強み。

この後にまた弥生時代が出てくる。あれれ?
カタログを見ると、どうやらここからが「考古速報」のようで、「特集1」と「特集2」に挟まれた形の展示になっているようでした。火焔型土器がその区切りになっている模様。「速報」らしき小さいパネルは確かにあったけど、この展示会自体が「速報展」じゃん。。。わかりにく・・・

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伝法古墳群(静岡県富士市)の出土物 ↑
そして中世&近世(興味無いのですっ飛ばした)が終わると特集2「記念物100年」「我がまちが誇る史跡・名勝・天然記念物」ですが―――わ、稲荷山鉄剣 ↓(埼玉)
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「風土記の丘」二番手。育った大宮市に一番近い風土記の丘なので小学生~高校生の間に何度も行ったんだけど(遠足やら家族お出かけやら)、まるで記憶に残っておらず「いつか正式に行かないとな~」とずっと思ってて、GWコミケ(コロナで中止)のついで旅行で立ち寄るつもりだったトコです>< 鉄剣マラソンってまだやってる?

「エントランスに多胡碑レプリカが展示してあります」だと・・・?(群馬)

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ここは妙義山登山のついでに寄ったなあ・・・  勿論撮った↑
そして史跡の買取りや修復、復元の活動記録などの報告展示。
            石斧から手作りって・・・???↓↓
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人間は必要(パン)のためだけに働いてるんじゃないとは言えf:id:wistorian:20190926193801p:plain

最後は「特別展」と称して、またまた火焔型土器が出てきて「縄文」します。
「火焔型土器のデザインと機能」↓↓

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好きだからいいけど、これはさすがにシツコイ(笑)
右下に小さく「地域展」と記してあるので、これは新潟展だけの企画な模様。
ん?いや、待てよ? 何だか修正テープみたいなの貼られまくってるぞ・・・?↑↑↑
まあとにかく、火焔は良い ↓↓

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火焔型土器についての詳細パネル多数 ↓
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なんと、火焔式土器の胴体は縄でこさえた文様ではないんです。。。↑ って、観ればわかるか。縄(紐)状の粘土でこさえたのだから「縄文式土器」で良いと思うけど、そうはいかないのが学会。

そして啓蒙パネル多数。 ↓「現代に生きる」って・・・・・・   ちょ・・・↓↓
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 ↓↓ なぜ酒ボトルと比べた・・・?↓↓        おおおおいいいぃぃf:id:wistorian:20190926193801p:plain↓↓↓

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とある火焔のプレートには「これは複製です。本物は馬高縄文館でご覧ください」みたいなことが書いてあって。

馬高は元々この後行く予定だったのですが、この時は「あっちにも火焔土器があるんだ。ふうん」程度でした。。。→ → →

あと、次の福島展専用ポスターが火焔オンリーで気になります。
    今までのバージョン↓        福島のバージョン↓
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            これまさか、この新潟館が作ったのでは・・・f:id:wistorian:20190926193801p:plain ↑↑↑

ああまさか、地域展も引き継ぐのでは・・・と疑いの眼差し。

それか、福島でも火焔土器が目立つような展示配置をするって既に握ってあるか、ですね。そうでなきゃ、こんなポスターリリースできませんもんね・・・

そういえば、巡回展を二か所で観るって、やったことない。。。。

福島、行きたくなってきた・・・!!

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 速報展を見終わった後は常設展示を見ようとミュージアムショップの横を通ると、速報展のカタログがあと2冊!!ひいっf:id:wistorian:20190926192535g:plain あわてて購入f:id:wistorian:20190926192927g:plain
   表紙はポスターと同じ↓       写真豊富だったので、ついで買い↓
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あ~危なかった・・・f:id:wistorian:20190926193145g:plain 昔、売切で買えなかったことあったんですよね。

どうやらカタログは出土物と一緒に巡回してどんどん売りさばくのではなく、最初に会場に一定数渡してしまう割当て(買取?)制のようです。もしくは会期〇日を切ったら次の会場へ運んでしまう、のでしょうか???
まあ、後でネットで買えますけど・・・ 最終日に行く時は要注意

「速報」展なので、出土物自体の説明板の表示はアッサリ極少ですが、展示の仕方や出土の重要度・特異点の解説などは年々良くなってきてます。
一般大衆向けになってきた、とも言えますが(笑)
巡回展示だと色んな博物館と学芸員が関わるから、自然とレベルアップするのかな。

それにこの博物館は、ツイッターの公式アカウントで速報展の展示物について色々呟いてて速報展の接写画像が豊富でした。
全館がこういうことしてくれたらいいなあf:id:wistorian:20190926193502g:plain
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< 大分展示 >
行ってきました。福島ではなく大分展示!
この時の旅の目当ては山口県でしたが、よく考えたら近い。更に会場が大分市ではなく県内最北端の中津市とわかって「これ、余裕で日帰りで行かれる距離じゃ・・・??」と。 しかも会場の中津博物館、通称「なかはく」は福岡との県境からたった500mという市内の北西端にあり―――実際、下関市から高速を使ったら大変近かったf:id:wistorian:20190926192535g:plain
中津市の東隣の宇佐市には御存じ、八幡宮の本宮と言われる宇佐八幡があります。当然中津市内にも、宇佐八幡と縁のある神社がチラホラ・・・ 古墳も点在してますねー。ついでに色々行かれるな
しかし「なかはく」は古墳ではなく、中津城の博物館でした。
 

なもんでここは、元々の規模が小さい「お城観光客向け」ミュージアム
館前Pも10台ほどと小さく(第2Pは南西の公園の方)、エントランスは何だかモダンで、石垣を眺めるカフェや休憩座敷などは観光施設そのもの↓↓ 中々の快適空間f:id:wistorian:20190926193554g:plain

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実際、城見学のついでなのか中学生らしき子だちが博物館前にたむろ。指導者(先生)らしき若い方は注意も指導もせずに携帯で長話中。。。他に見どころがあまり無いので、放浪の観光客がワラワラここに集中するんでしょうねえf:id:wistorian:20190926193801p:plain

しかしその狭い空間を活かした展示は素晴らしく、例の「常設展を全て潰してまで特別展を招ぶ」という豪快なスタンスでした。

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特集2「記念物100年」はエントランスホールからガラス張りの処刑室みたいな空間↑↑までギッチリ使い↓↓、ホールの壁面にはSAのNEXCO情報さながら市内の観光情報が特大パネルで。なんて攻めてるレイアウト。 地域展は廊下f:id:wistorian:20190926193801p:plainf:id:wistorian:20190926193801p:plain↓↓

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ハニワを、年代や遺跡別ではなく種類別に並べていたのも斬新です。

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手前側は「動物」で、裏は「人間」↑↑     こちらは「建物」?↑↑
実はここの解説パネルの並び方が展示品と合ってなくて、かなり変だったf:id:wistorian:20190926192535g:plain↑↑

鏃や玉類を環状や三角に象って並べるのは・・・・・・これは新潟展では見なかったと思うけど最近の流行なのかな↓↓ 見た目イイ感じ 魅せる展示

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展示の流れは新潟展よりわかりやすい。でも展示室は「造りの制限」がある設計だったので、これは大変だったろうなあ・・・   贅沢空間↓↓

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もちろん新潟展示の方が良い点も沢山あったし、「どちらが良い、悪い」ではなく、それぞれの館の「頑張り処」や方針でこんなに違うんだ~ってのが面白い。
「初・同じ展示会を異なる会場で観る」―――新鮮です!

またやりたい

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